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[夢で見た帰郷の一部始終は、村にはたどり着いていなかった。
でもきっとそれは、夢だからで、本当のことなんかではなくて。
そう思えば思うほどに悲しくなるのは……]
わか、ってるのよ…
あたしだって、わかってる…
[自分がすでにこの世にないかも知れないということ。
ただ、帰郷の強い思だけが残ってて…]
[顔をあげるとそこにいたはずの猫少年が消えていた]
そっか…じいちゃんのとこに、還ったの、かな
[呟く言葉に力はなく]
プレー…チェ?
[消えたもう一つの気配を探そうと周りを見渡すが
その姿も、何処にも見えなかった]
あんた達も…そう、だったんだね。
[炊事場の窓から見える景色をぼんやり*眺めた*]
[外へ出て行くグンジとライデンの背中をぼんやりと見送る。
本土へ帰ろう、と聞こえれば少しだけ視線を上げ]
あっちへ、帰れるなら…
[帰りたいもんさ。
言葉の最後を飲み込んだ。
もう、本土にも帰れないのではないかと。
そんな気がしていたから]
[今まで言葉のやり取りができたのは、自分と同じように
曖昧な生死の境を彷徨う者達とだけだったのかもしれない。
わかりたくないと頑なに事実に背いていた心にも
いつしか綻びができていた]
えびちゃん…
あたし、見える?
あなたは、消えないよね?
[年の近いエビコに問いかける。
その視線は男二人を見送ったままで]
帰りたいわよ。
そりゃ。
お店だってあるんだしさ。
[戻ってきたグンジの問いかけに即答した。
しかしその言葉にはどこか、実感が伴っていない]
[お社の柱に刻んだ言葉も『帰る』だったことをと思い出して
少し呆れた表情を見せた
自分はどれだけこの村が好きだったのかと]
先生が言うとご利益なさそうだねぇ
神様も、お星様も……お月様もさ。
[グンジがテーブルに残したものをちらりと横目で見ながら
笑い声を上げた]
[藁人形を手にしてまた外へ出て行くグンジを
少し怪訝そうに見遣る]
誰か、って?
先生、あんた…ずいぶん他人事みたいに言うねぇ
[その言葉は外に出たグンジには届いたか、否か]
何をもって、死とするのか、か。
[ふと自分の手を見つめた]
あ、うん。
[エビコに手をひかれて外へ。
もうもうと上がる煙を黙って見上げていた]
これで、船が来るのかしら。
[その船はどこへ向かう船なのだろうと
おぼろげに思いながら]
猫だから、お魚好きかもね。
[きっと、猫少年の苗字は鱸だったのだろうと]
ほらほら、弄ってないでかけてみてよ
[そういえば自分はライデンが鼻眼鏡をかけた姿を
見ていなかったなぁとけしかけた]
あ。
[対岸に火が炊かれているのを見て声を上げた]
あっちはまだお祭り続いてるんじゃない
そうよね、だってここから火を持って帰るんだもの。
それで、みんな家の前に松明置いて、火を灯して…
[ぽつりぽつりと記憶を語る]
うん。
そうだね。
迎え、来るかな。
[村と島を隔てる海の青を眺めた。
…さむぃ…つめたぃ…あおぃの…
ふと、猫少年の言葉が脳裏に浮かび
いやいやをするように*頭を振った*]
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