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―― マティアスの留守宅 ――
[世話を任された橇犬の仔、その毛並みのいろを
マティアスが知っているか否か蛇遣いは知らない。
飛び出してきた毛玉をちらと見遣ると、そのまま
足元へ纏いつかせてマティアスの「家」へ入った。]
…寒いな。
[呟く蛇遣いの足元で犬がしたん、したんと跳ねる。
媚び強請るすべは、生をうけて間もない者の本能。
浮かべる嫌悪もないままに、蛇遣いは燐寸を探す。]
…っ、 熱…
[ ――じゅっ、
とちいさな音がして、蛇遣いは低く声を立てる。
火傷した右の小指を反射的に庇うその様子にか、
あんあん と鳴いていた犬は耳を立てて立ち尽くし]
なに、…大事ない。
…それよりも、部屋があたたまるのと
お前の同居人が戻るのとどちらが先かね。
[小さな火傷を詮無く己で舐めながら腰を下ろす。]
[胡座の膝上へ、ぽんと人懐こく乗ってくる仔犬を、
蛇遣いは撫でない。右手を腿へ軽く載せて無視する。
しばらく好きに嗅ぎ回らせて舐めさせて、ストーブに
柔い火が回るのを眺め――何をするでもなく寛ぐ。]
……
[そのうちに仔犬が最前の火傷を舐めても…儘に。]
[ぴと、][ぺろり]
[心配げな舌使いが、懐こい円らな瞳が、生焼けの
人肉の味を知りゆく熱を帯びるに時は…長くない。]
――痛。
こら、噛むのはいかんぞ。
笛が吹けなくなると困る。
[まだ尖らぬ牙を立てた子犬を窘めると、
無邪気そうないきものは我に返るよう。
次いで――戻り来たマティアスの姿に
振り返って あん と高い声を上げた。]
おや、戻ったか。
盗るものは…無いかね?
無ければ、そんな険しい面持ちで
帰ってくるものではないよ。これが怯える。
[これとは相手ゆえに指しもせず仔犬を示して、
ぐずと鼻先へいつもの音を立てる。怯える、と
口にするほどには当の仔犬は怯えもせず―――
ぱふりとマティアスの脛へと両の前足をつく様子]
否、こちらの用件で上がり込んだのだ。
あたしがやろう。
[慣れた室内を進む相手に声をかけ立ち上がる。]
先刻の問いは覚えているかね、"49"。
うむ。せいぜい恩に着ろ。
[教えられた水場で壺から水を汲むと、薬缶を
ストーブにかける。蒸気の噴出すだろう注ぎ口を
自分のほうへ向けて置くのは、村で教わった流儀]
…
…
それは、あたしにしか通用せん理由だな。
…それで、自己評価はどうだね。
好い機転だったと思うか?
[半ば呆れの面持ちで、マティアスの口元を見遣る]
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