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[どれだけ涙を流しただろうか、やがてそれも涸れ尽き・・・のろのろと起き上がるとベッドから降り、頬の涙の跡もそのままに覚束ない足取りで医務室から出る。船医が何か声をかけたようだが、...の耳には言葉として届かず]
鋏・・・。
[ふらふらとメッセージボードの前に向かい、ギルの写真に突き立てられていた鋏を抜き取ると、ぽかりと空いた鋏の孔を指でなぞる]
痛かったよね・・・。
[ふらりとラウンジを横切るメイを見つけると声をかける。しかし気付いた様子も無く通り過ぎられ、彼女はメッセージボードの前へと立ち止まった。その所作を見つめればギルバートの写真に刺さった鋏を抜き取る様子が見える]
……。
[その姿は言葉に出ておらずとも悲痛な叫びのように見えて。これ以上声をかけるのを躊躇われた]
[ふと何かの気配にメッセージボードから目をそらすと、その先には見覚えのある姿。視線がぶつかり、瞬間的に意識が覚醒する]
・・・カ、ミー・・ラさん・・・・。
[妙に間延びをしたような、おかしなイントネーションでその名を口にする。右手には抜き取った鋏を握ったまま、カミーラを見詰め]
・・・ねえ、カミーラさんなの?
ギルバートさんを連れ去ったのは、カミーラさんなの・・・?
[瞳は青黒く沈み、ゆらゆらと揺れて]
[ようやくこちらに気付いたメイからの問いに一度目を瞬かせ。それからゆるりと横に首を振る]
…いや、私ではないよ。
それを証明するものは無いが…私ではない。
[おかしな様子のメイに訝しむ表情を浮かべるも、その視線は彼女に見据えたままで]
・・・違う、の・・・・?
じゃあ、誰・・・?
[がくりと、少し身体が傾いで、視線は何かを探すように宙を彷徨う]
どうすれば・・・終わるの・・・・?
こんなおかしなゲーム、どうすれば・・・・。
…落ち着けメイ。
始まりがあれば終わりがある。
これがゲームなら、尚更。
[身体が傾ぐとそれを片手で支えて]
ここまで来ちまうと、時間が全てを解決してくれそうでもあるがな。
自分の手で終わらせたいなら、犯人役であろうアクターを探すことだ。
[支えられて何とか体勢を保ち、揺れる瞳でカミーラの顔を見上げると]
終わる・・・それはどんな終わりなの・・・・?
あの小説のように、一人残らず居なくなってしまうの・・・?
[手の力が緩み、するりと鋏が零れ落ちる。しかし毛足の長い絨毯は柔らかくそれを受け止め、音を飲み込む]
誰が・・・いったい・・・・。
分からないよ、ずっと考えても分からなかったよ。
このまま何もできずに、ただその時を待つだけなの・・・?
[両手で頭を抱えこみ、小さく首を振る]
[相手を落ち着かせるように、メイの頭を己の胸元へ引き寄せ頭をぽんぽんと叩く]
私だって分からん。
だがこれがツアーのイベントだってなら、消えた連中もこの船のどこかにいる。
全て終われば出てくるだろうさ。
ただ待つのが嫌なら、キャロルやトビーを問い詰めてみるか?
メイが違う、私が違う、これが事実としたら、後はあの2人だ。
[カミーラの胸元に額を寄せ、目を瞑ると]
・・・・私ダメだな・・・。
ギルバートさんにも甘えてしまってたし、今度はカミーラさんにまで・・・・。
[唇をきつく噛んで、しばらく俯いて。やがてカミーラから身を離すと、小さく笑って]
ありがとう。もう落ち着いたよ。
またこんなに落ち込んでると、ギルバートさんが心配しちゃうね・・・。
キャロルさん・・・トビーくん・・・今日はまだ全然姿を見てないけれど、どこにいるのかな?
でも証拠も何もないもん、問い詰めてもきっと「はい自分が犯人です」なんて言わないよね・・・。
甘えること自体は、悪いことでもない。
辛い時は吐き出しちまえ。
溜め込んでた方が身体に悪い。
[身体から離れる様子にこちらも手を除けて]
ん、船のどっかで心配してるかもな。
まぁ、そりゃそうだろうなぁ。
今までもそうしてきたわけだし。
ここへ来てあっさり白状することはしないか。
今までの行動が全て演技だとすれば、見抜くのも容易くはないだろうし。
うん・・・。心配性すぎて嫌になっちゃうな・・・。
私にはミステリーツアーは合ってないことが良く分かっちゃった。
[情けなさそうに苦笑いして、大きくひとつ深呼吸して]
専属アクターの犯人もだけど、外部から紛れ込んでる人というのも、何をしているのか全然分からなかったよ。
不気味だね・・・。
でも、ゲームが終われば全てが明らかになるんだよね?
いったい何がどうなっているんだろ・・・。
私も合ってないかもしれないな。
隠されたヒント等を見つけられていない。
[肩を竦めて苦笑い]
2つの勢力があるお陰で、余計見えるものも見えなくなってる感じだったな。
同じように、ヒントを落としたりしていたのかもしれんが…。
終われば、明らかになるだろうさ。
イベントが終了するわけだしな。
終わった後、皆笑って顔を合わせられると良いんだが。
憶測だけで疑いあうことしかできなかったね。
私はそれに加えて、疑心暗鬼でどんどん落ち込んじゃったし。
・・・うん、みんなで笑ってお話できるといいね・・・。
[しみじみと呟き、そしてはっとして]
あ・・しまった他の人の鋏はそのままだった・・・。
[メッセージボードに近づき、次々と引き抜いてゆく。ニーナとまん次郎、リューの分と、落としたものも拾って。手の中にはじゃらじゃらと4本もの鋏]
全部同じものだね。
わざわざこのために用意してたのかな?
[手に取ったものの、どうしようもなくてカウンターの上に並べて置く]
仕方が無いっちゃあ仕方がないがね。
慣れぬ場所で人が消えていく恐怖。
疑心暗鬼になるのも無理は無い。
[メッセージボードから鋏を引き抜くのを見れば共に近付いて]
全部同じか…連れ去ったのは同一犯と考えるのは楽観的過ぎるだろうか。
用意していたってのはあるかもしれないな。
連れ去ったのは別の人物でも、写真に刺した奴が同一ってのもあるか…。
[顎に手をあてカウンターに並べられた鋏を眺めて]
[並べた鋏をじっと見詰めて]
そうか、ここにいる船のスタッフはみんなグルなんだよね?
連れ去りをしている人がバラバラだとしたら、連れ去られた人を知らせるために、スタッフの人が鋏を刺してR.I.P.の文字を入れているのかも知れないね・・・。
この自己紹介の紙を書かせて写真も撮ったのは、アーヴァインさんだしね。
演出にしてはやり過ぎだと思うけれど・・・。
[ふぅ、と息を吐き出して]
もうここまで来てしまったら、考えてもどうしようもないのかな・・・。
スタッフ側の演出ってことか。
その可能性の方が高いか?
どうもチョコに薬を仕込んだようでもあるしな。
ミステリーツアーと考えれば、インパクトもあって悪くは無いとは思うけどね。
[溜息のような息を吐くメイの頭をぽんと叩き]
時に身を任せると言うならそれでも良いだろう。
少しでも何か解明してみたいと思うなら、立ち止まらずに突き進んでみたらどうだ。
うん・・・そう言えば、私ここで倒れちゃったんだけど、いつの間にか医務室に運ばれていたの。
持ち場を離れるスタッフって殆どいないと思うし、誰が運んでくれたのかなぁ?
・・・やっぱり、どこかにカメラか何かがあって見られているのかなぁ・・・?
[思わず辺りをきょろきょろと見回すが、それらしきものは見つけられず]
突き進む。
どこに向かって進めばいいのかも分からないよ・・・。
[うーんと首を傾げ]
カミーラさんは、どうするのがベストだと思います?
倒れた?
大丈夫だったのか?
持ち場を離れるってもラウンジを行き来してるスタッフなら運んでもおかしくないと思うがね。
カメラも…あってもおかしくないかもな。
[どこにあるかまでは流石に分からないが]
私は半分諦めてる部分もあるからなぁ…。
推理をするなら、残されたヒントを整理して点を線に繋げるところなんだが。
そう言えばギル達の部屋はまだ見てなかったな。
ヒントが出てくるかどうかは分からんが、調べてみるのも手だろう。
うん、大丈夫。
ちょっと精神的にいっぱいいっぱいになっちゃっただけ・・・。
そっかぁ、私はラウンジにスタッフがいるところって殆ど見たことないから。
[諦め気味なんだ・・・と呟いて]
確かに、ヒントはわずかだけど色々と出てるよね。
ただし繋げ方が分からない・・・というか、そもそも繋がるものなのかも分からないのが困ったところだね。
うん、ちょっと部屋を見てみようかな・・・。
カミーラさんはどうしますか?
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