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ある時、屋上で。
男は手すりにもたれて校舎の外の景色を見下ろしている。
「無かったことになんて、なりませんよねえ」
――歴史は。
男の他には誰もいない屋上で、男は誰へともなく微笑だ。それから、持っていた紙切れに目を落とす。
そこには左肩が上がったくせ字――男の字だ――で書かれた一文がある。しばらくそれを眺めて、男はおもむろに細かく破きだした。細かく、細かく。
やがて男の指ではちぎれないほどの紙片になりはてたものは、開いた手から、風に乗って散っていった。
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