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へぇ、願いが叶う花、ねぇ?
[祭りの余興にと、有り難く掛かった声にクラシックギター片手に会場へ向かう途中、すれ違う子供たちから聞き齧った話に。
無関心を装った*溜息を吐く*]
そうですか、早く治るといいですね。
[鈍行列車を乗り継いで、最終的には村人の車に乗せられた道中。
村の化粧師が病に伏せ、ンガムラは遠い親戚から助っ人に呼ばれたのだった。
ボストンバッグからは枕がはみ出している]
お恥ずかしい話、これでないと眠れないんです。
お祭りの晩にだけ咲く花、か。
おもしろいね。
あぁ、でも。
それを摘んだら、誰かがあの世に連れていかれちゃうんだっけ?
仮に願いをかなえてもらえても、誰が連れていかれるかわからないんじゃ博打は張れないな。
[集会場には、祭事用の道具が所狭しと並べられていた]
よろしくお願いいたします。
[勝手もしきたりもわからぬまま、開いた三面鏡にお辞儀をする。
そこにある不安は押し留めて、平静を*装う*]
ん、どうしてって?
だって考えてごらんよ。
例えば僕が願いを叶える為にその花を摘んだとしよう。
その代償…あぁ、代償じゃ解らないか。
その代わりとして、あの世に連れていかれる誰かが君だとしたらどうする?
他人の願いの為に死ななきゃいけないなんて嫌だろう?
もしかしたら、僕自身があの世に連れていかれるかもしれないけれど、命を引き換えにしてまで叶えたい願いも生憎無いからね。
だから、そんな博打は張れないと言ったのさ。
……お伽噺とか、怪談の類だろ?
[祭りの時にだけ咲く花の物語。
聞こえたそれに、上げたのはやや、呆れた声]
願いの代わりに誰かがあの世に連れて行かれる、なんて……いくら何でも、なぁ。
[古い伝承や、物語は嫌いじゃない。
けれど、誰かがあの世、なんて言われると、何かの警告なんじゃないか、なんて思ってしまう]
[からん、ころん。
下駄を鳴らして登る石段、境内まではもう少し]
大体、そんな話してると、それが悪いものや怪しいものを呼び寄せたりするんだから。
興味本位で広めるべきじゃない。
[自然、諌めるような口調になるのは。
子供の頃に幽霊を見た、と未だに信じているからとは。
一度も口には出していないけれど。**]
[雪駄を履いた足が、けんぱ、と境内の石畳を蹴る]
う、わ、っと。
[よろめけば、一緒に遊ぶ子らがはやし立てる。
負けたら屋台を奢る約束だから盛り上がりもひとしおだ]
そうそう負けてばかりと思うな……うん? ダメだ、そういうのは。
勝負事ってのは祠の花に頼るものじゃないし、第一、お前があの世に行かない保証があるのかい?
[嗜める口調、最後の方はいくらも声を落として怪談のよう*]
[履き古した青いサンダルを揃えて、木製の椅子に腰掛ける]
お祭の晩にだけ咲く花?
ええ、聞いたことがあるわ。
花を摘むことで願いが叶うけれど、神隠しも起きるらしいわね。
物語の題材には丁度良いと言えば良いのだけれど…。
実際に起きるとなると、ねぇ。
[頬に手を当てモミジは首を傾げる。
訊ねられた噂にあまり良い印象を持たないと言うのはその言葉からも知れた]
ただの噂…だと良いのだけれど。
[常々聞く噂であるため、絶対に無い、とは言い切れない不安のようなものが残っている**]
[かしゃり。かしゃり。
祭りの日、賑わう人波から少し離れた、木々の陰になっている場所で、一人の青年がカメラを手に佇んでいた。不連続にあがるシャッター音は、蝉の合唱や人声に紛れるように]
……、
[青年は独り言の一つもなく、ひたすらに写真を撮り続けていた。青年は喋らない。一人の時は勿論、誰かと一緒である時にも。
極めて無口なのが、彼の性質だった**]
[病に伏せっている老婆ボタンから借りた、古文書や獣の毛で出来たブラシと格闘し山を越した。
集会所の入り口からこちらを覗く女学生に気づくと]
顔色が優れないようですが?
[アンの話す伝承には微笑みを返して、自分の化粧道具箱から取り出した紅を少女の唇に差す]
おまじないとでも思って下さい。
呪いの花なんて、面白いじゃないですか。
[人の出入りが落ち着くと、名刺を看板代わりに掲げてみる。
誰かがくれば、付け値で化粧を施すつもりだ*]
[しばらくは話に時間を費やして、その合間に周囲の様子も窺い見る]
さぁさ、盆踊りが始まってしまうわ。
櫓を囲ってちょうだい。
[盆踊りの準備が出来た頃を見計らい、周りに居た子供達に対して注意を引くように手を叩き、櫓の周りに向かうよう促した。
一緒に行こう、と袖を引く子も居たが、それには苦笑と共に首を横に振って]
ごめんなさい、私足を挫いてしまってるの。
今年は踊れないから、ここで皆が踊るのを見ているわ。
[袖を握っていた子供の手を自分の両手で包み、ぽん、と軽く子供の手を叩いて解放する。
子供は残念そうに返事をして盆踊りの輪の中へ。
モミジはその様子を楽しげに眺めていた*]
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