あのね。ここに居る人の魔力を貰えば、魔女になれるんだって。楽しみだね。
[にっこり]
でも……ヘイケさんは居なくなったのかな? 気配がわからないよ……残念。
じゃあ、アンさんだよね。うん。
そうだ。
魔力を貰うまで……なるべくこっそり。こっそり……と。
もしかしたら「分化会」になにかあるかもしれないし。アンさんにバレたら、たいへん。
でも……思い通りにならないの。
気配を殺したい時に殺せない、出たい時に消えちゃう。
ちゃんと、アンさんの魔法の力を手に入れないと……
アンさんにばれたら大変だけど……わからないんだ。
[返ってきた答えに安堵しつつ、不安げな影は消えない]
魔女になるのに、アンさんの魔力だけじゃ……足りない……?
あう。どうしよう。
『──やっと出た』
『お前のの正体を知ってる人が居る』
『くしゃみが聞こえた。誰か来る【また】』
……どういうこと、だろう……?
あたしの正体って、黒の魔法使いってことなのかな。
でも、誰もそんなことを言わないし……助けてくれる人なのかな……
電話の人……あれ……どんな声してたっけ?
[不思議と思い出せない]
でも、アンさんと間違えているかもしれないし……?
アンさんの正体ってなんだろう? あう……?
あ……ど、どうしよう、ムカイ先輩に……電話の内容言っちゃった……!
アンさんの魔力取って魔女になるまでは、こっそりのつもりだったのに! あたしのバカ!
だだだ……だいじょうぶ……かな……。
[腕時計にちらりと目を走らせる]
23時に、アンさんの魔力が取れるから……そうすれば、終わる。