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[炊事場から食器をお盆に載せせっせと居間へと運ぶ]
ふー これで用意できたのかなー?
じゃあ鍋を囲炉裏にセットしますね!
ぐつぐつぐつぐつ早く沸かないかなー?
・・・・キ・・・・ニ・・キ・・・
キコエ・・・ル?
[突如聞こえてくるその声にまわりをうかがう。しかし聞こえてくるその声はまわりの熊鍋を囲む者達とは少し違う直接頭に語りかけてくる声だった]
誰?私を呼ぶのは?
[私はふと心の中で聞いてみた]
・・・・・・ニキ・・・・・イトシイボクノ・・・ニキ・・・・キコ・・・エル?
・・・・・キコエル?
[頭にずっと響くその声に不安が走る]
いったい誰なの......?もうやめて.......
[しかし声は終わらない。そんなときふと聞き覚えのある名前が言葉の中に出てくる]
ボクハ・・・・チョロ・・・・・イトシイニキ・・・・・ハナガ・・・・・ヨンデルヨ?
キコエルカイ?
[外の景色とまだ聴こえてくる声]
花が呼んでるって誰を?私を?どうして?
チェロは一体何を私に何を伝えているの?
どうしてこんなことができるの?
[抱いているチェロを強く抱きしめて私は心の中で聞いてみた。声は私の声に反応したかのようにゆっくりまた話かける]
[ボクハチェロ・・・ズットコノヒヲ・・・マッテイタンダ・・・・ニキ・・・・・・ハナノタメニ・・・・ボクノタメニ・・・イケニエヲ・・・・]
[外の異常さに心が止まる 抱いているチェロを強く抱きしめるやがて兎がチロチロと顔を舐めだし我に返る]
っとすごい景色だね!こんなことあるんだー
ここの地方独特の現象なのかな???
[ぐつぐつ煮え立つ鍋を見て熊鍋から肉を取り出す。ほふほふと熱気を冷ましながら口に含むとジューシーでまろやかかつ柔らかく脂の弾けるような味が口の中でまるで花畑のように広がる]
美味しい! わー熊ってこんな美味しいんだー
[思わず至福の独り言をついこぼす]
チェロは肉は食べれないかな?
[小さく切れたキャベツを兎に与え兎は鼻をひくひくさせながらキャベツにかぶりつく]
かわい〜 そうだ!あとでお散歩行こうね!チェロ
ハナミズキの花言葉ってなんだっけ…
そうだ気持ちを受け取ってって花言葉
チェロは何を私に伝えたいのだろう…
生け贄って言われてもピンと来ない
何を生け贄にするんだろう
私は花のためって言われてもよくわからないよ
ただ村からの道を塞いだのもあなたのせいなの?チェロ
[兎に細切れのキャベツを与えているとふと小さい頃の記憶が蘇る]
あ!そういえばこの村には神社があるの。
古い古い何が祀られてるか知らない神社
文献とか置いてあるかもしれない
(また…聞こえる……淡い匂いって何……どこよそれ…)
[定期的に耳元で囁かれるチェロを名乗る声他人には聴こえない私だけに響く声、振り払っても頭を押さえてもそれは止まらない]
ニキ……イトシイボクノニキ……コッチへオイデ……ミンナマッテル…イコ…ウ……
(行かない!)!
[私は強く拒否する]
[やがて落ち着くと囲炉裏を囲む者達にいつもと変わらぬ笑顔を見せた]
ニキ.......イトシイボクノニキ......
モウスグダヨ.......モウスグ.......
[もうすぐって何が?)
デモテキガイル.......ボクラノジャマスルワルイモノ.......ヒトトモチガウモノ.......
ハヤクシナイトコロサレル........ニキハコロサレル,,,,,,,,
ボクモハナも.......
コロサレルナラササゲナクッチャ.........
[殺されるって私が?どうして??
捧げるって殺すってことなの??チェロ あなたは本当にチェロなの?)
[新たに聞こえる別の声、チェロとは違うはっきりした男の声、目の前にいる男を見つめた後やがてその声の主であることに気づく]
どうしてあなたはこんなことができるの?私に一体何をしろっていうの.........もう解放して.....殺されるなんて知るわけない...
[すっかり混乱している私とは裏腹に抱く赤い眼の兎はゆっくりと静かにテンマへと振り返り自らを話していく]
キミタチハカゼ.......
ハナハ.....カゼガスキ.....
ジュレイ......センゴヒャクネン.......
モウジブンノソンザイヲニンシキデキルノ
ハ......カゼニユレテイルトキダケ......
ジュミョウガチカイ......
トリノナクコエモモウキコエナイ.......
モットイキタイ....ズットオナジケシキ.......
ベツノセカイガミタイ......
オネガイ.........
ボクニアシヲ......ボクニ....ウデヲ.......ボクニメヲ.......ボクニカラダヲ....ボクニイノチヲ........
ボクニクダサイ.......
[神社の場所を聞かれ幼い記憶を辿りながら場所を探していく]
んーと.....んーと.....
村の入口の方の山の中だったとおもう.......
幼くてあまり覚えてないけど大きな木があって....でも廃れてて......
うー...........思い出せない.......
あ!でもそこの木もハナミズキだったと思うの。
通常数十年くらいしかもたないはずなのに
そこにあった木の樹齢は1500年超えてるってお父さんが言ってた気がする....
行ってみたい気はするけど私は何か怖いよ.......
雪で埋もれて入れないかもしれないのもあるんだけど....
がけ崩れ起きてるとこかもしれないし........
季節はずれの花が満開してるし......
[温くて美味しい物でも作ってくれと言う言葉が聞こえ何か手伝おうと伯父のもとにいく]
伯父さん!私も作るの手伝うね!今度はちゃんと指切らないようにしなきゃ!
[胸の兎を毛布が引いてある籠のなかに降ろし伯父のもとに駆け寄った]
[伯父が作っているのはカボチャスープみたいだった
私は手伝うものはないかと伯父の後ろでしばらく見ている。
しかし伯父は私の指の傷を気遣ってか。「みんなと一緒に出来るのを待ってなさい」と
こう私に告げた]
[心地良い湯の温度にすっかりリラックスしていると定期的に聴こえていた不思議な声が聞こえなくなってることに気づく]
やっぱ疲れだったんだあね。解決解決。
だいたいチェロがしゃべるはずないよ。おっかしー!兎だよ?チェロは。
うん!うん!どうかしてる私。
はあ〜......リラックスリラックス
[足を思いっきり伸ばし目を閉じて湯に立つ波を感じながら悦にひたる]
いけないいけない!
伯父のことだから間違って料理しちゃったりしないよね
まだ大丈夫か!あはは
でも救助がこなかったらやっぱりチェロも食用として考えられてくるのかな?
ダメダメ危険思想危険思想。人って身勝手だー
脱衣室に行き濡れた体をバスタオルで拭き取る、一通りの着替えを済まし髪に残る水分を丹念にタオルを当てて吸いとる]
いいお風呂でしたー
ネギヤ.......サイショニボクノメトナル
ササゲモノ........
ニキガクルマエに........
ニキノタメニ..........ハナノタメニ.....
[籠の兎はネギヤを赤い眼でずっと見つめて静かにその最後を待った]
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