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…だめだめ、ホズミ。聴こえていないよ。
[茶屋の奥から場違いな身なりの女性が顔を出す。ホズミが団子を食べる様子をにこにこしながら見守っている老婆の耳元へ屈み]
テレビ局がー。この辺をっ、写しに来るんだってさー、
かあさん。
[たまにしか訪れない実家。客に供されたみたらし団子の焼き加減は記憶にあるそのままに。]
ちゃんと聞こえてるのは、注文だけなのねえ。
[そっと溜息を漏らすと、年老いた母親とホズミの話を根気づよく通訳する作業に*取り掛かった*]
うん、ここが田舎だからって、
面白おかしく写すんじゃないの、って話しよ。
[ニュアンスをうまく伝えられないことに苦笑しながら、母親に語りかける。語尾上がるホズミからの問いには顔を上げて]
逆よ逆、帰ってきたとこ。
あら〜… ホズミにお見合い話
持ってきたって行ったらどうするの?
[箱畳の縁に腰を下ろしながら、ねこに声をかける]
火鉢のそばより、ひとの傍がいいかい?
[そのままホズミに構われるらしき様子へ手出しはせずに、身なりにそぐわぬツッカケ履きの脚をするりと組んだ。]
お店しまって、一緒に暮らそうって言うんだけどね。
この分じゃ生涯現役だ、ふふ。
…そうそう、婚活婚活とは言うけど、
実際若い子はみんなそんな調子。
危機感がないうちは、
何を言ったって*無駄なものよ*
―― 茶屋の奥座敷 ――
[ウミがホズミの団子へご執心の間に、茶屋の一人娘はまた奥へと戻る。火鉢の傍には、ねこの飼い主の姿。]
…それで、どんな様子なんです?
その娘さん――
[分校の校長へ、話の続きらしき言葉を向ける。声はやや顰める調子。]
アンちゃん だったかしら。
[ひと月前、着の身着のまま村へ逃げこんできたと聞く娘の名を口に上らせた]
記憶がない…?何も憶えていないのに
ひどく怯えてるだなんて、 かわいそうに。
[ヘイケは、村の者等の噂にもなっているであろうアンについて、校長から話を聞く。ちゃぶ台の上に広げられている手紙は、過日、校長が遠い町に住むヘイケへ宛てて出したもの。]
『狂信者が』… なんて魘されてるのなら、
新興宗教がらみのトラブルにでも
巻き込まれたのかもしれませんね。
ええ、校長センセイ。
私のところで匿うのは、勿論 構いません。
[ヘイケは顎を引いて、校長へ請け合う。
瞳に過ぎる、追憶のいろ――]
あの先生に似た娘さんだなんて…
きっと何かのご縁なんでしょう*から*。
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