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[塩味と梅干の握り飯を一つずつ頂いた所に、若いのだからとおまけでもう一つ。
若者は、この小さな村では貴重であった]
『セイジくんは、そろそろ子供の一人や二人こさえたかね?』
[そんな無遠慮な、といってもこの村ではさして恥ずかしがる事でもない質問も飛んで来る]
え、いや、僕は……
[口籠もっていると、老人らから大声で笑われた]
『最近の若い子らは奥手じゃのう!』
『ワシらの若い頃は……』
[そんな昔話が始まって]
……まだ何も言ってないのに。
[つい、目を逸らして小声でぼやいた]
[老人たちの昔話は、こちらを放りっぱなしのまま続いている]
……僕は一旦抜けますね。
それじゃ。おにぎり、ご馳走様でした。
[差し入れへの礼を言うと、話の邪魔をしないようにこっそりとその場を抜け出した]
……はあ。
[小さく溜息をつくと、次の仕事を探して歩き始める]
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