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あれは…
[キィキィキィキィ…―――二本の跡を残しながら進む先に、遠く列なす明かりの揺らめきを見る。列が何を意味するものか悟るのに暇はいらず、前髪の奥で眉を顰め口元を引き結んだ]
………どうして…―――
[キィキィキィ…―――誰の何に対してか、掠れた声が車椅子の音に重なる。車輪を操る手が震え、道行の途中で車椅子は止まった]
[キィキィキィキィ…―――目的地たる長老のテントが見える頃には、列は遠のいていた。表に不吉なカーテンとも似る紅いアルマウェルの姿を見て、言葉はかけず注意を向けられれば目礼だけ置き近くまで寄り、遠ざかる列へと顔を向ける]
…いかないんですか?
…そうですね。
[視線を感じて顔で無く視線だけを向けると、アルマウェルの瞳に浮かぶ憂いの色。瞬きに交わす眼差しは途切れ、列を見たまま眼鏡の奥で眼差しを細めた]
見つけないと…
出来る事…
あるとすれば見届ける事くらいでしょうか。
[アルマウェルに語られぬものを車椅子に座す求道者もまた紡ぎはせず、考えだけを言葉にする。言う割りに見届けに向かう素振りはなく、冷えた手に息を吹きかけた]
血を以て血を…―――
[向けられる顔にアルマウェルに顔を向け、空を仰ぐ彼の横顔を見上げる。確信か仮定か定まらぬアルマウェルの言葉をなぞり、彼とは逆に項垂れるように俯いた]
…………
貴方の仰る 苦痛 が何を指すのか。
僕にはわからないですけど…
見据える先が違わぬ事を願います。
[寒さに身体の先端が痛み出すころ今度はアルマウェルに顔を向け、彼の顔を見上げる。眉の下がるのは前髪に隠れども、面持ちまでは隠せない]
…どんなかたちにせよ跡は残るでしょう。
もうドロテアは…―――
[紅い空を見上げてから、捧げられる供犠の娘の向かった先に顔を向け、俯き瞬きよりは長く瞼をおろす間。首を振るアルマウェルの気配に顔を再びあげて、噤まれた言葉の先を想い眼差しを細めた]
僕には何が正しいのかもわかりません。
それでも奪わせてしまいたくはないと想います。
[周囲を見回す視線は人の無いのを確かめ、アルマウェルに向き直る。悴む手が眼鏡をずらし、滲む視界に彼を捉えてからかけ直す]
…方策は見つかりましたか?
仮定の話ではありましたけど…
まじないが出来るなら密かにことを進めろと。
そんなありがたい助言を頂きました。
僕もそう思います。
[自らの事に言及しないアルマウェルに問わず、待てど得れるとは限らぬとは言外にも訥々と語る。待機に甘んじる彼を詰る様子はなく、むしろ動かずある事を想うらしき口振り]
…差し支えなければ変調の折にはまたお願いします。
[長老からの報せを運んでくれた彼へ労いのひとつもかけれなかったからか、軋みそうなぎこちなさで小さく頭をさげる。テントまで出向いたアルマウェルへの用件が済むと、また列の去った方を見て眼差しを細めた]
…………
彼女のくれる時が終わってしまったら…―――
[血を以て血を…―――アルマウェルの言葉が過ぎり、言葉を切り前髪に隠れる眉を顰める。彼の吐息の白が解けるのを見届けども、彼の役目を想えば面持ちの和らぐ事はない]
よろしくお願いします。
本当はもうひとつお願いがあったんですが…
申し訳ないので他の方策を考えます。
報せに走られる道中どうかお気をつけて。
―――…、………
[供犠の娘が雪にうずもれ立ち上がるところなのは知らずも、芯から冷え始めた身に膝の上で震える手を握る。アルマウェルの視線と続く言葉に顔を上げると、口を開かず彼を暫くは見ていた]
…貴方のお言葉に甘えさせて頂きます。
まじないに関わる報せに走る折。
出来るだけ早く僕に届けてもらいたいのです。
残りは折にまたお話させて下さい。
[意図も説明も先送りにした願いに、中途半端ですみませんと添える。キィ…―――悴む手を擦り合わせ車椅子が音を立てると、労いに頷いたアルマウェルへ場を辞すべく目礼]
[キィキィキィキィ…―――冷たく溶けない雪の上を進む音が、狼の遠吠えに重なる。ビャルネの小屋を訪ねる道中にまだウルスラとトゥーリッキの姿やすれ違う者があったなら、目礼を添えて通り過ぎただろう。
目指す先には明かりが灯っているから、ビャルネは中にあるのだろうと知る。キィキィキ…扉の前で止まる音に、彼も気づいたかも知れない]
…レイヨです。
少しお時間を頂けませんか。
[マディアスが扉の前で思案した挨拶は置かず、外から声をかけて扉を見る。冷えた手に息を吹きかけて、中から声の返るのを待つ]
[じゃらり、ビシャルの引き連れる覚えある音が室内より聴こえ、開かれる扉に彼を見上げて目礼。促されるのに遠のいた明かりの列を振り返り、礼を籠めた頷きを置いて室内へ]
他にも冷えた方がいらしたんですか。
[多くの者が列を見送り外へ出ているのも見かけたから、まさか寒そうだった人物が雪の天使を作っていたとは思わない。室内を見回す間に曇る眼鏡をはずし、袖口で拭いながら滲む視界にビシャルを捉えた]
お訊ねしたい事があってお邪魔しました。
雪まみれですか…それは寒そうです。
[キィキィキィ…―――促されるまま火の傍へと寄り、再び曇らぬように眼鏡を温める。本を読めぬ文盲の求道者はつるに歯を立てず眼鏡をかけ直して、本に囲まれて暮らす書士を見た]
貴方は僕の知らない事も多くご存知でしょうから。
書に限らず役立つ知識をお持ちではないかと。
[悴む手を握り感覚を確かめてから、礼を籠めて頷き茶を受け取る。冷えた足の上に組む両手で包み、茶の味より先に温もりを味わう様子]
…………
知りたいのは貴方ご自身の事です。
[供犠の娘の代わりを問うた折に、言葉でないもので語った相手へかける問い。おろされる腰に視線もおりて、近づいた分だけ互いの顔も見えやすいか]
…いかしたい者はおありですか?
[薪の爆ぜる音が聴こえど互いに口を開かぬ間は、身じろがずただ黙して。向けられる視線はそらさず、容れずも厭わぬ態]
…………
僕は性別で判断はしないので参考になりました。
[言い切られる言葉にはゆっくりと瞬き、一呼吸を置く。カップへ視線を落とすも口はつけずに、茶が思案に揺れた]
村とご自身ならどちらをとは問わずにおかせて下さい。
ありがとうございました。
…………
僕は彼女を生かしたかったです。
…―――嫌いなので。
[過去形で語る相手はひとりしかなく、名を出さずも供犠の娘と知れるだろう。訥々とした語り口で添える理由は、決してそれらしくはなくも嘘も冗談も含まぬ響き]
ご馳走様でした。
おかげで幾らか温まりました。
[キィ…―――カップを渡せば車椅子が音を立て、非礼を詫びるよりは口をつけず味わったものを伝える。芯まで冷え切った身は温まりきらずも、招かれたおかげで随分と感覚を取り戻していた]
納得は頂けずとも詮無いですが…
「なし」と言われると困りそうですね。
[冗談めかぬ訥々とした口調で嘯き、さがる眉は前髪に隠れる。普段から杖を手にするビャルネが立つのを制するより先に、扉へ向かわれるのには更に下がる眉は前髪に隠れても、面持ちまでは隠せない]
…………
貴方まで凍えてしまわない事を願います。
[開かれる扉に流れ込む冷気、刺す冷たさに眼鏡の奥で眼差しを細める。キィキィキィキィ…―――扉を開いてくれたビャルネへ目礼を置き、車椅子の音は彼の宅から遠のいていく]
女王は美しくも時に残酷ですからね。
[夜に靡く紅いカーテンは女王の纏う衣にも見え、別れ際にビャルネへ嘯いた。キィキィキ…―――彼と別れて少し、狼の声がやむのに車椅子の音も止まる]
…………
[ひとりだけ人数を減らし戻り来る者のあるであろう祭壇の方ではなく、紅いオーロラの靡く空を見上げる。白く曇る眼鏡に眼差しを細めるも今ははずす事はなく、冷たい女王へ零す白い溜息は*解けた*]
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