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[茶屋の奥から出てくるなり、迷わずホズミの足元に擦り寄る]
…んな〜ぁう。
[鳴き真似に鳴き返すと、
足元を何度もすりすりすりすりすり。
鼻をひくつかせながらホズミの顔を見て]
にゃ〜あ。
[すりすりすりすりすり。
どちらかというと食べているみたらし団子のをほう見て]
ごろにゃ〜〜〜〜あ。
[箱畳の縁に腰を下ろしながら、ねこに声をかける]
火鉢のそばより、ひとの傍がいいかい?
[そのままホズミに構われるらしき様子へ手出しはせずに、身なりにそぐわぬツッカケ履きの脚をするりと組んだ。]
お店しまって、一緒に暮らそうって言うんだけどね。
この分じゃ生涯現役だ、ふふ。
…そうそう、婚活婚活とは言うけど、
実際若い子はみんなそんな調子。
危機感がないうちは、
何を言ったって*無駄なものよ*
― →吊り橋 ―
[黄色い傘を振り回しながら走り寄って、吊り橋入り口に佇む人影に抱きつく]
フユキーっ。雷神様に怒られちゃうよ?
ねえねえ、おなかすいたの。何かないかな。
それ、栗饅頭?
[手元の饅頭に熱視線を送り、口を大きく*開いた*]
あーん。
[どむっっ!
問題児の安全対策に、先っちょに照る照る坊主みたいな名前よくしらないのがつけられた矢は、横で見ていた顧問の先生の胸を確かに打っている。]
弓は不思議だ。決して前に飛ばない……。
きっと僕はそこに魅かれるんだろう。
[『まただ!三人目の顧問を用意しろ!』
と部活の友人が騒いでいる]
僕はハンター。そう、愛のハンター…。
今日も恋の矢で気になるあの子を貫く。
[騒ぎを聞きつけた他の先生を見やり]
だから違うんです。いや、本当なんです。
これはもう全然停学対象とかじゃないんです。
撃ち抜きはしたんですけど、良い意味なんです。
彼女のハートを良い意味で撃ち抜いたんです。
[*職員室に連行されながら*]
―― 茶屋の奥座敷 ――
[ウミがホズミの団子へご執心の間に、茶屋の一人娘はまた奥へと戻る。火鉢の傍には、ねこの飼い主の姿。]
…それで、どんな様子なんです?
その娘さん――
[分校の校長へ、話の続きらしき言葉を向ける。声はやや顰める調子。]
アンちゃん だったかしら。
[ひと月前、着の身着のまま村へ逃げこんできたと聞く娘の名を口に上らせた]
記憶がない…?何も憶えていないのに
ひどく怯えてるだなんて、 かわいそうに。
[ヘイケは、村の者等の噂にもなっているであろうアンについて、校長から話を聞く。ちゃぶ台の上に広げられている手紙は、過日、校長が遠い町に住むヘイケへ宛てて出したもの。]
『狂信者が』… なんて魘されてるのなら、
新興宗教がらみのトラブルにでも
巻き込まれたのかもしれませんね。
[部室の窓から見る空は、朝から変わらず雨模様]
持ってったげてもいいけど、すれ違っちゃうとアレだね。
取りに戻ってくるっしょ。
[置き忘れられた傘を見ながら、自分の紺色の傘へ手を伸ばす。途中、そう遠くないところから聞こえてくる騒ぎに、動きが止まる]
あ?
またか。またやったのか。ケンめ。あの馬鹿。
これで何人目だっつの。
ええ、校長センセイ。
私のところで匿うのは、勿論 構いません。
[ヘイケは顎を引いて、校長へ請け合う。
瞳に過ぎる、追憶のいろ――]
あの先生に似た娘さんだなんて…
きっと何かのご縁なんでしょう*から*。
ぐわっ 巨大テルテルボウズグマに襲われ……ってなんだロッカか。
[やや棒読みの悲鳴を上げて眼鏡をかけ直し、まじまじと見ればなじみの顔だった]
いや、渡らんし。栗拾いには行きたいが、この歳で度胸試しもないしな。
んんー?
[ロッカの視線に気が付いて、自分も栗饅頭持った手を、見る。試しに、饅頭を右にやったり左にやったり]
[結局、栗饅頭は半分に割って]
ほれ。
[どっちが大きいかじーっと見比べてから、片方をロッカの開いた口に。
もう片方は自分で食べながら]
もぐ。おまえ、ここ渡るんか?
[半分棒読みで聞いた]
アンちゃんに初めて会ったときも、やらかしてたもんなあの馬鹿。
ドンビキしてたっつーの。
[呆れたため息をついて、部室から出た。向かうは職員室]
[職員室で担任に怒られて、凄くしょげてる]
ほんともう生まれてきてすみません。
今度から矢は使いませんから。
ほんともうキュウリとかチューペットとかを飛ばしますから……。
[顔を両手で覆いながら正座中。]
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