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[呼ばれた兎はこてり、と首傾げ。
その手に懐中時計はなく、代わりに銀色に光る鍵一つ]
『ワスレモノは見つかった?』
[こてり、と首を傾げた兎が笑う。
けれど、答えを求める風ではなく。
金色の螺子に手を伸ばし、それを受け取ったなら、くるり、とその場で回転し]
『……ねぇ、時間屋さん』
『なんで、この『時計』は想い出で動くと思うー?』
[言葉と共に、ふわり、その場に現れるのは黒い柱時計。
投げた言葉は、問いの形を取ってはいるけれど。
けれどやっぱり、兎は答えを求めない。
鍵を使って硝子の戸を開け、かちり、きりきりと音を立てて螺子を巻く]
『想いの力は、ねー』
『誰もが持ってて、何よりも強い、力だから、なんだよ』
『……時間屋さんは、知ってそうだけどねー?』
[螺子を巻き終わった兎は、楽しげにこういうと、硝子の戸を閉め金と銀をどこかにしまう]
『……さぁて、それじゃあ』
『想いの流れ、刻の音』
『風の音に乗せて、響かせよう』
『それで、時間は戻るから──』
[楽しげに、歌うよに、兎は告げて。
柱時計の文字盤を、ぽん、と、叩いた──]
[響き渡る、音。
始まりの時にも響いたそれと同じ──でも、それよりも軽やかな音はきっちり12回、響き渡り、そして]
[──どこからか、柔らかい音色が響いて、消えた]
[響いた音色、それを奏でるものは人それぞれに異なって。
オルゴールだったり、鈴の音だったり。
けれど、奏でる旋律、それだけは同じもの。
その音が消えた後──再び、世界は、ぐるりと、回り]
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