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[手にしていた鞄を開けると、中には金平糖が詰まっていて、すぐに溶けるように消えてしまった。空になった鞄も、後を追うように消え]
……、ああ。
[...には夜空のように見える空を、仰ぐ。そこにゾウサクの姿があったなら、困ったように笑みかけて]
……
[診療所の方へ、進んでいった]
[少女の言葉に、微かに口許をゆるめて頷く]
そうだね、戻ってこないと決まったわけじゃない。
消えた、ただそれだけ。それ以上はわかっていないのだから。
[駐在に知らせにいくと言う少女を見送りかけて]
[向けられた問いに、少し切なげに首を振る]
……ごめんね、私にもそれはわからない。
神隠しが何故、何のために起きているのかも。
[道の途中でイマリの祖母と出会う]
え? 萩原さんが…居ない。
はい、探してみます。だいじょうぶ。きっと戻ってきますよ。
[教師の笑顔で老婦人をなだめながら、家の近くまで送る]
はい。ではまた。
[一人きりになったあと呆然と呟く]
──神隠しは大人だけじゃないの?
――――…。
あなた……。
[空を見上げる。]
神隠しがなんのため…。
理由があれば人を消してもいいの…?
自分勝手かもしれないけど…。
消えられて悲しむヒトもいる。
[歩き出す。]
消えた、それだけでイヤだ。
[小さい頃、消えた父の姿を思い出した。]
お邪魔します。
[鳥居を潜る前にふかぶかとお辞儀をする。
何かと理由をつけて、神社には行かないようにしていたので、今日が始めての参拝だった。
緊張の面持ちで*階段を登る*]
[腕をいきなり掴まれて、恐怖に足が竦む。
驚きに目を見開いて振り返ると、そこには見慣れた村人の姿。]
写真屋、さん……?
写真屋さんも、来ちゃったの……?
[掴まれた腕から伝わってくる温もりを、喜べばよいのか悲しめば良いのか分からずに目を瞬く。]
[診療所に着くと、どうやって中に入ろうかと悩んだ。扉に手を伸ばしてみる。す、と、指が入り込んでいき]
……幽霊のようだな。
[独りごち、すり抜けて中へと入った。診療所の中を、少しうろつく。看護婦の姿を見つけると]
やはり、君にも、見えないかね?
[届かない呼びかけをして、複雑そうな笑いを作り]
ネギヤに村のニュータウン化計画を提示して、餌を撒いて、賛成派を増やして。
どれだけ労力がかかったと思ってんだ。
これでまた、人は示された神の力に平伏して畏れ敬い奉る。
[森の中で、舌打ちをひとつ]
……いや、まだ諦めるのは早え。
……ごめん。
[少女の言葉を聞き、肩を落とす]
それはそうだ。消えるだけで嫌だ。
……なんでこんなことするんだろうとか、帰ってきてほしいとか、
そっちばっかり考えて、根本的なことがお留守になってた。
ごめんなさい。
本当に神隠しなら、危ういかとは思ったが。
ああ。
困ったものだ。
[診療所を後にして、どこかへと。
たゆたうように、*歩き始めた*]
……なんで…謝る…?
[振り向かず言った。]
悪いことしてないなら謝らなくていいよ。
じゃあ、行くね。
[駐在のいる方へと向かう。
最後にかけられた声は届いていなかった。]
消えるならわたしでいいのに。
[父が消えたのは神隠しでもなんでもない。
飛行機事故だと聞いたのは大きくなってからだった。
母とももう何ヶ月会ってないだろう。]
たぶん、まだ死んでないと思う。
[見知った大人が笑うのに、少し固かった頬が緩む。]
神隠しから、帰ってきた人はいるから。
ここを出ることが出来れば、きっと。
[ぽんと頭を撫でられると、嬉しそうに笑い返した。]
写真屋さんは、ここで誰か……ネギヤさんとか、他の人に会いました?
神などいないと、呪われた血などないと証明するために、神を殺す。
……どうかしてるぜ。笑えねえ話だ。
まずは呪いの効果を減らす。そのためには、神の力を削げばいい。
祠に社に。あとは……神社に奉納された神具か。やるなら早え方がいい。あいつらに嗅ぎつかれたら厄介だからな。
[森の中に座り、一人計画を立てるのでした]
[予報士を目指そうと思ったのは。
死んだと知らない父に見つけてほしくて。
空が好きな父のためだった。
今でもそれは変わらない。]
――――――…。
[駐在に会えばまた消えたと報告した。
町中に広まるのも時間の問題だろう。
消えたのは医者と雑貨屋の主人だと伝えてある。]
――――――…。
[手にある白衣をどうしようかと困ってしまった。]
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