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そのうち帰ってくるかもです。
ずっと戻らないかもです。
喰われたならば、どこかのお腹の中でしょうか。
そこから、取り出せばいいのでしょうか。
かえらせる方法はまだ、よくわかりません。
[木肌を這う蟻の列へと視線は移ろい、
ふと――問いが落ちる]
カナメ。
どうですか、わかりますか?
[だが返答はなかった]
[ひとつ目を閉じ開き
枝から伝い下りて、足取りはよろめく。
いちどだけ獏を振り返った。
またあおうと、唇だけで象って。
そうして
水音に足並み添わせ、どこかへと*]
―現在―
[岩の上のブランケットは少女の手中へ。
偏光硝子から光注ぐビオトープを出、
点々と扉の並ぶ通路に移動し、
時折止まっては上下左右を見回す姿。
誰かの部屋か夢でも探しているのか。
やがて前方に螺旋階段が現れた。
そちらへとルリは進み*]
ひーい、ふーう、みーい、よーお、
いーつ、むーう、なーな やー――
[ブランケットをまとい子供は、
危うい足取りで階段を数えつつ踏んで、上へ着けば更に進む。
階下のとは少し趣を違えた扉。
そこに掛かっていたプレート、記されたその文字も読まずに、入った。施錠などはされていない]
これはなんですか、カナメ。
[なかの広さはそれなりか。
色とりどりに明滅し始めた壁の一部へ寄って触れる。
すると立体映像が、室の中央に結ばれた]
[高い建物の群れ、電飾、その上に飛行船。
そして大勢の人間たち。
街の俯瞰か、さながら精巧なジオラマのように]
これはなんですか、カナメ。
[耳を傾けるルリ]
…キロク?
むかしの、映像ですか。
このひとたちもいまここに? あえますか?
[これが実体のない虚像である事はわかった。
人差し指が人々を指すと、像がかき消える。
カナメの声は聞き取れないほど遠ざかり]
[しばし佇んだ後、少女の興味は移る。
またその壁へ手が触れると、
別の映像が現れ次々と切り替わる。
操作方法などわからない、
映されるものをただ見るだけだった。
夢中になるうち、
ブランケットが足元へ滑り落ちて*]
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