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俺は……お前のことが好きだった。
ただそれだけだった。
世界なんて選んじゃいない。ただ、人を……、
手を伸ばす相手を選んだだけだった。
…世界は。俺の世界を俺は無くせない。
だから、こそ。出来るだけをと………
[彼の世界にも変化あれと願った。
争いをなくして、いつか、この世界で出会えて良かったと言える世界を。
それなのに。]
[争いを終えた今、クルミは守る対象から共に立つ対象へ変わっている。
それを言えば良かったか。何かは変わったか。
いや、変わらなかっただろうか。]
世界を…慈しむさ。大切にしてみせる。
クルミと、共に。お前の夢も……追ってみせるよ。
[届くかも分からぬ言葉を紡いで]
…、…?
[ナオがグリタの側にいる。
彼が何事か話しているのかと、目をやった。]
グリタ、お前も。お前の世界の魂もまた。
諦めることはしない。
反論があるならば、聞く。
[名を呼び忘れた自覚なく、彼への言葉を置いた。]
[やがてナオは言葉を伝えてくれようか。
最初にソラの言葉を伝えられれば、
彼女のほうへと視線を動かし、少し、笑って]
…、今頃かよ。
[それだけを返すのだが。]
…旧き神が認めた世界の代表は、あなただ。
だからあなたが世界全ての魂までも道連れにするなら、
それはそれで構わない。
選択権すら要らないというなら、そのようにしよう。
───おっさんの覚悟に付き合わされる命も、気の毒だけどな。
[怒りを叩きつけそうになるのを堪えて、
そのままふいと顔を逸らした。
びしり。と、神の崩壊する音が耳に響く。]
…クルミ。
俺は俺の選択が、真に正しいのか今も良く分からない。
クルミをここに引き止めてしまったことも。
けど……、
後悔しないためにと、いつか君は言ってくれただろ?
俺も後悔をしないための選択をした。
死なせたやつや、滅ぼした世界のやつら。
そんな、俺たちと変わらない違う世界の人々に、
謝ることは出来ないけれど、未来を…それでも未来を示したくて、
そして生き残った世界。
俺たちの世界にも可能性を残し続けたい。
変化して、いつしかより良くなって──…
8thの、セイジの望んだような世界になればいいと…、思って、
だから、俺は────…、
…──いつか、証明してみせる。
選ばないことを選んだ、その意味を。
それまで、待っていろ。
[届かずとも、小さく天へと囁きかけた。
そうして、残された神の座と世界を見渡し目を細めた。*]
神様にも、か。そうだな。
俺たちも、結局は神様になってしまったわけだし。
[何も万能なんかじゃない。
結局のところ、神なんてこんなものなんだろうか。]
ああ。信じる…、うん。
信じて、そして未来へと進むこと…かな。
[目を細めて、クルミと同じく金の月を見上げる。
どこか切ないように、手の届かない上空の月を。]
ははっ、それは心強い。
うん──…なら、きっと大丈夫。
これから先の時が、どれ程の長さでも。
クルミがいてくれるんだし、
…うん?
[思わず、月からクルミへと視線が移動した。
軽い驚きは、やがて緩やかに喜びへと変化する。]
勿論。その方が、俺も…嬉しい。
[手を引き寄せるようにして、少し身体を寄せた。
肩と肩合わせるようにして笑う。]
俺も、会えて良かった。
デンゴ、ゼンジさん。二人とも、元気で。
[大切な仲間と呼び続けた二人に、語りかける。
デンゴの満面の笑顔を、イメージと目に映しながら。]
… またな!
[果たされる見込みのない再会の言葉を、
ささやかな祈りと共に、口にした。]
残るんだな、ナオ。
[ルリはどうであったろう。
彼女も残るなら、それへも等しく笑みを向け、
そうして消え行く最後の仲間たちの姿を目に焼き付ける。]
ああ、これからよろしく。
ひとまずは最初に──…お茶が飲みたいな。
ナオの、とっておきのやつ。
[ふわりと漂う香りには気がついていた。
クルミと寄り添うまま、ナオへと目を向ける。
遥か頭上、漆黒の天には月と共に星が瞬く。
どもまでも果てしない景色であった。
未だ記述されない未来の*ように*]
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