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[僅かに感想を添えて、身震いの後に小屋へと戻る
ビャルネへとやはり常の如く俗な会釈で見送った。]
ああ。
…書物のほうは、また改めてだろうかな。
――眠れるようなら、少し眠っておけよ。
[小屋の主が戻った後は、ウルスラとふたり。
残されるままに、蛇遣いは彼女と顔を見合わせる。]
…ここでもう、先の"信頼"の話になるわけか。
皆に話すか、自身が信用する者にのみ話すか。
口を噤むにしても、期間を含めまた難しい――
狼使いに加担する者が、いたとして。
それは裏切りだ…我々への。そんなことが…
[険しくする、眼差し。
遠ざかった灯りの列を、ウルスラと共に*見遣った*]
[向けられる視線の先、意の先を辿り頬傷を想う。]
…それが治らなくとも、気にはしないが。
お前が死ぬと、あたしが死ねなくなって困るな。
[蛇を連れた遣い手は、諸々へと無頓着に嘯く。
…"どちらかが遣り遂せられれば、それでいい"。
必ず滅ぼさねばならぬ。長老の言に重ねた望み。]
――狼使いは、人の心を利用するのだそうだよ。
[ウルスラから聞いた話を、他人事めかし口にする。
様子には憤りも落胆もなく…珍しごとを教える*態*]
うむ。ウルスラ先生もそばに居たのでな。
その場で嘘だと言ってやるのもよかったが…
せっかくの誘いだ、
近く用向きを聴くのもいい。
[死なれれば困るといった主旨への相手の反応は、
蠢きの微かさに幾分物想うひとときを置く。頷いて]
勝手に疑い合ってくれて、殺し合ってくれて。
…ああ。
「そうなる」ことが多いのは知っているが、
「仕向ける」というのはひとならではの発想か。
[訪れた静寂が、耳鳴りを呼ぶ。
先の言葉通り雪原の方角を見遣ることはなく、
人知れず奥歯を噛んで…蛇遣いは足を止めた。
別れたばかりのウルスラを振り返ると、彼女の唇が
長老の孫娘たるその人の名を紡ぐかたちが見えた。]
……
こんなふうに、…
また日を違えて違う誰かの名を呼ぶのだな。
…正体の如何に、かかわらず。
[言ちて、さくり。雪に足をとられながらも歩む。]
[失意の長老は、テントへと戻ってくるだろうか。
ビャルネから聞かされた話を思い起こしながら、
蛇遣いはテントへと手足をかじかませ向かった。]
…――
[テントの前に佇む儘のアルマウェルを見つけると、
彼の目前まで歩み寄り――黙して強く*見上げた*。]
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