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― 26日・深夜 ―
ああ……
あの骨を最初に拾ったのは、君だったのか。
[ブルーシートが掛けられた空き地の前、
現れた小さな人影に、笑いかける。
もっとも、相手の意識は無いだろうけれども。]
さあ。あの子と一緒の場所に行くといい。
心配ない。すぐに済むよ。
[夢遊病のように歩む彼を導いて、
優しく小屋へと送り届けた*]
― 26日・深夜 ―
………今日は舞姫は居ないのかな。
[少年を送り届けた後、空き地に戻って辺りを見回す。
そこにはただ、昨日と同じ月光が注ぐだけ。]
もう来ないなら、残念だなぁ。
せめて、名前くらいは聞いておくべきだった。
[ほんの少し本気の混じった声で呟いてから、
ブルーシートの方へ近づく。]
[習慣になっている朝の新聞を開いて、
新聞に乗ろうとする猫と攻防を繰り広げつつ
ざっと記事を流し読む。]
空き地から3日連続人骨…か。
頭、足、腕……
―――今日は背骨。
ころころと可愛いひと繋がりの骨。
明日は肋骨。繊細なカーブのひと揃い。
…もうすぐだよ。
もうすぐ、君が"出来上がる"。
[詠うように言って、傍らの包みをそっと撫でた。]
さて。空き地の様子でも見てこようか。
お弁当も届けないといけないしね。
[行ってくるよ、と白猫を撫でて、
からりころりと店を出る。]
ただいま―――あ、タケさん。
留守番してもらってたんですか。
いつも、助かります。
[店で茶を飲んでいた近所のご隠居さんに
頭を下げて礼を言う。
客が来た、との言葉に、少し首を傾げ、]
…近所の小学生が、話を聞きに、ですか。
呪い人形の話を?
穢れを人形に移して、人に拾わせる…って
あの話ですよね。
……ああ。そちらも話されたのですか。
死者の骨を拾わせて、命を少しずつ奪ってくる…
そりゃぁ、迷信ですよ。
死者が復活するとか、話が出来るとか…
そうですねぇ。よっぽどの念が介在すれば…
…って、タケさんまでそんなおとぎ話を。
[からり笑い飛ばして、茶を一口。
そして、ぽつり呟く。]
……ええ。似てますけどね。今の状況。
おや。刑事さん。
見回りですか? ご苦労様です。
[やってきた制服姿の人間に、軽く一礼。
警官の官職にはもとより無頓着で、
「警察さん」より呼びやすいから、
という、ただそれだけの呼びかけ。]
タケさん、入れ歯なんてそんなもの、
忘れないでくださいよ。
[警官を見て一瞬消えた笑いが、
タケさんへと再び向けられる。]
[袋の中には、白い歯。
ころころと輝く、真っ白な歯]
―――少し、厄介な警察屋さんかもしれないね。
しばらく、黙っていてもらおうか。
でも、店に来た直後に失踪してもらうのは、
さすがに疑われるかもしれないなぁ。
さて、どうする…?
[制服姿を見ながら、自分と相談する。]
……ああ、そうですね。
あまり事件の話を聞いても、困らせてしまいますか。
[警官の話に、ひとつ頷き、]
本当にね。早く解決して欲しいものですよ。
子供の悪戯……にしては、
少々手が込んでいるようですけれども…
[本当に、と二度繰り返し、
そっと薬を警官の方へと滑らせた。]
[警官の姿が見えなくなるのを確認してから、
タケさんに、奥さんが待って居るんでしょと言って
また明日、と家へ帰ってもらう。
無人になった店の中、
白猫を撫でながら、ぼんやりと宙を見る。]
今、体は4箇所。
人はまだひとり。
……今日、1人は呪(まじな)いに誘われるとして…
もう1人くらい欲しい、かな。
…そうだ。
骨の人にお供えがしたいって言っていたあの子。
あの子に、会わせてあげるって言ったら、喜ぶかな?
どう思う?
[話しかけたのは、手元にいる白猫…ではなく、
物の影にひっそりと隠されるようにおかれた、
小さな写真立て。]
呪(まじな)いは、人の命を少しずつもらうから、
集める人は、多い方が良い。
さて、どうやって連れ出そうか。
ふふ。骨が見つかったよ、って言えばいいかな。
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