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・・・早く目が醒めちゃった・・・・。
[あまり良く眠れなかったのか、少し赤い目をこすり小さくあくびを噛み殺しつつ、部屋から出てくる。捻挫はもう随分と良くなっているはずなのに、サンダル履きの足を引きずるように歩いているのは気疲れのせいか]
・・・あれ?何だろ・・・・。
[ふと前方のメッセージボードに違和感を感じ、立ち止る。嫌な胸騒ぎを感じつつ、ゆっくりと近づいてゆくと・・・]
―――な、何これ・・・・・。
[呆然と見るその視線の先には、ラッセルとローズマリーの自己紹介用紙。その二枚には書き殴ったような赤い文字で「R.I.P.」と書かれてあり、顔写真には鋏が突き立てられていた]
そうだな。本日のランチを。あとこれ。
[メニューをボーイに返すと、窓からぼんやりと外を見て]
そういえばコンダクターは帰ってきたのだろうか。
[ぽつり、呟き]
[さあっと血の気が引き、かたかたと震え出す]
どど、どういうこと?二人ともどうしちゃったの?
[誰かいないかとラウンジの中をきょろきょろと視線を彷徨わせる。・・・と、目に付いたのは、昨日リボンをかけた下層への扉。何かに引きずられるようにそこに近づき・・・・]
い、いやぁ・・・・。
[頭を抱えるようにしてその場に思わずうずくまる]
[リボンは跡形もなくズタズタに切り裂かれ、扉や手すりにも、鋭利な刃物で引っかいたような痕が無数に付いていた]
誰か・・・誰かぁ・・・・。
[しゃくり上げつつ人の姿を探す。メッセージボードや扉は視界に入れないようにして]
人のいるところ・・・レストラン?
[何とか立ち上がると、ふらふらとした足つきでレストランへと入ってゆく]
・・・ポニーのおじさん・・・・。
写真が・・・リボンがぁ・・・。
[見知った顔を見つけて安心したのか、ぼろぼろと涙を零してその場にへたり込む]
[背中を擦られると、しばらくすれば涙も止まり。ぽつりぽつりとゆっくりと喋りだす。メッセージボードの自己紹介の用紙のこと、階段のリボンのこと、そして電話のことまで]
[ひとしきり喋るとホットココアを頼み、両手のひらで抱え込むようにしてマグカップを持ち、ゆっくりと*飲み始めた*]
[自室で目を覚ます。明け方まで神経を尖らせていたせいか、疲労感が抜けきっていないのを感じる。時計を見るともう正午をとっくにまわっていた]
結局何も起こらなかったな。
俺の気にしすぎか。
メイちゃんやトビーには怖がらせたこと謝らないとな。
[洗面所で熱いお湯をだして顔を洗い、鬚をそると、白いシャツにネクタイをきっちり結ぶとダークグレーのスーツに腕を通して部屋を出た]
[部屋を出て鍵をかけてレストランに向かう。
ホールに差し掛かり、視界の先にカウンターの電話が入り、思わず眉を顰めて視線を逸らした]
――ん? なんだ?
[違和感――電話から目を逸らしたことで視界の端に滑り込んだメッセージボードへの違和感がちり、と頭の中で何かを焦がす。はっとしてこんどはボードを凝視する]
なんだ……なんなんだこれは。
冗談じゃないぞ。
[踵を返して、自室の隣、ラッセルの部屋のドアを乱暴にノックする]
おい、ラッセル、おい!
[しばらく叩き続けたが反応は返ってこない。意を決してノブを回してドアを押す――と、抵抗もなく開いた]
おい、ラッセル、居ないのか?
[踏み込むのは躊躇われ、入り口からラッセルを呼び、耳を澄ませる。しかし、人の気配はまったくしてこなかった]
[途方に暮れてドアを閉める。
同様にローズマリーの部屋もノックする。鍵はこちらも開いていた。
部屋を確かめるのには一瞬躊躇したが、そうも言っていられないと判断してドアを開ける]
おい、マリーちゃん、居ないのか?
[返ってはこないだろう予感を振り払うように声をかけが本人の不在が確認されただけに終わる。
荒らされた形跡などがないことをざっと確認するとドアを閉めた]
ほかのやつらは――?
[一瞬動悸が早まる。ドアを見回したが、この時間なら皆起きているだろうと、レストランに向けて走り出した]
[...のいる610号室は、無残な姿になっていた。それは徹底的に家捜しをした結果の賜物だった]
……うーん、何もないかあ。
劇団の人の部屋だったら、お互い繋がってたりするかもしれないんだけどね。
[そこで、ふとニーナの見つけた老眼鏡のことが頭をよぎる]
そういえば、ここのミステリーツアーの関係者で
老眼鏡使ってそうな人って誰もいないんだよね……。
アーヴァインさんでもなさそうだし、
まん次郎さんやギルバートさんだって老眼鏡にはまだ早いだろうし。
偽の手がかりなんだろうけど、なんか気になるなあ……。
[レストランに駆け込むと、テーブルにメイとまん次郎の姿を認めて歩み寄る]
よぉ、調子は……良くなさそうだな。
[椅子を引いて座ると、背もたれに身を投げ出す]
ラッセルとマリーちゃんの部屋を確認してきた。
二人とも部屋には居ない……。
今日、二人のどっちかでも見たか?
[立ち上がったはいいものの、どうしていいか分からずただ身を硬くして立ち尽くしていたが・・・その足音の主が姿を見せると、気が抜けたようにへたりと椅子に崩れるように座り込む]
・・・バンダナさん・・・。
[その問いには黙りこくったまま、頭をふるふると振って否定の意志を示して。消え入るような声で呟く]
消えちゃった・・・の・・・?
メッセージボードに・・・リボンも・・・。
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