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ずっと前に、ね。こんな風に声が聞こえたの。
どんな「人」だったかは知らないけれど。
[あの夜居間の窓から見えたのは
まるい月の下を駆け抜ける獣の姿のみ。
]
[唇を尖らせていれば、向ける視線も僅かに咎めるようだったか。
返された言葉(>>=3)に、視線を横に逃がす]
それは、自分が死んだら悲しむ人?
死んだら自分が悲しくなる人?
[ふとよぎったのは、彼女の伴侶のこと。
さすがにズバリと聞くのは躊躇われて]
……どちらにしても、自分が死んで喜ぶ人がいるよりマシよ、きっと。
[ため息混じりに言葉を*返した*]
酒場の看板娘 ローズマリーは、ここまで読んだ。[栞]
[もうすぐ夜が明ける。
声の主からの答えは、彼の心をどのように揺さぶったのか。]
そう。でもきっと「ずっと前」と僕とはきっと別の人だろうね。
[歌うように伝えると、振り続けた雪は*止んでいた*]
―― 翌朝・集会場 ――
神様すまん、もう酒なんて一滴も飲まない。
[渡された投票用紙を握り締めた手で、二日酔いの頭を押さえる。
遠く聞こえてくるのは、アーヴァインが無残な姿で発見されただとか、処刑者を決めろだとか、自警団員による*一方的な話*]
─ 朝・集会所 ─
アーヴァインさん、死んじゃったのね。
[挨拶以上の話をした記憶はないけれど、
見回りの一環であろう、しばしば寄宿舎を訪れていたのは見かけていた。]
──狼にかみ殺されちゃったの?
[私の家族みたいに──とは心の中でのみ。**]
……。
[自警団長の死を聞いた反応はそれだけ。
犯人探しと言う名の処刑者選びを聞き、
もう一度口を開く]
この中に犯人がいるということにして
互いに殺し合わせる。
そしてここにいるのは狼と人殺しばかりになる――
そういうことですわね。
下品な手口ですわね。
こんな方法を考えついた人間に
お会いしたいものですわ。
――もっとも、人なのは
外見だけなのでしょうけど。
[そう言って華やかな笑みを見せる。
*皮肉を込めて*]
[いつでも不機嫌な破落戸(ごろつき)は、
椅子の背凭れへ頬杖をつき斜に腰掛ける。
一同へ一通り視線を睨め巡らせた後は、
しばらくむつりと口を閉じ其処に居た。]
[酒場の女が無意味な禁酒の誓いを口走る。
女学生がいろのみえない声音と言を置く。
堂々たる寡婦が挑発めいて某かを皮肉る。
やがて独り言ちる意識は其処へは向かず…]
殺されるのも、仕事のうちってかぁ?
[幼い頃から見知る自警団長の男の死に様に。
破落戸(ごろつき)は、亡きアーヴァインの
念入りな職務熱心さへ忌々しげに毒づいた。]
… 石頭が。**
神様に誓う前にヴィンセント先生の所に行った方が楽だったんじゃないの?
[酒に呑まれた看板娘を一瞥しながら、静かに本を捲る。新たな犠牲者で疑いが深くなった者達が再び集められた集会場、その中で手渡された一枚の紙切れは栞代わりに挟んでいた。]
では、俺らが疑われるのは、死して尚束縛する彼の正義、という事になるのでしょうか。
[はらり、と頁を捲る。昨日の雪は止んでいた。]
へぇ、人狼はかみ殺してひとを殺すんだ。
[耳を掠めたメイの言葉に、興味深そう声を上げた。
視線は相変わらず文字を追う。]
まるでその場を見た言い方だね。
あ、あとそれと――…
オードリーさん、かな。
集められた内訳が、必ずしも狼と人殺しだけとは限らないんじゃないかな。
…たとえば、人とも人狼ともつかない、厄を齎す存在とかも。
いないとは言い切れないでしょ?
[手に持つ本で表情を隠しながら、彼は眇めるように辺りをゆっくりと*見渡した*]
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