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―回想・前日の大部屋―
[どうにかできたらどうにかしてる、と鼻をすする司書>>1:173をフッと鼻で笑う。すると自身の意見を聞いた役人から、来年を期待するんだなと返ってくれば>>1:172]
…来年など待ってられるか。
[まるで我慢の出来ない子供のようにそう呟けば、視線は再び窓の外へ。それから暫くした後だろうか。イェンニとミハイルが夕餉を持ってきたのは。食材が揃っていたらしく、酒なども出てきたがニルスがそれに手をつけることは一度もなかった。そして腹を満たせば彼は談笑など何もせず、ただ静かに部屋へと戻って行った]
―現在・大部屋―
[朝…なのだろうか。部屋には時計がなく時間の感覚が掴めない。ベッドから起き上がり、ある程度身だしなみを整えてから大部屋へと向かえば既に何人かが集まっている]
雪は…まだ止まないのか。
[ちらりと窓を見れば昨日とほぼ変わらずの風景。溜め息が一つ。ニルスが来た時には居なかったが、周りから聴こえてくる話を繋げればどうやらダグとクレストが馬の鳴き声を気にして外に出たのだとか]
良い予感はしないがな………ん…?
[誰に言うでもなく独り言を呟けば、見ていた外の景色の中、視界の端にちらりと映った極彩色の何か。今のは一体…もしやと思ったが、この雪の中それは無いに等しい。まだ寝ぼけてるのかと、眼鏡をかけ直しソファへと腰をおろした]
―回想・少し前―
[ダグとクレストが不在のなか、大部屋には続々と人が集まってくる。そんな中、マティアスが誰かと喋る声>>55が耳に入ってきた。
それを不審に思ったのかイェンニが声をかけていたが、ニルスは無視を決める。ついにアルコール中毒にでもなったか、と胸中で毒を吐きながら]
[…そんな時だ。クレストが外から戻ってきたのは。その顔色は普段よりも更に蒼白で、外で冷えただけではない事を物語っていた。やがて彼がぽつりと口を開けば、ドロテアが死んでいたと告げられた]
[どうやらドロテアはダグが連れて来たようで、俄かに信じ難いその報せを確かめるべくコテージの裏口へとニルスは向かった]
―回想・コテージ裏口―
[裏口に着けば、そこにいたのは普段とは違って落ち着かない様子の養蜂家と、そして、変わり果てた少女。司書の報せは本当だったのかと息を飲めば、養蜂家から蘇生の処置はないかと問われる>>91]
蘇生…?何を言ってるんだ、彼女は…。
[そこまで言えば養蜂家は聞く耳も持たず、蒼白の少女に一般的な蘇生の処置を施し始める。明らかに彼女は息絶えている。それに心臓マッサージなど、とても意味があるとは思えない]
……ダグ…おい、ダグ…!!
[聞こえてるのか、とニルスにしては珍しく声を荒げて養蜂家の肩を掴むが果たして彼には声が届いていただろうか。あまりにも不毛な光景に、ニルスは溜め息を吐いて大部屋へと戻っていく]
………美しい。
[去り際に呟かれた言葉は誰かに聞かれただろうか。俯き、影のかかったニルスの顔はまるで蝶の標本を眺めている時のように、口元に笑みを浮かべていた]
―現在・大部屋―
[戻れば部屋に居る人間が減っていた。大部屋には誰が居ただろうか。状況はしっかりと把握できていないが、司書が倒れたという事は知れた。暫くした後に養蜂家も戻ってきたが、纏う空気はどことなく重たい。ざわつく空気のなか、テーブルに置かれた手記が目に入る]
これは…ドロテアのなのか…。
[手に取り文字を追えば、書かれている内容はこれまた信じ難いこと。この国の伝承で囁かれる水の悪魔、ナッキの存在。そしてそれが人になりすましている事。全てを読み終えれば、手記を元に戻す]
馬鹿馬鹿しい…だが彼女は確かに死んでいた…。
[つい先ほど見た蒼白の屍体。思い出して思わず笑みを浮かべそうになるが、無意識に仏頂面を保つ。綺麗な屍体、彼女の遺した手記、ナッキの存在。全てが非日常だったが暇潰しには丁度いい。ニルスは彼女の死などその程度にしか*思っていなかった*]
―現在・大部屋―
[特に何をするでもなく大部屋に居座っていれば、手記を見たらしい村の娘…イルマから声をかけられる>>150]
信じるも何も、彼女が死んだのは確かだ。
ナッキとは信じ難いが…信じる他ないのだろうな。
[冷静に、そして無愛想に。人が一人死んだというのにその顔色が変わることは全くない。すると、今度は写真家のユラノフに話しかけられる>>169。ニルスを嫌っている彼から話しかけるのは珍しい事なのだが]
ふん…何を馬鹿な事を。
人間の命など一瞬に過ぎない。
…だが、蝶は永久に、美しい。
[一度だけ彼と話した事があったのだが、有りのままの姿を大切にするユラノフとは気が合わない。どうやらそれは変わらず、今回もまた彼との間には火花が散りそうだった]
[ダグの唄う歌、旅芸人のトゥーリッキへの遠回しな自殺勧告。殺伐とした空気のなか、言われた当人がダグへと理由を問うが彼は何と答えただろうか]
成る程ね、こうやって殺すのか。
…僕も君の名を挙げよう、トゥーリッキ。
理由は簡単だ。“外部者”、だからな。
[そう言って眼鏡を指で押し上げる。部屋の灯りに反射したレンズがニルスの瞳の色を通すことはなく、彼がどんな顔でそう告げたのかは分からない。最も、見えたところで彼は無愛想なままなのだろうが]
[トゥーリッキに罪があると断定できるのか。そうミハイルに問われれば>>222]
…罪など、有ろうが無かろうが関係ない。
ドロテアの手記は見たか?
残された僕達は確実に殺さねばならない。雪が止むまで、毎日、誰かを。
[最後はゆっくりと、強調するように。これが彼女が遺した言葉なのだから]
それでも罪を理由に殺したいのなら、その理由が分かる者が居ればいいんだがね。
例えば…真相は分からないが、マティアスのように死者の声が聴こえるような者だとか。
[そう言って盲目の男に目をやれば、ドロテアの件が起きる前の彼の様子を思い出す。無視をしていたが、彼は確かに話していた。誰もいない場に向かい、ドロテアと]
[トゥーリッキもまだ諦めていないのか、主張を繰り返す>>225。彼とはユラノフのように衝突する事などなかったが、恩もなければ情もない。その主張に対し、冷たく言い放つ]
所詮、みな泥の塗り合いだ。
理由なんてこじ付けでいい。自分が、友が、殺されなければ誰だっていいんだよ。
多くを語る人間はそんなものだろう。
[これだから嫌いなのだ、人間は。馴れ合って、傷の舐め合いをして、絶壁へと立たされば醜い面を表に出し始める。その逆も然り。それが人間らしさなのだろうと言われたら頷くしかないのだが、たとえそれが事実だろうとニルスはそれを知るのが早過ぎた。彼がこうも皮肉屋で、冷酷な人間となったのはそのせいなのかもしれない]
[手記は見ていないというミハイル。マティアスのような人間はいないものかと聞けば、どうやら彼は過去に似たような経験をしたようで>>226]
その話が真実だというのなら、マティアスはさしずめ霊能者と云われる類いか。
…死んでからでは遅い。役に立たんな。
[そう言って冷たい目でマティアスを一瞥すれば、視線をミハイルに戻し]
まぁいい。その異能者は誰であろうと構わない。
問題はトゥーリッキの処置、だろう?
[話を元に戻す。その異能者が居ないのであればそれで別に構わなかった。はっきりとトゥーリッキを如何するか決めようとしない者たちに溜め息を吐き、腕を組んでミハイルを見つめた]
その話は聞いた事があるが…随分も前の話を持ち出してくるんだな?
[ミハイルの話>>241に違和感を感じれば訝しげに彼を見たが、深追いはせず]
まぁ、彼の見解なんて知ったところで如何にもならんな。
[そこまで言って周囲を見れば]
異能者は救いを与える者なのだろう?
ならば何故出てこない?それもナッキがなりすましているのか?
それとも、
自分の身が可愛くて名乗らないのか?
[異能者を炙り出すつもりなど微塵もない。ただいつまでも偽善を振りかざしているようなそれらが堪らなく嫌で。それだけ言えば、ニルスは返事など聞かずに自室に戻ると言った]
[そのあと幾らか会話を交わせば彼の“処刑”は決まったか。処刑人など決めてはいないが、周囲を見渡せば手を下せる人間は絞られてくる]
では、僕はこれで。
トゥーリッキ、君と相棒の演舞を見れなかったのは残念だよ。
[このタイミングでそう言うのは彼お得意の皮肉。そして大広間から出る際に一言だけ残す]
この先も処刑人を決めてあるのなら構わないが、もし自身の手を汚したくないのならいつでも僕が引き受けよう。
[これは全体に向けての皮肉。最後にニルスの口が弧を描いたのは見えただろうか。部屋には彼が立ち去る足音だけが*響いた*]
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