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[でもその代り、ルリの目はお姉さんの隣に向かいます。
大きなケース。いったいなんなのでしょう。ランドセル? ルリの知らないものです。
ルリは差出していた手を体の前で揃えて、それからお辞儀しました。『引っ越しのご挨拶』の最後とおんなじです。
そうして、少し慌てて、パタパタと。あっ車内は走っちゃいけませんでした。早足で自分のリュックサックのところへ戻ると、椅子には座らずにリュックサックに抱き着きました。やったよお婆ちゃん、ルリひとりでもあいさつできたよ――お婆ちゃんには届かない、ルリの無言の祝杯です**]
[屈んだ姿勢のまま、視線を上へ。
女子が座っていたんだっけ……? と思った通り、
捉えたのは眠りこける男子学生だった。
しかも寝言付きの男子学生だ。
手の中に携帯を収めながら、
弓道男子は少しだけ、
不自然でないくらいに、その姿勢のまま。]
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