[広い食堂を見渡す。時刻は十五時を回っていた。
昨日は何も知らされずに、この島に降り立った時間。
たった一日。されど長い、一日。]
まさかこの後、ひとが殺されていくとは、ね?
[ふと、テーブルの人形を見る。
十体並べられていた人形は――]
あれ? 無くなっているなら兎も角、倒れているなんて…変ね?
[近付き、人形に触れる。
残り数対の内一体はテーブルに、また一体は床に。転げ落ちていた。]
[床に落ちている人形を一瞥し、何気なく歌詞を見る。
十人の少年の行く末。
ひとり減り、ふたり減り…
テーブルに残された人形は、三体。
生き残っているのは――?]
――っ? 銃声?
[屋敷内で響く銃声に。
女はまた一体人形を倒してしまう。]
ほんとにね
たった一日。されど長い、一日だった
こんなにうまくいくとは思ってなかったよ
あなたが最後の一人ですよ
あの人形がザクロさんかな
[いつの間にかテーブルの横に立ち一体の人形を指し示す]
[声がして、振り返る。
其処に立つ人影を見るなり女の顔から血の気が引け、掠れた声でひとつ疑問を投げ掛ける。]
――…あなた、死んだはずじゃなかったの?
それに何故、…こんな事を?
[指し示される人形と、グリタを見比べながら]
1人のインディアンの少年が後に残された
後には誰もいなくなった、か
[壁の10人のインディアの最後の行を読む]
あなたはどうやって死にたいですか
選ばせてあげてもいいですよ
邪魔は入りませんから
死んだ?
僕がですか
薬を飲んで寝ていたらベックさんに勘違いされただけです
[くすくすと笑う]
まあ、勘違いさせたのですがね
死んだと思われた方が動きやすいでしょう?
選ばせる?
[怪訝そうな顔をして。]
それだとこの殺人劇、まるであなたが仕組んだような言い方じゃない?
[悟られずに後ずさりをしようとする。]
――殺され方なんて、選びたくは無いわね。
かん…違い?
薬を…飲んで?
[でも実際、"彼"は見えていた。
しかしそれも、勘違いだったのだろうか。]
宇野と…知り合ったから?
だから殺人劇の出演者として呼ばれた、と?
――…っ、
[眩暈を感じ、よろける。
おぼつかない足は、高いヒールでバランスを崩し――]
…ぁっ!
[次の瞬間聞こえた銃声で、女の意識は*途切れた*]
ああ、あの世にいる僕を見たと思ってたのですか
あれはあなたの食事に入ってた薬が見せた幻覚でしょう
……って、もう聞こえませんか
[崩れ落ちたザクロがこと切れたのに気が付いた]
あんまり使ったことなかったが、けっこう便利なものだな
[手にした銃をまじまじと見つめ、指紋をふき取った
玄関先のライデンの死体へと戻る]
少し拝借しました
あなたもこんなものをお持ちとは、さすが宇野さんが選んだだけのことはありますね
[揶揄するように呟きながら元の場所へ銃を収めた]
[つと、視線を向けた草むらが不自然に揺れている気がした
手入れの行き届いてない庭先の奥へ身構えながら足を運ぶ]
――っ
[何かに足を取られ世界が暗転する]
……古井戸…か
こんなところに
[落ちた時に何処をぶつけたものか体が上手く動かない]
くすっ
世界は本当に理不尽だ
どうにでもなればいい
それでも
……あの人は僕のことを褒めてくれるだろうか
[暗い古井戸の中でグリタは意識を手放した]
その熊のお人形、あたしが作ったの。
60年前、そう、まだ成人したばかりの頃のことね。
うふふふ。
[ライデンの上をふわふわ飛ぶ]
[玄関の方から、何か重たい音がする。オトハにそっと手を合わせ、部屋を出る事にした。部屋を出た所、目に入ったのは死んだと聞かされた人物]
え…グリタさん…
……っ!
[何が起こったか認識できないまま、胸に焼け付くような痛みを感じ、その場に崩れ落ちる]
僕…やっぱり死ぬんだな…ああ…し…
[右腕が軽く空を切り、そのままぱたりと地に落ちた**]
[[ムチ]のような顔をした船頭が漕ぐ、笹舟がやって来る]
デヴォンまで。
[婆が船に乗り込む。
座り込んだ女は、若草色のワンピースを着た小娘になっていた]
細面というのかしら。
[船頭に微笑む。
川を渡り陸地に辿り着くと、女はアンティークドール屋のショーウインドウ前で男の袖を引く。
海色のシャツを着た、男の袖を**]