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[へたり込んだちかの目の前で、すうっとスイの姿が消えた。ベックの腕の中にいたアンも、同様に。
いつもの衝撃が、ちかの脳を打ち据える]
・・・う、ううぅ・・・・。
[ちかは、はらはらと涙を流しながら、笑おうと。無理にでも笑おうとして、果たせず]
うん・・・わかってる。
きっと、わかってるの。
これはわたしの、ただひとりの、わがままなの。
・・・でも、わかりたくない。
わかりたくなかったの・・・。
ずっと、ずーっと、みんなと一緒にいたかっただけなの。
んー。
[なんと声をかけたものかしばらく思案していた]
儚さ含め愛でられる桜のように、人の繋がりもまた永遠でないからこそ大切なものである。
って、おじいちゃんが言ってたわ。
あら、鉄道屋もしてましたの?
[やんわり微笑んで、ユウキを見つめている]
あなたはいつも、何も話して下さらないんだもの。
私、何も知らないまま――。
願うことは、悪いことじゃない。
ここは、叶えられなかった願いを叶える場所だからな。
きっと。
[俺もよくは知らないが、と付け加えて]
けどな、そっから先に進めなかったら、意味がないんだ。
[やっとのことで涙が止まると、頬に涙の筋を残したまま、三人三様の言動をじっと見ている]
・・・・そうなのね、みんな、もう準備ができてるのね。
わたしだけが、ここにこだわっているのね。
[淋しそうに呟いた]
[きょとんとちかを見やる]
あらいやだわ、お母さん自分だけは蚊帳の外だと思っていたみたい。
心の準備なんて出来てないわよぉ。
[くすくす笑ってから、ユウキの問いに笑い声をぴたりと止めた]
知らないまま、お別れしてしまいました。
“あなた”と。
[芝居がかった調子で言った]
それは違うよ。チカ。
[眉を下げて、ぽつり言う]
じーちゃん。寂しい。本当に寂しい。
家とかじゃなくて、皆がいなくなるのが、やっぱり寂しい。
[皆の一斉の返答に、戸惑うように俯く]
でも、ならばどうして、そんなに落ち着いていられるの・・・?
だって、こわいよ。
”向こう”がどんなところか、わからないもの。
ここにいれば、みんなここにいれば、ずっと楽しいのに。
淋しかったり、寒かったり、暗かったり、しないもの。
[真面目にこくこく頷いて、チカに言う]
ほんとは、爺ちゃんも怖いんだ。
[内緒だよ。と照れくさそうに]
でも、忘れたふりして、誤魔化しながら笑って、
見てると、そっちのが辛くなるんだ。
みんな、たまにすごくしんどそうにするから。
……そっちのが、爺ちゃん寂しいんだ。
[言いながらしゃがみこんで、チカと目線を合わせる]
……なんでだろーなぁ。
仮初だって、夢だって、気づいたからかね。
いくら成りたくても、結局、本物にゃ、成れやしない。
[本音に近く、遠いことば。
怖いという単語には敢えて触れなかった。
ふ、と息を吐き出す。
視線は、ちかもツキハナも、捉えてはいない]
此処? “家”だろう。
――此岸と彼岸の狭間にあるだけの。
じいじ、こわいの・・・?
[自分のことのように辛そうに、唇を噛む]
じいじは、忘れてないのね。
わたしは覚えてないの。
たまに、ふっとかなしいきもちになるけれど、なぜなのかはわからないの。
・・・わからなくてもいいと思っていたの。
[わかってしまえば、全てが崩れ去るから・・・。
ベックの瞳に吸い込まれ、そんな言葉を思わず飲み込んでしまう]
[うん、と素直に笑ってチカに答え]
覚えてないのか。それはきっと、一番辛いね。
――いま、思い出す勇気は出せそう?
[それとも、まだ出せない? と目で問う]
さっきアルバムを開いたら、一緒に写った写真がないんです。
家族は皆一人ずつでしか。
[知らず頬を伝っていた涙を、指先で拭う]
あなたも消えてしまうんですか?
何も、話して下さらないまま。
あなたが何を言っているのか、私にはわかりません……。
[ちら、とユウキを窺ったが、すぐに視線は手元へと落とした]
どうかな。経験から言えば、辛すぎて忘れたいことは、
わりと忘れられるけど。
[わからない世界であるものの、一応答えて]
爺ちゃんはね。思い出せるけど思い出したくないだけなら、ユウキを出してちゃんと思い出したほうが、笑えると思う。
思い出せないなら、もう思い出さなくて良いと思う。
[できないならできないで良いのさ、と笑って]
あなたは誰なんですか?
[逡巡して、浮かんだのはそんな言葉。
何かがズレていることを認識しながらも、それを認めることが出来ずにいた]
[ベックの言葉は、ちかにはちょっと難しくて。
しかし何度も意味を考えながらじっと聞き入っている]
じゃあ、えっと、思い出せるようにがんばったほうが、いいのかな・・・?
[消えていった人たちを思う。
どんなに嫌でも、もう引き止めることはできないのならば、思い出すべきなのか、どうなのか]
誰、っていうのも、難しいな。
俺は、俺。
君の“あなた”じゃない、とだけは言える。
[手を口元に当てた。煙草は、その手にない]
俺の “お前”も君じゃあ、ないから。
チカが本当の意味で笑えるようになって欲しい。
そのためにはどうしたら良いかは爺ちゃんだけが決めることじゃない。ってことかな。
[ごめんね。わかりにくいね。とやや赤面]
実は本題これからなのだ。
……思い出せなくても、別のことはちゃんと覚えておこう。
家族は11人いた。
[ちらりと七夕の笹の方を見て、]
離れてる人もいるけど、今も同じだけいる。
行くのがちょっと怖い向こう側に、7人。
そしてこっちに4人、います。
[襲われた虚無感に、唇を噛み締めた。
首を横に振り、ゆるゆると言葉を吐き出す]
全部、嘘ですか?
家族の幸せをと願う言葉も、私に向けた笑みも、全部偽物ですか?
私のこの気持ちは、気の迷いか何かですか?
[依然として顔を見ることが出来ずに俯いたまま]
[ごめんねと言うベックに、かぶりをふって]
ううん、わたしがものわかりがわるいだけなの。
おべんきょう、できたら良かったのに。
みんなのことは、ちゃんと覚えてる。
わすれないよ。
わすれたくないよ。
[そして、ベックとユウキのやり取りを、不思議そうに見ている]
さてね。
君に向けていたのか、彼女に向けていたのか。
得られなかったものの、
……代わりを、求めていたのかもしれない。
[額に落ちる前髪を、くしゃりと掻きあげた]
それでも――
たとえ、仮初でも、夢でも、
俺は、嘘とも偽物とも、思わない。
代償にしないで下さい。
[呟いた声は人へ向ける物ではないかのような小ささだった。
握り締めた拳は、小刻みに震えている]
何の、話ですか。
[男達のやり取りを見やる瞳には涙が滲み、視界が少しぼやけていた]
[チカに向き直り、気を取り直し、赤い顔でこほんと咳払い]
本当はね。ここ爺ちゃんの分もチカに預けようと思ってた。
チカがすっきりするまで一緒にいよう。と思ってた。
今も思ってる。チカがその気になったら、声をかけてくれれば良いかな、とか。ここにいるみんなで一緒に、あっちにいるみんなに会いにいくなら少しは怖くなくなるかな、とか。
[なんとなく間が悪い感じで恥ずかしそうに呟き]
[つまり、言いたいのは――とあたふたつける]
焦らなくて良い。って爺ちゃんは思うってこと。
爺ちゃんとかしかいないから、不満かもだけど、
チカはすぐにどうこうしなくても良いってこと。
以上、爺ちゃんからチカにはそんだけです。
――ゆっくり歩こう。
[チカからは何かある?と、まだ赤い顔で問う]
[ちかは、じっ・・・とベックの目を見てしばし考え込んで]
あのね、お願いがあるの。
こんばん、じいじといっしょに寝てもいいかな?
わたし、一人で寝るのが、ちょっとこわい・・・。
[何かの予感に震えて、ベックに懇願をする]
[震えるチカの手をとって、目を見つめ返しながら首肯する]
良いよ。一緒に寝よう。
今晩だけじゃなくても、不安なら不安じゃなくなるまで。
大丈夫だから、のんびりいこう。
[どうしたのさ。と心配そうに]
[ほっとした顔で]
ありがとう、じいじ。
[それ以上は何も言わずに、取られた手をしっかりと握り返す。
やがて小さくあくびをすると、眠たげな目をこしこしと*こすった*]
うん。眠いなら、もう今日は寝ようか。
[筋力を二倍にする奇跡の新薬『MYO-029』を飲み、
パーフェクトベックになって、眠そうなチカを抱きあげる]
……。
[ユウキとツキハナのやりとりを見て、ちょっと思案]
まあ。
[視線を彷徨わせた挙句、ツキハナを見る]
たとえ、夢幻に過ぎないのだとしても、
スイの言っていたように、
俺にとっても、皆は“家族”なんだろう、な。
[温もりすら、偽りかもしれない。
けれど、その手に、触れた]
[二人を見ながらちょっぴり心配してる様子]
……じゃあ、じーちゃんは寝る。
[任せて良いよね? と目でユウキに問う。
それから、ゆっくり茶の間を出て行った。*]
それなら、お帰りなさいと言わせて下さい。
明日も、明後日も、ずっと……あなたに。
[叶わぬ願いと知りながら、ユウキの瞳を覗き込んで言う。
涙を隠そうと、静かに*抱きついた*]
[お休み、とは口の中だけで。
目線をベックに返して、出て行く二人を見送る]
それから。
きっと、この想いも。
君を好きになれて――
愛せて、よかったと思う。
[言い辛そうにしながらも、微かに笑んだ]
……ありがとう、ツキハナさん。
[そっと、*背を撫ぜる*]
……俺はなー
[いつもの癖]
なぁんにも、上手くいかなかったんだ。
夢見たって破れてばっかで、厭になった。
でも。
ひとつくらい、叶えたかったんだろうな。
[返る声は聞こえないけれど、否、だから、語る]
それで、此処に来たんだろう。
ただ、好きな奴と一緒にいたかった。
皆に好かれる、父親って奴になりたかった。
家族って奴が欲しくて、
おかえりって言ってくれる、
あたたかい家に帰りたかった。
それから――誰かを救いたかった。
[子供のように笑った]
すげぇな。ほとんど、叶ってら。
でも、なんだろうな。
叶えば叶うほど、空しい気分になるんだ。
よくわかんねえけど、虚ろな感じ。
思い出せなかったからじゃないらしい。
[得体の知れない感覚は口に出来ず、*独白する*]
ただ、さ。 このままじゃ、いけないって思うんだ。
― 夢 ―
「ちか、お前さんももう十三。嫁に行く手筈を整えたぞ」
「お嫁に・・・?じゃあ、だんなさまができるの?家族ができるの?ゆうちゃんのねえやが着ていたような、まっしろな着物が着れるの・・・?」
「ああ・・・そうだな。ちかが嫌われないようによく言うことを聞けばな」
「聞く!言うこと聞くから。庄屋さま、おねがい」
「そうか、それは話が早い。今までお前さんを育ててきた甲斐があったというものだよ」
***
[白無垢に身を包んだ”ちか”は、籠に乗せられ、しずしずと山道を運ばれていた]
「ねえ、どこに行くの?わたしのだんなさまは、どこにいるの?」
「もうすぐだ、もうすぐ会えるぞ・・・」
[たどり着き、籠から下ろされたその場所は、山深く木が生い茂る寒々とした場所だった。目の前には、地中深くに穴が掘られ、中には”ちか”がすっぽりと入るくらいの丸い桶が埋まっていた]
「・・・し、庄屋さま、これは・・・これは・・・」
[訳が分からず棒立ちになっている”ちか”に、堰を切ったように滔々と紡がれた言葉は]
「この村では、五十年ごとに地の神にお供えをしてきたのだ。その年に十三になる生娘をひとり、地の神の妻とする。今回は持ち回りでわしの孫娘が、おゆうが、そうなる羽目になって困っておったら、お前が現れたのだよ。ちか、今まで育ててきてやったろう?さあ今こそその恩を返してもらおう」
[呆然としたまま、がくがくと震えながら”ちか”は”ゆう”に視線を向けた。たすけて、と言いたかったが、声は出ず、唇も固まったように動かなかった]
「何よ、その目は!いつもそうよ。いつもそうやって私を見て、私を責めるのよあんたは!わざと私の真似をして名前を呼んだり。はやくいなくなってよ。もう私を見ないでよ!」
[ぽろりと、”ちか”の目から涙が零れ、地に染みを付けた]
「さあ、ちか。お前さんの相応しい場所へ、行くがいい。
”ちか”。・・・・・”地下”」
[村人たちが、細く軽い”ちか”の身体を羽交い絞めにして、逃げられないようにしてから桶へと運ぶ。しかし”ちか”は、逃げるどころか指一本動かす気力すら、失われていた]
[桶の蓋が閉まる。一瞬にして視界が闇に落ち、正気が戻り、”ちか”はやっとか細い声を上げた]
「いや・・・。こんなの、いや・・・。
まっくらだよ。だんなさまもいないよ・・・。いや・・・」
[しかし、桶に木釘を打つ音、土をかける音に紛れ、どこにも届くことはない]
「くるしいよ・・・けほっ、けほっ。
いやだ、出して。ここはいや。くるしい・・・」
[酸素を求め、ぜいぜいと喉を鳴らす]
「・・・さむいよぅ・・・・」
[暗闇と、寒さと、孤独の中。
そして”ちか”は、最期の息を*吐き出した*]
― 夢・了 ―
わたし、うらやましかったの。
ゆうちゃんが、うらやましかっただけなの。
どうすればよかったの?
わたしはどうすれば、よかったの?
じいじ、こわいよ。
”あっち”は、こわいよぅ・・・!
[ベックの服にしがみつき、もはや涙すら出ないほどに青ざめ*震えている*]
[ちゃりん、と音がした。
卓上には、六文銭が二人分]
足りないのは……
此処にいろってことなのか、
それとも、他に理由でもあんのか。
[首の後ろに手をやり、コキと鳴らす。
欠伸をして、居間を出て行った。
貨幣は置き去りのまま]
[戸惑いながら、震えるチカを抱きとめる。]
……思い出した?
[何があったのか判らず、問いに答えることはできず]
チカ。チカが向こうで一番怖いものはなに?
[ベックの問いに、ぽつりと答える]
・・・ひと。
ひとの、こころ。
[あれほど人との交わりを求め、温もりを求めていたのに。
巡り巡った答えは、全く正反対のものだった]
ねえ、じいじ。
じいじはどうして、”ここ”にいるの・・・?
あなたに捧げていたのね、私……?
[仏壇の一つ多い草団子を見つめて独りごちた]
あなたはここへは来なかったんでしょうねぇ。
後ろを振り向かない人でしたもの。
[苦笑を噛み潰して、花嫁衣装を脱いでいく。
未だ、彼の男の名も顔も*思い出せてはいない*]
[うん。と弱く肯んじて]
そうだね。怖いね。
騙されたり、傷つけられたり、とても怖いね。
[どうしてあげれば良いんだろう、
そう考えながらチカの質問に答える]
じーちゃんは死にたくなかったから。かなあ。
[ふとちかは、庭の笹に視線を向けた。
微かにゆらゆらと揺れる短冊が、悲しげに晒されていた]
かぞく・・・・。
[ずっと願っていたもの。そして一度は叶えられたもの]
できない・・・忘れられないよぅ・・・。
[もはやちかにとって”家族”とは”ここ”に集った人々と同等の意味でしかなく、唯一無二だった。
しかし既に殆ど失われ、回復の見込みは無い。
ちかの想像の及ぶ限り、これ以上の家族はありえない。
ちかの中では思考が堂々巡りをして、出口を見失っていた]
ずっとあるよ。
[痛々しいチカの様子に、それでも笑ってみせて]
家族。会いたいなら、会いにいこう。
なくなったわけじゃないから。
チカが怖いものからは、じーちゃん達が守るから。
[囁いて、頬を撫でた]
じいじ・・・やさしいね。
[ちかは悲しげにベックに微笑んだ。
”向こう”に行った人たちには、それぞれの新しい人生と新しい家族があるのだろう。
それは”ここ”の家族ではない。
会いに行くということは、その事実と向き合うということ]
わたし、わがままだね。
よくばりだね。
優しいの一言ですませるんじゃありません。
[ぺち、と柔らかくチカのおでこを叩く]
良いよ。わがままでよくばりで。
伝えなきゃいけないことのほうが、多いよ。
[桜色の着物を羽織り、小花の刺繍が施された茜色の帯を締めた]
初めて買って下さったのがこれでしたねぇ。
[おぼろげな懐かしさに顔をほころばせ、慣れた手つきで身支度を整えると仏間を後にする]
[ああ、誤解されるかな、と思い。考え、付け足す]
……逃げるのだけはだめだよ。チカ。
爺ちゃんは誤魔化そうとする子にはスパルタだ。
[それ以外はのんびり待つけどね、とにっこり]
ほら、手出せ、手。
[父としてのときより乱暴な口調で、ちかの手に六文銭を握らせる]
使うか使わないかは好きにすればいい。
あとの一人分は、居間のちゃぶ台。
「なあなあで色々考えないようにして、形だけのんびり過ごそう」
そんな意味で言った言葉はない。ってこと。
……それ以外は、もう大体伝えました。たぶんね。
チカが決心したらその時言うことがあったけど、今はいいや。
[では写真とろう? と立ち上がって、カメラの前へ]
たぶん、簡単な話だよ。
じーちゃんは“千年かけて幸せになろう”くらいの心意気だよ。
みたいな話? かな?
[くすりと笑って、ツキハナの指示通り、並ぶ]
[よく分からないという顔で]
じいじ。
じいじは”どこ”へ行くの?
わたしは、”どこ”へ行くの?
[ベックの横に並び、手の中の冥銭とベックの顔を交互に見ながら尋ねた]
写真を撮るのはいつもあの人の仕事でしたから。
撮るわよぉ?
[タイマーを押し、自分もカメラの前へ移動する。
ちかの斜め後ろに立って、細い肩に両手を置いた]
千年経っても、家族ですか。
[浮かぶ笑みは、少しの寂しさを孕んだものだった]
はいはいっと。
[なんとなく後ろに手をやりながら、カメラを見る]
千年。気の長い話だなぁ。
……いくら経とうが、家族は家族で、いいんじゃないか。
[よくわからなそうな顔が申し訳ない。照れ]
きっと、驚くほど傍にいるよ。
じーちゃんはね。出会いは運命だと思う。
だから、何回繰り返しても、どこかで、会える。
[嘘じゃないよ。と根拠なく自信ありげに言った]
お父さんとお母さんはどんな風に出逢ったんですか?
[からかいの笑みは、シャッターが下りる頃には和やかな笑みへと変わっていた]
上手く撮れてるかしらねぇ?
[どんな表情で映ったかはわからない。
ただ煙草を咥えた横顔は、“家族”には相応しくないだろうと思った]
……くさいなぁ。
[ベックの台詞に小さく呟いて、壁際に下がった]
悪臭台詞爆弾でみんなを気絶させたあと、
全員河にぶちこもうと思ってね……。
[きらりと歯を光らせながら、ユウキに軽口を返す]
まあ。もしそのときが来たときのために、
魂で覚えておいておくれ。
[次に会う時は、爺ちゃんはカバとかかもしれないけど。とか]
じいじ、ととさま、かかさま。先に行ったみんな。
ありがとう。
わたし、こんなにわがまま言ったの、初めてだった。
みんなに、うんと甘えてたんだと思うの。
たくさんめいわくかけたね。
でも、いっぱい甘えられて、うれしかった。
みんなに会えてうれしい。
だから、庄屋さまも、ゆうちゃんも。
・・・ありがとう。
[ぽろり。またひと粒、涙が零れた]
どーいたしまして。
[ちかの感謝に、頭を掻いた]
それが家族っていうんじゃないか。
わがまま言ったり、思い切り甘えたり。
そういうの、全部受け止めるのが。
迷惑かけられても、嬉しいんだよ。
……少なくとも、“父さん”はな。
全部厭になって逃げてきたロクでなしにしちゃ、
上出来だったかとは思うがね。
[口の端を釣り上げたが]
願い事?
[真顔になった]
……電動自転車か。
え?
あぁ、あれはいいんです。
商店街のくじ引きに電動自転車があったなぁって思っていただけですから。
[首を振って、けろっとした顔で言う]
もう一度だけ抱きしめてもらってもいいですか?
……ああ。
逃げ出した癖に、逃げ出した先で、
幸せになってる自分が、厭なのか。
[独りごちる]
後悔したって、遅いのにな。
先に進まなきゃ、いけなかったんだ。
[遠慮がちに抱きついて呟く]
ユウキさん、私は思い出せないんです。
夫がどんな人だったのか。
[ユウキの胸へと顔を埋めた]
だから、代わりじゃないんです。
少なくとも今は。
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