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――自室――
[蓋が開いた冷凍睡眠装置。先ほどまでまどろみと覚醒の狭間を彷徨っていた少年は上体を起き上がらせたが、それ以上動こうとしない。]
・・・うるさい。俺は眠いんだ・・・
・・・どうして、起こした。
そんな長話はどうでもいい。もう一度眠る。
・・・ッ!わかった、わかったから大声を響かせるな。
起きればいいんだろう・・・くっ・・・。
[渋りながらも、声に促されるままに装置を離れる。足取りは重い。]
長話はもういい。聞いていたさ。
[ぴしゃり、と声を遮る。]
「レン」、「レン」とうるさいな・・・変な感覚だ。
それは、本当に俺の名前なのか?本当に俺のものか?
・・・とはいえ、他の名前なんて思い浮かばないな。
わかったわかった。「レン」でいいよ・・・。
そういうことにしておく。
[気に入らない、耳障りな声だがその言葉に耳を傾け]
・・・そうだな。確かにそうだ。
ぼうっとしてるのを覚ましに、体を慣らしに行こうか。
こんな体中がギシギシ言うような不愉快な感覚とは早く縁を切りたいからな・・・。
[壁に手をつき、ぎこちない動きで部屋を出た*]
[壁づたいにゆっくり、ゆっくりと歩く。ぎこちない感覚が遠くに去ることはなくて。]
くっ、思うように動かないってのはこんなにも妙なものなんだな。
……なぁ、やっぱりもう一度眠ってもいいか?
[途端、頭の中に大音響で響く声。]
ッ、わかったわかった!起きてるよ・・・。
しかし・・・どこまで続いてるんだ、コレは。
同じドアばかり続くと気持ちが悪い。
……へぇ?人が眠る部屋、ね。
俺も眠りたいものなんだが……わかってるさ、言ってみただけさ。
[一歩、一歩。壁を頼りにゆっくりと歩みを進めて行き―――ふと、足を止める。
目の前にある扉は開いた形跡があって。今までの扉とは毛色の違う扉。手を触れてみる。伝わるのはどの扉とも違った温度。]
……誰かがいる、のか?
お前が言っていた「他の起きた人間」とやらか?
ふぅん……入るのは自由と。聞いてもいないことまで説明ご苦労なことだね。
[聞きたいことだけ聞いたのならばもう、お節介な声などに興味はなく。ただ、その先に進む為だけに扉を開いた。]
[扉を開いた向こうに広がる景色は今まで通ってきた道とはあまりにも違いすぎて、ほんの一瞬目をぱちくりとさせる。]
……なんだ、これは。
ビオトープと言うのか……意味の説明はいらない、自分で感じる。
綺麗だって?ぱっと目に映る感じでは確かにそうだな……でも、俺はなんか嫌だよ。上手く言えない。押し込められたような変な感じだ。この感覚はなんと言うんだ――『窮屈』、とでも言うのか……?
[ふと地面を見る。幾つかのあまり古くない足跡達。
足跡の進む方向を見やり、壁がないことを確認してため息を漏らし。]
ふぅん。あっちの方向、か……。
[壁から手を離し。よろよろと歩みを進めて行く。
人の手の加えられていないように『見える』地面を、足跡だけを頼りに進む]
[しばらく歩くと視界が開けた先に大きな――白い壁。]
……ぼ、ひ……?
此処はそういう名前なのか。
人間の眠る場所?ここでも眠っているのか。
さっきの部屋といい、此処といい、誰もが眠っているのに、俺は眠ろうとすると怒鳴られるとはね……。
わっ…!
[どさ。
まっすぐ人影を見据えて進む中、細い蔦のような植物に足を取られて前のめりに転んでしまう。]
…った……畜生…情けないな…。
[顔を上げて起き上がった時にはもう、人影は視界から消えていて。]
今の俺の足じゃあもう…見つけられないか。
はぁ。本気で体を慣らさないとな…人一人追えないどころか満足に動けないなんて情けなさ過ぎる。
…笑うな、カナメ。
言われなくたってそのつもりだ。中に戻る…この足場は今の俺には辛い。
[慎重に立ち上がり、バランスをとって。歩いてきた道を戻り始めた]
[やっと辿り着いた通路を歩く中で漂ってくる、何か、食べ物の匂い。
その名前が頭に浮かぶことはなかったが。]
…腹が減ったな。
[無意識にぽつりと呟いた言葉に、初めて空腹であることを自覚する。
引き寄せられるように、匂いのする方向へと向かう。
そして、ある一室の前に辿り着く。
明らかな、中に誰かがいる気配。]
な、なんだ…?!
[ガターン、という音に思わず扉を開いた。]
おい……大丈夫か?今の音は……
[扉を開くと大勢の人間達が目に入り。一瞬、戸惑う。]
……人……だよな?
[次に目に入るのは音の主だと連想される倒れた椅子と、痛そうに後頭部を抑える男。]
……そこの……おと、こ?
大丈夫か?すごい音がしたんだが…。
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