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迂闊なやつだな。
お前が何を気にしたかを、
他者は気にする――という話だよ。
[湯を注いだ茶をよく蒸らして煎れ、マティアスへ。
和らぐ空気の中、蛇遣いの眼差しは――――]
そしてあたしは、お前からあることを
問い詰められないことをひとつ、気にしてる。
[思いつかないならいい、と素っ気なく口にして、
しばらく彼と時を過ごし…その夜は更けゆく*]
[狼たちの嗅覚は、ウルスラの死を知らせるが、
遣い手の感覚には他に――薄れてゆくものがある。
繋がっていた、対たるたましいのそれ。
群れを率いていた者。……帽子の男。]
…保てなくなって しまった か…?
[ひととおおかみの境を。個と群れの境を。
蛇遣いは呼ぶが、応えがないこともまた悟る。]
―――― …
[風が吹く。]
殺されたのでは、ないのだな。
死んだのでは、ないのだな。
[雪が舞う。]
保てなくなって しまったのだな。
[丘の向こうには、
蟻の如き列すら成せる、狼の大群。]
群れに頭目は独り…
そういうことなのだろうかな。
[見遥かす必要もない。感じて…呟くだけ*]
―― マティアスの小屋 ――
…「見えない」はずなのに、
どうして気にしないのだろう――
そう思うことが、あってな。
[先に口にした、問い詰められないこと、には
随分と経ったあとで…ついでのようにそう添えた。
その頃には、もう仔犬は蛇遣いかマティアスか
どちらかの膝陰ですくうすくうと寝息を立てていて]
…。
[外では…風が吹く。]
音や気配と言えば、"49"。
お前の耳には―― 例えば。
[煽られ…雪が舞う。]
いくつのも丘向こう…
あのやかましいスノーモービルの
エンジン音なども聞こえてきたりするのかね…
[昔ながらの暮らしを続けるこの地は、特区として
保護を受けている。然し如何に文明へ背を向けようと
近代化の波は近からずとも遠からず在って――
遠い地から流れ来た蛇遣いは、この地へ至る道々、
犬橇の代わりにスノーモービルでトナカイを追う
遊牧民も少なからず居るのを目にしてきている。
使者として近隣を往来するアルマウェルや、
蛇遣いと同じく流れ来た移住者のイェンニも
ここは稀有なる村…とそれは知るところだろう。
或いは、何処から来たともしれぬマティアスも。]
[――吹雪が、近い。
戸口の覆い布が、隙間風に裏打つ気配。
相手に聞こえたならどうだというようなことを、
蛇遣いが口にする前に―― 凶報をたずさえ、
緋色の外套を纏ったアルマウェルが訪ね来る。]
殺した…のか。
ウルスラ先生を。
[獣医たる彼女の姿は、記憶にあたらしい。
生ける師もまた、かの地へと――蛇遣いは俯く。]
村の命綱を…切った、のだな。…
おおかみ遣いは、人の心を利用する…
ウルスラ先生が言っていた、ことだが。
[耳にあたらしい…聞かされた折は、そう感じた。
大体においてそうなることは知れど、そうするとは。
嘘を矛とするやりかたは、ビャルネが見せてくれた。
その彼は思いがけず転がり、死せる師となった。
今…生ける師もまたふたりめの死せる師となって]
…。 居合わせたなら、違わず止めた。
…恨むぞ。アルマウェル。
[ぽつと言い残して、悄然と眼差しを地へ向けて。
使者の脇を抜けると…自らの住まいへと帰りゆき*]
―― 悼む場所にて ――
…せんせい。
[凶報を運ぶ使者の知らせに、容疑を受けた者も
そうでない者もぱらぱらと集まりだす頃合――。
朱に染まったウルスラの亡骸の傍、蛇遣いは屈む。
手にするのは、ビャルネの杖とあたたかな毛皮。]
…今宵は、脱いで身体を冷したりはせんよ。
だから先生も――あたたかくしててくれるといい。
[自宅から持ち来た、死せる師のための厚い毛皮。]
…もう 伝染(うつ)したくはないからさ。
[ぐず、と寒さにか鼻先へ濡れた音を立てる。
自身の毛皮の裡で、大蛇の顎下を柔く擽ると――
浅い冬眠の淵からゆらり、相棒が鎌首を擡げる。]
お前を救ってくれたせんせいが…
死んでしまったよ。相棒。別れをするかね。
[シル、と先割れの蒼い舌が鈍く覗き…大蛇は動く]
[ウルスラの骸の上、蛇は某か確かめる態で這う。
零れ出た鮮血。彼女を撫でた紅い極光、死の気配。
傍らへ杖置き、蛇遣いは素焼きの笛を取り出す。]
…――
[ぅうう][うあぅあう][うぅい いぃうい…]
[悲哀含むもとむらいには向かぬ、異郷の音色。
しろい蛇は、ぞろり ウルスラへ頬摺りをして…
――――蛇遣いの意に反し、踊らない。]
嗚呼。
あたしのわざは――
[やがて途切れる、悲哀の音色。蛇遣いは呟く。]
未熟なまじないにすら、届かぬらしい…
[そのとき既に、報せは受けるもこの場へ辿り着く
ことの叶わなかったカウコが、村外れで狼の群れに
その四肢を引き裂かれはじめていたことなど――
為した者の他には一人とて。
誰も見ぬこと知らぬ*こと*]
…
必ず、滅ぼさなくてはならぬ。
[ほろり、零れ落ちる先。吐く息はしろく、薄い。]
より美しく、凄惨な滅びを――だったな。
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