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[倒れたロッカの体を助け起こそうとするも]
[ケンの事を思い出し、既に命がないのは予想がついて]
……また、なんだ。
ロッカちゃん、雷神様は何が欲しいのか知ってた?
だったら、教えてくれればよかったのに……。
[両手で腕を抱え込んでも、震えは止まらない]
やっと見つかったと、思ったのに……
[ああ……と枯れた声を上げて、地面に髪の毛がつくほどに頭を*垂れた*]
[ぱりん。
白い貝殻が、砕けた]
ロッカ!
[駆け寄る。抱き留めるには間に合うはずもないけれど]
おい、しっかりしろ。
[ひた、と頬を叩いても反応が無いのは、ケンの時の繰り返しのようで]
[これで2回目。もうため息も出ない]
ともかく、今はロッカちゃんのご両親と
診療所に連絡するのが先だね……。
ごめん、ロッカちゃんのこと
診療所まで連れてってくれるかな?
ご両親には私の方から連絡入れておくからさ。
[やっぱ力仕事はきついわ、と努めて明るく言って]
……と 見つか たと 思ったのに
[異常な事態に騒ぐホズミとフユキの耳にはもしかすると届かないかもしれないほどの小さな言葉が小さな口から紡がれるも、意識は眠りの中*]
言えるのは……これ以上
何も起こらないでほしいって事だけだね。
一通り終わったら、またそっち行くからさ。
[そう言って、フユキと
今は亡骸となったロッカを見送る]
[診療所に落命したワカバがいるとは、
まだ知らないまま]
さ、ウミも帰るよ。
校長先生のところにも
連絡入れた方がよさそうだしね。
[眠りにつくウミの体をそっと抱え上げて
ホズミも蔵を後にする]
だけど……ウミは不思議だよね。
事件のときにはいつもいてさ。
飼い猫にも野生の勘ってあるのかな?
ねえ……ウミは何か知ってる?
[尋ねても、聞こえるのは*静かな寝息だけで*]
[目を開くと、そこは温かく揺れていた]
王子様も魔女も姉様たちも、みんなみんな泡になっちゃえばいいのに。
[背負われる背中のまぼろしに頬を寄せて、見ることのなかった『異譚』のことを思う。
薄桃色になった頬に伝う涙は*温度なく*]
……あれ?貝殻?
御神輿に、あんなのついてたっけ……?
いや、どんな飾りがついてたかなんて、いちいち覚えてないからなー。
何かごちゃごちゃっとしてるな!って印象しか無いし。
[アイスピック]や[ポストカード]がぶら下がってたって、気がつかないかも知れないね。
……どこから来たのかわかんないアンが、持ってた貝殻。
御神輿についてたのと対になるんだとしたら、それはいったいどーいうことなんだろう。
[ロッカが二つの貝殻を合わせようとするのを、じっと見ている]
………!?
ロッカ、ちゃん!?
[聞こえないとわかっていても、呼びかける。頽れる小さな体、手から滑り落ちる、白い貝殻]
ロッカちゃん……!
[砕けたのは、貝殻なのに]
[一瞬、まるでロッカ自身がこなごなになってしまったように、錯覚した]
[診療所で。
自分の死体の前に、少年が椅子に座っている。
あるいは、彼だけがそのつもりになっている。]
……。ふむ。
[困ったように、己の亡骸に話かける]
幽霊なんていない。と思っていたのだけど。
駄目らしい。まだ僕は終わらないらしい。
[訪ねたワカバの部屋で幾らか話した頃。
――閃光は一瞬。
痛みか圧迫感かに似る衝撃と共に訪れた。]
きゃああ あっ…… !!! !
[悲鳴はワカバの其れと重なって上がる。
光に遅れ轟いた雷鳴が耳を痺れさせ――
ヘイケは背から壁にぶつかり崩れ落ちる。]
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