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[何の前触れもなく鳴り響いたのは、時計の鐘の音。
その数、きっちり13回。
それに絡まるように、歌うような声が響いて。
次の瞬間、周囲を濃いあおいろが包み込んで、そして──]
『やあ、いらっしゃい』
[ふと気が付くと、目の前には兎がいた。
手には懐中時計、ご丁寧に後脚で直立したそいつは、軽い調子でこう言って、それから]
『時計の『鍵』と『螺子』を探してるんだけど、知らない?』
『見つからないと、この空間崩れて海に沈んじゃうんだよねー』
『というわけで、手を貸してほしいんだけどー』
『このままここ沈んじゃうと、君らも帰れないかも知れないしー』
[こちらに何か言わせる隙なく、早口に言い募る]
『厄介なのはさー、ここの『時計』、主がどっかに沈んじゃってるみたいでさー』
『そのせいか、『鍵』と『螺子』もカタチがわかんないんだぁ』
『どこかにあるのか、誰かが持ってるのか……そこ、さっぱりなんだよ』
『もしかしたら探したり見分けたりできるのかもしれないけど、うん、よくわかんないや!』
[更にはそんな問題発言まで積み上げて。
てんてんてんてん、跳ねた後。
{5}メートルほど大きく跳ねて、姿を消した]
[もといた場所はさて、どこだったろう。
いずれにしても、今いるそこは見知らぬ海辺の街。
街角のあちこち、揺れるのは色とりどりの朝顔の花。
遠く、近く、響く歌声はどこから聞こえるのか。
辿ればそれはかき乱される、そんな街]
[近くにいるのは誰だろう。
さっきまでいた誰かはいないかもしれない、いなかった誰かがいるかも知れない。
携帯もスマホも、どれもこれもが表示はでたらめだけど。
同じ場所にいる者同士では、通じたりするのかも。**]
[☆業務連絡
プロで同じ場所にいなかった人といきなり遭遇するのもOKです。
また、携帯やスマホなどの機器の動作は、空間外に繋がる、以外ならば何が起きても大丈夫です。
その辺りは、皆様のやり易いようにどうぞ]
[また、ランダの出目が奇数でしたので、『何か』の正体は『狐』が決めてください。
『何か』について、メモやwikiに書き込む必要はありません、ロールの中で出してください]
[日陰とは言え、気温は高く体力は消耗し行く。
そろそろ涼みに行くかと腰を上げかけた時、その音は聞こえて来た]
───……、 はて
[柱時計のような音。
ここにそんな時計は無かったはず、と周囲を見回す。
飼い猫も膝の上で頭を擡げ、何かに反応しているようだった]
、 ……
[不意に飼い猫が飛び上がり、ウミの両肩へと四肢を乗せて身を寄せる。
それを右手で支えながら音を聞いていると、ささやかな歌声が混じっていることに気付いた。
遠くなった耳にも届くおと。
それが誰なのかを判別する前に、視界が濃いあおいろに包まれた。
まるで、海の中へと落とされたような ───]
[我に返ったのは幾許後のことか。
ウミは未だベンチに座ったまま。
けれど、その周囲は僅かばかり様相を異にしていた]
……あれまぁ。
[展望台から見える景色に変わりは無いが、灯台の姿が真新しく見える。
次いで、植え込みの緑に色とりどりの花が混じっていることに気付いた。
見ればあちこちから蔓が伸び出ている]
あの世でも見とるのかの。
[縁起でもないことを口にすると、否定するように飼い猫が耳元で鳴いた。
両肩にある重みと、手に温もりがあることから夢と言うわけでもないらしい]
[肩から飼い猫が下り、何が起きたのか把握出来ずに居ると、一羽の兎が目の前に現れ声をかけてきた>>#2。
言葉を発していることにも驚きだが、彼は二足歩行でウミの前に立っている]
おんやまぁ。
[驚きを隠せぬまま見遣っていたが、そんな様子もお構い無しに兎は捲くし立て、言うだけ言ってこちらの返答も聞かずに跳ねて消えてしまう]
…不思議なこともあるもんじゃ。
のぅ、海守?
[飼い猫に声をかければ、地面に座った状態で不機嫌そうに尾を振られた。
低い鳴き声は、めんどくさー、と言っているよう。
何となく、飼い猫が言いたいことが分かったような気がして、ウミはおかしげに笑った]
やれやれ、こんな年寄りが力になれるとは思えんが…。
頼まれたとあれば仕方あるまい。
[色々と分からないことだらけではあるが、あの兎が困っているらしいというのは理解した。
放っておくことは出来ないと思い、ベンチから腰を上げ軽く身体を伸ばす。
そうしてから先ずは展望台に落ちてはいないかと探し始めた*]
……あー。
[がじ、と頭を掻く。
さて、どうしたものか、と思いながら改めて周囲を見回した。
今いる場所も公園のようだけれど、見知ったそれとは似ていて違う。
そも、さっきまでいた公園にはこんなあちこちに朝顔はなかったはずだ]
……てか、随分静かだな?
[騒々しいのがいなくなって、改めて気付いた事。
あれだけ賑やかだった子供たちの声は聞こえず、姿も見えない。
本当に誰もいないのか、ともう一度、見回した視界に人の姿はあるか、どうか。**]
[頷く格好がやけに恭しくて、くすりと笑いを零しては]
うん、頑張って。ゼンちゃんなら心強いわ。
大変ね、それは。今度冷たいものでも差し入れに行こうかしら
[当代さんともそれなりに親しくはしている故、夏場に顔を合わせられないのはちょっぴり寂しいような。
冷たいものはそこらにあるだろうけれど、ふとそんな提案を。]
予算…なるほど。
あたしなら喜んで払っちゃうけど。ゼンちゃんもお疲れ様、ね
[当然にあるものと思っていたけれど、楽しみの影であれこれと努力しているようで
冗談めかした口調にも話を聞けば労って。
ふふ、ありがとう。心待ちにしてるわ
[笑みを浮かべて頷いてみせる。
メモを取り終えたのか、携帯を帯に挟み込む様子に
精密機器と和装の組み合わせは、なんだか不思議な感じもする。]
あら、そうなの?
[時計を覗き込むのを見て、気付けば時間が回っていたよう。
あたしもそろそろ戻ろうかしら、と]
うん、じゃあまたね
[ひらひらと手を振って見せて、子どもたちとのやり取りにくすりと笑って
彼が去っていくのを見れば、ママさんたちに軽くお辞儀を。
反対の出口で公園を後にしては、家までのちょっとの道のり。]
[並木道を行こうかと考えたけれど、なんとなしに小路のまま。
住宅地の角を曲がればふと、その先に]
…あら?
[白い影が、ぴょんぴょんと。
この辺に兎なんていたっけ、とじっと目を凝らしたら]
あれれ?
[そこにはもう、白い姿は見えなくて。
照りつけられたアスファルトが、ゆらゆらと陽炎を作るだけ。
気の所為かしら。
おかしなことがあるのね、なんて気にも留めず
ふらり、足を踏み出して。]*
[兎を見失った初音は、ヴァイオリンケースを胸の前で抱え直し、
きょろきょろと周囲を見渡す。
展望台へ向かう遊歩道は町より高くなっているので、
景色がよく見えた。
とはいえ、初音は滅多にここへ来ない。
町のようすが変わっているのか、それとも元のままなのか、]
……わか、らない……
[海辺の町なのは同じだし、目立つ建物がないところも同じ。
だが……
故郷ではなく、
高校生活のために越してきただけの初音は、
町に興味がなかった。]
[ヴァイオリンの恩師が隠棲するまで、名前すら知らなかった町なのだ。
そのことに改めて気づくと、初音は酷く不安に襲われた。
青い波。
校門前で、そしてついさっき見たあの波が幻覚ならば、]
兎も……?
[考えながら、遊歩道の片側の手すりにすがろうとして、
初音は立ち竦む。
ついさっきまで、あちこちでペンキの禿げた手すりは古かった。
それが新しくなっている。]
嘘……
[ヴァイオリンケースと学生鞄をぎゅっと抱きしめると、
初音は後ずさった。]
[今も続く歌声はどこから聞こえてくるのか。
近いようでもあり、遠いようでもあり。>>#3
しばらく耳を澄ましていた初音は、
この歌声こそが不安をかきたてるのではないかと思った。
ときおり不協和音の混じったメロディは、高く、低く。
聞く者を落ちつかない気分にさせる。
あのアブラゼミの合唱のごとく、
不愉快で、不規則な音の羅列に歌声を付けたかのよう。
ヴァイオリンケースと学生鞄を片手に提げ直し、
初音はおそるおそる老人>>7と猫>>6に近づいた。]
あのう……
何か探し物ですか?
[背中を向けていたのは、初めて見る顔だったろうか。
それとも、どこかで出会ったことのある相手か?**]
[カランコロンと下駄が鳴る。和装は着付けもやるし、お客の評判も良いから着慣れたもんだ。
幼馴染みとかは、おっさん臭いって言いやがるけどな。
あー、朝顔が咲いてんなあ...最近グリーンカーテンとかで、結構、植えてる家が増えたよな]
にしても、あっちい...
[出際に持ち出した店の名前の入った団扇で、ぱたぱたと顔を仰ぐと、ちったあ涼しい気がするのは、海が近くなったせいかな。
気のせいか、波の音も近く...ちか、くぅ?!]
近すぎるだろっ!!
[思わず突っ込み入れた俺の目の前に、ざん、と、白い波頭、つーかこれ、ほとんど海の中ですから!]
[周りは一面にあおに包まれて]
わけわっかんねえよ.........
[気付けば、俺は、やたらに咲き乱れる朝顔の中に、居た]
[波のおとが聞こえる、歌声もまだ...
まるで.........]
て、うわっ!なんだおまえっ?!
[なーんて、感傷に浸る暇も無く、突然現れた直立歩行の兎が、なんだか一方的に色々まくしたてる。
何がなんだかわからねーっつの!てか、勝手なこと言ってんじゃねーよ、このっ!]
おいこら、人の話を聞けーっ!!
[こっちが、口を開く前に消えやがった]
あーもう!なんだってんだ。
[頭を抱えるって、こーゆー状況を言うんだよな、と、本気で頭を抱えながら俺は思ったね。
えーと、なんだっけ?鍵と螺子?]
.........たーく、しらねっつの。
[はあ、と溜め息が漏れた。溜め息つくと幸せが逃げてくって歌の文句かなんかだったっけ?
ああもう、あの兎野郎、俺の僅かな幸せ返しやがれ!]
おーい?誰かいるかー?
[探せと言われても、意味わかんねーし、朝顔の向こうに、人影が見えた気がして、俺は、とりあえず、歩き出したんだ**]
いや、ちぃとなぁ。
兎に探しものを頼まれたもんでの。
[相手はどこか警戒するような様子ではあったが、ウミは街の人に声をかけるのと同様、柔和な笑みで応じる。
伝えた内容は突飛無いもののように感じるかも知れないが、ウミとしては至って真面目な回答だった]
『鍵』に、『螺子』、じゃったかの。
[思い出すように空を見上げながら呟くと、傍らで飼い猫が「なぁう」と鳴いた*]
[相手の柔和な笑顔>>27にいくぶん安心しながら、
初音は質問を続けた。]
……音楽が聞こえませんか?
さっきは鐘の音もしました。
[猫は警戒を解いたのか、傍らで「なぁう」と鳴く。>>27
ふと初音は灯台を見る。
真っ白な壁面>>0:30に小さな違和感をおぼえた。
いつだったか、役所か公民館で説明パネルを見た気がする。
町のシンボル的な建物で、長年潮風にさらされて傷みが激しいと。
補修工事のため一般からも募金を集めている、と……。
目の前の灯台は、何十年も前の建物とは到底思えないほど、
新しく>>5、誇らしげに佇んでいるように見えた。**]
……んー…
別に思い出せなくたって困りゃしないけど、なんか…
[先の光景や、自分が海に行かなくなった理由が解らないことが、気にかかって。
水面を見つめたまま記憶を掘り返そうとしていたら、くらくらとした眩暈を感じた]
っ、やば、日陰から出てた…
お茶、や、スポドリ飲もうスポドリ。
え、う、うさ…え、しゃべ…
[驚きのあまりフリーズしているこちらには構わず、>>#2いずこかの童話に居そうな身形の兎は早口で言いたいことだけ言い募り。
何とか気を取り直せたものの丁度兎が『よくわかんないや!』と言い切ったところで、見開いたままの目が限界超えそうな位大きくなった]
は?
いや、ちょ、こっちこそよくわかんないっつか、もっと詳しく教えて欲しいっていうか、
てかあんた何で喋ってんの喋れてんのって、ちょっとまて兎ーーーーーーー!?
[現状諸々に混乱しながらも出てきた疑問やら質問やら投げかけようとしたのだが、それよりも兎の行動の方が早かった]
[ぽんぽんぽーんと軽やかに、しかも5mの高さまで跳ばれてしまっては追いかけようもない。
多分最初っからこっちに応対する気なかったんだろうその行動に、残された少女は唖然と憤然ごちゃまぜな感情で兎の消えていった方角を見つめ]
………手を貸してって言ったって、帰れないかもとか言われたらヤダって言える訳ないし、
でもカタチわかんないのにどうやって探せっていうか、そもそもあんたがよくわかんないっていうかもう、もう…
なんなのよあのウサギーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
[憤りやら不安やら困惑やら、この短時間で身の内に溜まったいろんなものを声に込めて吐き出した後]
………てゆーか、ここ、どこ。
[ようやく周囲に意識を向ければ、見覚えの無い街並みに大輪の朝顔が目に留まった**]
[そうして閑静な住宅地を、時折遠くから聞こえる子どもの声、
大通りの車の行き交う音を聞きながら、歩いて。
気が付けばてっぺんの太陽はいくらか傾いて、反対に、地面に染みた熱が立ち込める。
暑い午後。
無意識に視線は足元の先へ、手をうちわのようにして扇ぎながら
――熱のせい、だと思った。
ふと、上げた視界に広がるそれは
ほんの刹那のこと。懐かしい香りがしたかと思えば、湿った風が、いつかの潮風みたいで]
…?
[振り返った。誰かが、あたしの名前を呼んだ気がして
知らない人、じゃなくて、聞き覚えのある声、でもなくて
ずっと、どこかで焦がれ続けてた、懐かしい声で。
何もなかった。
ただ、広がるのは歩いてきた道。ゆらり、陽炎。]
[けれど、前を向きなおれば]
―――……っ、
[思わず目を見開く。
視界いっぱいに広がって見えた、それはコバルトブルーの
青春を過ごしたとき、飽きるくらいに目にした色で。
いつかの、海の色で。]
あたし、疲れてるのかもしれない。
それか、日の光を浴びていたせいか。
そんなことを思ったのは、目をこすってみればそこは、何ら変わらない住宅地だったから。]
[なんだか、変な日。
兎に、海。幻を見ているみたいで
そしてそれが本当に変だとわかったのは、耳に届いた鐘の音。
この街に鐘なんかあったかしら、と耳を疑って
けれど幻と違って、繰り返し鳴り響いて。
13回。
無意識に数えた音が鳴りやめば、今度はどこからか誰かが歌う声がして。
本当にどうしちゃったのかしら、と
考える暇もない、その瞬間。
海みたいな、ううん。透き通った海よりずっと深く、濃いあおいろが広がった。
抗う術もなくそれは、あたしを包み込んで、思わず目を瞑る――*]
[少女の顔に安堵の色が宿る>>28。
その様子を見て、ウミもまた笑みながら頷きを一つした]
ほほぅ、お嬢さんも見たのかね。
あれは妖の類なのかもしれんが…邪気は無かったからのぅ。
どうやら困っておるようじゃからの、手伝うてやろうと思うてな。
さぁて、『鍵』も『螺子』も何を示すのか、それはわしにも分からん。
じゃがわしらに頼んだと言うことは、わしらならば探せると言うことなのじゃろう。
……不思議なもんじゃ。
わしの目にはここが「過去」のように映っておる。
ここは「現実」ではないのかもしれんのぅ。
[矢継ぎ早に疑問を口にする少女>>29に嫌な顔一つせず、考えていることを答えとして紡いでいく。
結局のところ、ウミにも現状を把握し切れていない。
目にしたものを断片的に知るのみだ]
ふぅむ、境遇はわしと似ておるようじゃな。
[あおいろに包まれた後に兎に逢った。
話を聞く限り、少女とウミは同じような体験をしたらしい。
今居る場所を不思議と思うのも同様>>40のようだ]
おぉ、ご丁寧にどうも。
名乗らずすまんかった。
わしは海庭千一と言う、皆からはウミさんと呼ばれておるよ。
[一礼と共に向けられた名乗り>>41に名乗り返し、ウミもまた頭を下げた。
それから飼い猫を指し示す]
あの子は海守(みもり)と言う。
どうやらここに興味を持ったようじゃの。
[ここに来てから飼い猫が思うことが何となく分かるようになった気がする。
単なる思い込みなのかも知れないが、以前は無かった不思議な感覚だった。
少女 ── ハツネが飼い猫を追うように足を出すのを見れば、「気を付けてな」と声だけ向けて見送る心算]
[当の飼い猫は追われるのも気にせず、海岸への道をひた歩く。
目的があるような無いような、猫特有の気紛れにも似た道の選び方*]
[見回した公園に、人の姿は見えなくて。
さて、どうしたもんか、と思いながらまた頭を掻いた]
……つーか。
ここって、似てんなぁ。
[昔通った違う場所の公園に。
10年ひと昔、そんな言葉がふと過るような時間を隔てた思い出に浸りそうになるのは、微かに聞こえる歌声のせいか]
……あー……こりゃ、あれか。
昨夜、親父としょーもない喧嘩した影響か。
[誰もいないのをいい事に、そんな言葉を吐き捨てる。
いい加減嫁を、という父と言い合いになり、結果、向こうがダウンして物別れに終わったのは昨夜の事で]
……だいったい。
俺がバツイチになったん、誰のせいだっつーの……。
[妙に低い呟きは吹き抜けた風がどこかへ浚う。
やれやれ、とため息ついた後、とにかくここで立ち止まっていても、と下駄をからころ鳴らして再び歩き出した。*]
[自己紹介を交わすと、初音にも微笑む余裕ができた。]
ウミさん、ですか。>>42
よろしくお願いします。
[猫の名前を教えられ、]
ミモリちゃん?
[呼ぶが、猫はそのまま、灯台の下にある海岸へ降りていくようす。>>43
追いかけようと数歩進めば、
ウミからは「気を付けてな」>>42と声だけかけられた。
どうやら、彼はこのまま展望台に留まるつもりらしい。
老人をひとりで残しておくのも気になるが、
初音はもう1度軽く頭を下げると、歩き出した猫を追いかけた。
海岸へつながる道は下り坂と急な階段で、
ウミの足には負担なのかもしれないと思い直して。**]
朝顔きれー…って、そんな場合じゃないしっ
てかアタシ、鞄…あった、良かったぁ…
[大輪の朝顔に思わず見とれかけたが、すぐに気を取り直し。
無意識に抱きかかえていた鞄に目を落とすと一瞬安堵するも、表情がへにゃりと崩れ]
…てゆーか、本当、もう訳わかんない、
アタシ川に居たのに何で街ん中にってか本当どこなのココ…
さがすって言ったって、どこかもわかんないとこウロウロして見つかる訳ないじゃんよぅ…
[何時からかじわじわと浮かんできた涙で半泣きになりながら、その場にしゃがみこんだ*]
─ 展望台→海岸 ─
[灯台の裏手からつながる海岸への道は、
下り坂と幅の狭い急な階段につながっていた。
むきだしの鉄棒のような手すりが付けられているけれども、
喜んで通るのは猫か、やんちゃな小学生男子くらいと思われ、
初音はウミが来なかった理由を察した。
ヴァイオリンケースを片腕でしっかり抱え、
もう片方の手で手すりと学生鞄を握りしめながら、
初音は慎重に海岸へ降りた。
潮風が気持ちいい。
大きく息を吸い込みながら、今来た道を見上げる。
周囲の繁みからは朝顔の花と蔓が、
まるで何かをつかもうとするかのように伸びていた。]
[下駄を鳴らして歩きつつ、ふと思いついて帯に挟んだスマホを取り出し]
……なんだよ、これ。
[ロック画面の時計表示が『--:--』となっているのに、眉を寄せた。
ロックを解除してみるものの、目に入ったのは化けまくったアイコンの羅列]
…………。
[無言で、スマホを帯に戻した。*]
[ハツネ>>46を見送ってから、ウミは再びベンチへと腰掛ける。
一つ息を吐くと、海と灯台を視界に入れた]
探しもの一つするにも、辛い身体になってしもうたのぅ。
[年を考えれば体力の低下は否めない。
昔であれば、と思えど、時は戻ってくれない]
……探しもの、か。
さぁて、上手く見つけてやれるかのぅ。
[灯台守として過ごしていた頃、浜辺での落し物・忘れ物の類を預かっていたこともあった。
自分で見つけたもの然り、届けられたもの然り。
引き取り手がいないものもあったが、取りに来た者達の笑顔は今でも覚えている]
あぁ……あの時も、こんな暑い日じゃったか。
[夏の海は忘れ物も多かったのである*]
[打開案がまったく見えなくて、途方にくれて半泣きでしゃがみこみはしたものの。数分もしない内に、腰をあげて顔を腕で擦って涙を拭い]
…わかんない事ばっか、だけど。
ここに何時までも座ってたって仕方ないし。
[とにかく、なにかを探さなきゃいけないのは解っている。
手がかりがないなら、足を使って隈なく探す以外の手は無いだろうと、あて無く歩き始めた。
そのとき、ふ、と気づいたのは]
……ここ、あの海の近くの街にあった雑貨屋さんに…似て…る…?
[店頭に大輪の朝顔を咲かせる店先が、子供の頃足しげく通った海近くの街並みのそれに重なって見えて。
なぜか感じる苦しさに、すぐ視線を外して踵を返した**]
[からん、ころんと下駄がなる。
進む道の両脇では、色とりどりの朝顔が風に揺れていた]
…………つかホント、誰もいないんかねぇ。
[独りごちつつ歩みを進める内、風の感触が変わった気がした]
……ん? 海、近い?
[小さく呟いて空気の匂いを嗅ぐ。
微かに感じる潮の香は、予想を裏付けるもの。
そしてそちらに近づくにつれて、微かに聞こえる歌声が大きくなるような、そんな気がした]
この歌も、覚えがあるよーなないよーな。
[呟いて、からころり、歩みを進める。
しばし進めば目に入るのは展望台らしきもの]
……とーりあえず、行ってみますかねぇ。
[言いつつ、足を向けるものの。
足取りは軽妙な音に比して重いもの。*]
やーれやれ、ゴーストタウンてやつかい、これは?
[カランコロン、響くのは俺の下駄の音だけだ。目に入るのは見知らぬ街並と海と朝顔ただそれだけ]
相変わらずあっちいし...
[つっても、海風が涼しい分、ちっとはマシかもな。団扇ないとやってられんけど...と、思いつつ、歩き続けた。
傍目にはふっつーに散歩でもしてるようにしか見えないんじゃね?]
[遠くとおく、歌は途切れず聞こえていて、俺はまじで困惑していた]
だから、何が言いたいんだっつー...
[ゆらゆらと海風に朝顔が揺れてる。あの夏を思い出せって言うみたいに]
「そのはずだけど、ここ何年か無茶苦茶に暑いのよねえ。」
……。
そうかあ、日本にずっといるコハルちゃんでもそうなのか。
[もし万一自分の故郷がこんなに暑くなったら、どんなに大変な事になるだろう。
一年中雪の消えない山間部である。きっと麓は大洪水になってしまう。]
あ、と。
俺は、夏神善司ってぇもんです。
[思い出したように自分の名を告げ、それから]
で、そちらさんは、ここで何を?
[素で浮かんだ疑問を投げてみた。**]
[そして、すべての雪が溶けてしまったら、魚のいないあの湖はどうなるのだろう──]
っと、もうこんな時間。
[実験再開まであと20分くらいだ。
少し慌て気味に、色とりどりの具をのせた麺に箸をのばした。]
──んぐっ
[急いで食べ過ぎた。
皿の横の冷たいお茶を手に取りかけて]
……夏神さんや。
貴方は海に想い出はあるかね?
わしは昔、灯台守をしとっての。
海は身近な存在じゃったよ。
それこそ、良い事も悪い事も、全部見てきたわい。
[問い返す声に懐古の色が乗る。
楽しい想い出も悲しい想い出も、全てが詰まった海の想い出。
その想い出全てがウミの人生だ]
じゃがのぅ、もうこの年だ。
思い出せないものも増えてきてしもうての。
悲しいやら悔しいやら申し訳ないやらじゃ。
[海へと視線を戻しながら、自嘲めいた笑みを浮かべる。
どんな想い出であっても大切なもの。
それが思い出せないことに小さく溜息をつきながら、相手の反応を待った**]
行っちゃった……
[先程手に取ろうとしたお茶を改めて飲もうとして]
ここ、どこなのよ……。
[自分のいる場所が、学生食堂ではなく──それどころか屋内ですらない事に気がついた。
高く青い空、何か音が聞こえる。**]
[初音はウミがかつて灯台守であったことも、>>0:30
浜辺の管理を任されていた>>0:51ことも知らない。
ただ、その海の家が無人であることをわけもなく確信し、
数歩後ずさった。
表情を強張らせ、背筋に冷たい汗をかきながら。
ここは朝顔の町の一部だ。
ウミがおっとり語ったような、過去>>38に戻っただけの町では
なさそうだった。
初音はミモリの姿を求め、防波堤の上へと視線を走らせた。
猫がまだ自分に視線を向けていれば、>>69
防波堤から離れて日陰へ入り、]
ミモリ、こっちへ来て……
ね、誰か他のひとはいない?
ウミさんとわたしの他にも、誰か人間が近くにいない、かな……?
[心細さの滲んだ声で、そう呼びかけるだろう。**]
……海に思い出……か。
[言いつつ、ふい、と視線を海へと向ける]
あーんまり、ないかもですねぇ。
家業柄、夏に家族で海に遊びに行く、なんて考えられませんでしたし。
学生の頃に、ダチと騒いだ事くらいかなぁ。
[他にもなくはない、けれど、思いだしたいかと言われると考えてしまう。
そこに、微かに歌う声が被さって、思考が伸びるのを遮った]
思い出せないのが辛い、かぁ。
その境地には、俺はまだまだ遠いなぁ。
[ふる、と軽く首を振った後、ため息混じりに言葉を吐き出して。
懐から出した扇子を開いて、ぱたりと扇ぐ。
描かれているのは、色鮮やかな朝顔柄。**]
[朝顔に つるべとられて もらひ水
その句を詠んだのは、
加賀千代女(かがのちよじょ)として知られる女流俳人だった。
朝顔を多く題材にしたので、出身地の旧松任市や合併後の白山市では、
市のシンボルとして市民に広く栽培を奨励している。
朝顔。
隣接するK市生まれの初音にとっても、それはありふれた、
親しみやすい植物、のはず……、
なのだが。]
多すぎる…………。
[初音はつぶやく。
タブノキの木陰で汗を拭きながら。]
[野生化して長いのか、この町では直植えする習慣なのか、
一年性植物とは思えないほど、朝顔はあちこちで繁茂していた。
海の家のように、小規模の建物の中には蔓と葉で半ば覆われているものもあるほどだ。
そして、それらが競うように花を広げていた。]
ミモリはどう思う……?
わたし、考えすぎかな……
[猫はついてきてくれただろうか。
まだ近くにいるなら、そう声をかける。]
[初音は耳を澄ませる。
波音だけだ。
音楽は聞こえない。]
……誰か、探そうか。
きっと、ナミさんとわたしだけじゃない。
この世界に呼ばれたか迷い込んだかした人が、
他にもいると思う。
[猫にそう決意を告げると、初音は木陰に学生鞄を置き、
ヴァイオリンケースを開けた。]
[帽子をかぶっているでもなく、日焼け止めも塗ってはいないので、どこか日陰はないかとあたりを見回し]
ここは、もしかして、うみのそば?
[立っている地面は白い砂地。
空と同じく青い水が向こうに見える。さっきから聞こえていたのは、白い波が打ち寄せる音らしい。]
これが、海……。
[この国に来る時の飛行機の窓から以来、海を見たのは二度目だ。]
[手の汗をハンカチでよく拭うと、ヴァイオリンを取り出し、
緩めていたペグ(糸巻き)を調節する。
4本の弦を順番に指で弾き、音叉と音を聴き比べること数回。
取り出した弓のねじを回し、弓毛に松脂を塗り、
初音は立ち上がった。
呼吸を整え、あご当てに布を挟んで、肩と顎でしっかりホールドする。
弓を構えると、まずは練習がてらに短い曲からと思い、
エドワード・エルガーの『愛の挨拶』を奏で始めた。]
[エルガーが友人の婚約記念に贈った曲はすぐに終わる。
3分足らずのロマンティックなメロディを耳にした人はいただろうか。
次はフリッツ・クライスラーの『美しきロスマリン』。
初音は『愛の喜び』『愛の悲しみ』と演奏を続ける。
ロマンティックで甘やかな響きのこれらの曲は、演奏される機会も多く、
聞き知った人も多いだろう。
全部合わせて15分も経っていないが、演奏に集中していると雑念が消えていく。
初音は何度か深呼吸すると、
パブロ・デ・サラサーテの『ツィゴイネルワイゼン』を弾き始めた。
ヴァイオリンの音を嫌う猫は多いらしいが、ミモリはどうだったろう?
その姿が見えなくなっていても、演奏に集中した初音は気づかなかったに違いない。**]
[さらに15分ほどかけてヨハン・ゼバスティアン・バッハの『シャコンヌ』を力強く弾き終えると、
初音は大きく息を吐いて弓をおろした。
汗は引いたけれども、風が来ないせいか、じっとりした暑さを感じる。
もう1曲だけ弾いたらここを移動しようと初音は思った。
大きなタブノキの枝葉を見上げ、元気の出そうな曲をしばし考える。]
[葉加瀬太郎の『情熱大陸』を選んで、初音は弓を構え直した。
どこかもの悲しい印象のイントロから、
雰囲気の一変する陽気なディスコテイストのサビのメロディへ。
脳裏にピアノの伴奏を思い浮かべながら、初音は片足でリズムを取る。
数分間でくるくると表情を変えるメロディは、
TV番組のタイトル通り、聴く者に強い“情熱”を感じさせるだろう。
今、この近くに、
見知らぬ異世界へ飛ばされて途方に暮れている誰かがいるならば、
この曲で勇気づけられるだろうか。**]
[問いに先ず返ったのは惚けた声。
ウミにしてみれば考えていたことの継続であるため、流れとしておかしいことは無いのだが、聞かれた側には唐突に思えたことだろう。
それでもゼンジは問いの答え>>76を返してくれる]
そうかい。
そこらはやはり人それぞれじゃのぅ。
年を経れば辛い過去も笑い話になる時が来る。
そうして話せる相手が居ったり、思い出せるうちはええのかもしれんのぅ。
忘れてしもうたら、それすらも出来ん。
残念なことじゃ。
[ウミが考えるような境地にはまだ遠い、と言うゼンジにしみじみと言った様子で言葉を向けた]
まぁ、わしら程年を食うてしまえば、忘れたことも笑い話になってしまうのだがの。
[次いで、とぼけるように笑いながらそんなことを言う]
引き止めてしまったかの。
探しものが見つかるとええのぅ。
[ゼンジもまた兎に頼まれているのだから探すのだろうと考え、そう言葉を向けて彼を見遣った*]
[──波の音に何かが紛れ込む。
どこかで聴いた覚えのある調べ─実は下宿先の近所のスーパーの閉店前に流れる曲だった─は、少し離れたところに見える大きな木の方から聴こえてきたようだ。]
誰かいるのかな?
[そちらに向けて歩き出す。]
…こんにちは?
[当たり前のように目の前の兎が口を開いて
ふしぎと、理解できることばで
思わず畏まって挨拶を返してみるけれど]
鍵?空間?
[早口に、器用に発せられる声の紡ぐ内容はてんでわからない。
帰れない、だなんて困っちゃうけれど
―帰るって、何処から?
彼もわからないのならあたしはもっとわ
からない。]
…あっ
[そうして首を傾げているうち、あっという間に飛んでって。
なんだったの、と疑問符だらけ。
追いかければどこか、不思議の国へ行けるかも、なんて飛び去る姿を眺めては]
…何処かしら?
[よくよく見たら、やっぱり違うその場所に
とりあえず、ちょっと歩みを進めてみる。]
[進む先。曲がる角のあちらこちらに花が咲いてて。それも、朝顔。
夏を彩るようで、心が踊る心地。
そうして足を進めては、気付いたら大きな道路に。 ]
………、此処…―――
[海だった。
目の前いっぱいに、視界を埋め尽くすコバルトブルー。
吹き付ける潮風、遠く遠く広がる空。
瞬きしたって、確かに其処に。
同時、胸に埋まった記憶が溢れ出すような
とにかくいっぱいで、満たされて、ちょっぴり苦しいくらい。
その懐かしさに、ただ呆然と海を見つめて。]
[海岸から見上げると、灯台は丘の上というより崖の上の印象だ。
初音の片手は荷物でつねにふさがっている。
戻って、あの人ひとり分がやっと通れる幅の、急な階段を上がる気にはなれなかった。
町のほうを見やり、初音は考える。
ウミが推測したような過去>>38の町になっていても、
大きな道は変わらないのではないだろうか。
学校を出てからそうしたように、
展望台へと続く遊歩道を上がっていけば、またウミに会えるだろうと思い、
向きを変えた瞬間、黄色いものが目に入り、驚く。
若い女性の衣服だった。>>91
相手は初音に気づいただろうか。*]
[木の方に近付くうちに、木陰に誰かいるのが見えた。
どうやら女性のようだ、と気付いたあたりで、メロディが途絶える。]
……楽器を弾いていたのかな
[誰かが、しゃがみ込んで何かをしまうような動作の後、立ち上がって木陰を離れていくのが見えた。]
あ。
[どうしたものかと一瞬迷って]
[手を振って、立ち去ろうとする女性に向かって走り出した。
走りながらスカートの裾を気にする動作はともかく、呼びかけた声は、どうもうら若い娘らしからぬものだったのが少々残念である。]
あ、いや、お気になさらず。
しょーじき、宛てもない手がかりもない、ないない尽くしでどーすっか、取りあえず歩いてみっか、てな感じでしたし。
他にも人がいる事がわかっただけでも、大きいですしねぇ。
[引き止めについてはさらっと返す、ものの。>>90
続いた言葉にはほんの少し、苦い笑みが浮かんだ]
……見つかる、と。
そーですねぇ。
[返す言葉はどこか気のない声。
どこか気怠い雰囲気を絶ち切るように、ぱしん、と音を立てて扇子を閉じる]
んじゃ、ま、取りあえず俺はもう少し歩いてみますわ。
ご縁があったら、また後で。
[軽い口調でそう紡ぎ、一礼した後踵を返して展望台を降りていく。*]
さわ はつね さん。
私、楊宝鈴といいます。中国の****省から来ました。
今は×××大学の学生です。
[よろしく、とこちらも一礼。]
[短く自己紹介を交わし合うと、強く仲間意識を感じる。
自分の単純さに内心呆れながら、]
他にも、この世界……異世界なのか何なのかわかりませんが……
ここへ来ている人がいます。
あの灯台の下、展望台になっていて。
ウミさんというおじいさんが、猫と一緒にこの世界へ。
兎に探し物を頼まれたという話も同じでした。
[崖の上の灯台を指さし、初音は提案した。]
一緒に行きませんか?
町はずれから遊歩道がつながっています。
もしかすると、他にも何人か呼ばれているかもしれません。
町の中で出会えるかも……
[雑貨屋前から足早に離れ、どれ程経っただろうか。
歩きながら街並みを見ていくにつれ、感じる違和と伴う不安は徐々に強くなっていた。
何時からか耳に届き続けている微かな歌声も、それを助長していくようで]
…なんで、誰も居ないのよぅ…
[おそらく商店街だろう店の連なり。
ラインナップを見る限りでは繁華街とまではいかないものの、そこそこの賑わいはありそうだ。
なのに、人影が一つも無いのが不自然極まりない。
まるで街の住人が丸ごと消えてしまったかのような、こんな場所で一人きりということがより怖さを増して]
なんか、理由でもあるの…?
[何で自分が此処にいるのか、どうして誰もいないのか。
それ以外にも、不思議に思うことの幾つかに対しての疑問を声に出しながら無人の街並みを進んでいく。
耳に届く歌声をかき消さない程の、波の音には気づいていたけれど。
その音の聞こえる方に足を向けようとしていないことには無意識気づかないまま、あてもなく歩みを進めていた**]
[一人、否、一匹気ままに歩く飼い猫は、塀の上や茂みの中を通り抜けて駅前までやってきていた。
うろうろと、半ば迷うように歩いていたのは、この場所が歩き慣れた街ではないことに起因する。
駅前に出ることが出来たのはほぼ偶然のことだった]
「なぁう」
[人気の無いその場所で、飼い猫は一人の女生徒を見つけて鳴き声を上げる。
封筒を握り締めた少女は鳴き声に驚いて、勢い良く飼い猫の方へと顔を向けていた。
二足歩行する兎と異なり、普通の猫らしいと判断したようで、ほっと胸を撫で下ろすのが見える。
その所作を飼い猫はゆらゆらと尻尾を揺らしながら見上げていた*]
音楽は演者も観客も楽しませてくれる。
……あぁ、あの子らが歌ってくれたのは、何と言う歌じゃったかのぅ…。
[よく海に遊びに来ていた子供達が、歌を練習したと言って披露してくれたことがある。
連れ合いと並び、大海原を背にしての合唱は波の音にも負けぬものだった。
子供達とのふれあいの一つであるその歌も、今ではもう、思い出せない*]
[からん、ころんと下駄がなる。
聞き慣れた音ではあるが、ここでは妙に耳についた]
……そんだけ静か、って事かあ。
[人的騒音がないから、余計に響いて聞こえるのだろう、と。
納得しながら、からころからころ道を行く]
にしても、こいつら。
……どんだけ咲いてんだよ。
[行く先々で揺れる色とりどり。
これのお陰で、先に進んでるのか同じところを回っているのか、その判別が今一つつけられない]
つか、水持ってくるんだったな……。
[陽射しにふと思うのは、そんな事。*]
[相も変わらず朝顔の中を歩いている。なんかこう、意外と平和つーか、のんびりした気分になってきたな]
このまんま、でも、いいんじゃ...
[口に出たのは、無意識だ。あー、まじで俺ストレス溜まってる?]
[半分くらいは、遠く聞こえ続けてる歌のせいじゃねえか、と思う]
そらのあお うみのあお
あしたさくはな あおいはな
[どこかで聞いたような、全然知らないような、そんな歌*]
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