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ああ。 あたしも視たいのだよ。
終の住処たるこの村の、
やがてうしなわれる「貌」の総てを な…
それはきっと、対たるお前と同じ望みなのさ。
[遣りようの違いは、あったのかもしれぬ。
互いが持つ、ひととおおかみの境も。――なれど*]
―― 回想/村外れの木立 ――
[呼び出したのではなく…行き合った。
――カウコが歩いていたのは、人気のない村外れ。
人相の悪さで損をする知己はその時間
そうせずにはいられなかったのだろうし、
蛇遣いは蛇使いで、知己が独り出歩いて
居なければ今宵はそれまでと考えていた。
互いの姿を視界に認め、別段確かめるも無かった。
音もなく――
カウコの背後から、3頭の灰色狼が襲いかかった。]
[おおかみが2頭ならば、
1頭は村の男たる知己に叩き殺されていただろう。
おおかみが4頭ならば、
2頭は知己の機転により同士討ちを誘われたろう。
蛇を連れた遣い手は、そのどちらをも許さない。
些細な采配が、「群れ」の頭目たるを示していた。]
…悲鳴も上げてくれんのかね。
吝嗇(けち)め。
[さくり。
新雪の上、狼たちに載しかかられ押さえつけられた
カウコへとビャルネの杖を持つ遣い手が歩み寄る。]
うむ。
別段、今夜でなくたってよかったのだけどさ。
むしろ、
お前が死ぬこともないと思ってたのだけどさ。
[…目の前に、屈む。知己の貌を、覗き込む。]
ふと、だな。
[見詰める面持ちは、笑みでなく――]
…【 お前ひとりが、報われる 】…
というのは、どうだろうと思ってな。
[まだ深手も負わず生きているカウコを、知己を。
既に過去へ追憶するが如く寄せる情に満ちていた。]
[背を踏み伸し掛るおおかみの重みにか、
カウコが密かに喘ごうとした刹那―――
ごしゃり、と。
蛇遣いは、親しき知己の口腔へ
厚い毛皮に覆われたブーツの爪先を叩き込んだ。]
カウコ。
ドロテアに会えたら…訊いておいてくれ。
ほんとうに村が永らえるために
その身を捧げてくれたのなら――
何故、毒を喰らっておかなかった?
[相手に口を開かせぬ――
否、顎骨まで開かせた儘の、詮無い問いかけ。]
あたしには、わからんのだよ。
『 ……お気の毒様。 』…
ドロテアの、あの台詞>>0:43がな。
[自らの血泡へ溺れかける態のカウコの口腔から、
樫の瘤で補強された靴先を抜いて――雪で拭う。
匂いは後にウルスラの血溜まりを通れば紛れるもの]
…寒そうだ、カウコ。
お前にも伝染(うつ)ってしまったろうか――
[ひときわ大きな体躯のおおかみが進み出て、
遣い手はその背へと慣れた仕草で腰を下ろす。]
…最後に酌み交わした酒、…旨かった。
[ふわり 靴先は浮いて――胸裡にある儘を。
告げる別れに、確たる感謝も詫びもない。
たった数歩の人形の足跡は、狼の群れがこれから
食餌の間に踏み消してなくなってしまうだろう。]
[紅い極光に、透けて見える大きな月影。
そこを横切るように、遣い手を乗せた狼が跳ぶ。
降りる雪を薙いで、ビャルネの飾り杖を一閃。
地へつかず水平に振られた杖は…音を立てない。]
今でも、――"あたたまっているよ"。
[…それを合図に、森へ潜んでいた無数の狼たちが、
地へ這わされたカウコへと一斉に爪牙を以て群がる。
残す言に反して、ぐず、と鼻先の音は風に*攫われ*]
―― 回想/村外れの森 終了 ――
[ドロテアの幼馴染たる村娘から、レイヨが人手を
借りに赴いたらしいとは耳にするものの――――
車椅子の青年は誰も手助けを連れては来なかった。
何を訊く前に、蛇遣いは村の者に頼み、小さな
手曳きの橇を借受け、包んだウルスラを載せた。]
…誰を訪ねたのか知らぬが…レイヨ。
死んでいた、とでも言うつもりかね。
[横殴りになりはじめる風雪を浴びながら薮睨み。]
否、…話があるなら後にするか、同道しろ。
[蛇遣いは、首元へ戻した白蛇をまた温める態で
毛皮の下へ包み―――ぐ、と深くフードを被る。
手曳き橇のロープを掴み、負い曳くに滑りは軽い。
みるみる嵩を増す積雪の表面がやわらかくならぬ
内にと蛇遣いは眉根を寄せて奥歯を噛み骸を運ぶ。]
…っ …
[やがてウルスラの住まい、寝台の上へ苦労して
獣医を横たえる頃にはすっかり息が上がっていた。]
[一度身震いをして、ぐし、と鼻のあたまを擦る。
憮然とした面持ちの蛇遣いは何かを探す態で室内を
見回し――獣医の記帳机にあった紙を手に取った。]
…耳印、オラヴィ。低体温…
…耳印、ヘイノ。低体温、酷い涙目…
…耳印、ヘイノ。低体温…
…耳印、ヴァルテリ。低体温、過眠症…
…耳印、ユノラフ。低体温…
[読み上げるそれには、ウルスラが診ていた馴鹿の
症状と持主―耳の切目にて知れる―が*並ぶ*。]
ウルスラ先生、…やっぱり…
[ウルスラの骸引く橇に、手伝いをと差し出される
レイヨの手へは――す、とビャルネの杖を渡した。
引手の弱さにふらつきがちな橇の軌道は、車椅子の
青年が後ろからその杖で進みゆく傾きを調整すれば
蛇遣いがひとりで引くよりも安定していただろう。]
…
[ウルスラの小屋にて…物言わぬ彼女のしかばねを
横たえた部屋にて。蛇遣いは、レイヨが歯噛みする
微かな音を聴く。憮然とした面持ちは変わらない。]
… ひとが、トナカイに。
病を伝染(うつ)しているのだ。
[「やっぱり」。続きを問う相手への応えは短い。
レイヨは反応でなく、新たな、そして思いがけぬ
死者のあることを告げた。蛇遣いは僅か目を瞠る。]
…? ヘイノの奴が、…死んでただと?
[集められた当初、ヘイノとの遣取りが周囲の目に
どう映ったか当人はしらず。ただ、寒がり同士の
応酬に蛇遣いがにこりともしなかったのは確かだ。
今は完全に気を取られるとはなくも、紛れもない
驚きを隠さずに眉根を寄せる。一度押し黙り――]
夕刻に会ってきたばかりだぞ? いったい…
…「殺されていた」わけではない、のか…
[他にもとレイヨが呈する可能性へは応えず。
蛇使いの指先は、机に置いたウルスラの記録を
ゆっくりと辿った。病気のトナカイの持ち主に
散見されるのは――誰あろう、ヘイノの名。
よくトナカイの傍に居て、絶えず撫でる男の。
毛皮を幾重にも着込み、寒い寒いと言う男の。]
――…
[険しくする面持ちの儘…レイヨを見遣った*]
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