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>>10
おなかに入っちゃえば一緒です。
[むっとした顔で返す。
食べ終えた銀紙を丸めてフユキの方へ投げやった]
夏場の室温に置かれたチョコが割れるわけないじゃないですか。
[探るような目を向けて]
誰か死にました。
成程…確かに溶けかけは割りにくいですからね。
[含み笑いもせず、無表情に頷いて足元に落ちた銀紙を拾おうとしゃがむ。
探る視線には気付かず]
[ぼさついた髪を指で梳かし襟元を軽く整えると、部屋を出、広間へ向かった。
辿り着く直前、誰か死にました、というポルテの声が聞こえれば、前の曲がり角、あちらからは死角になっているだろう位置で、足を止め]
……。
[様子を窺うように、耳を澄ます]
…気配……?
[言葉を反芻し、ああ、と頷く]
やっぱり、お化けだったんじゃないですか。
その言い方は。
[薄ら笑いに眉を顰めつつも、探すというポルテの後ろに立って、歩く]
怪談はやめて下さいって言ってるじゃないですか。
[とげとげしい言い方を反省する素振りも見せずに、一番手前の部屋に入る。
ビセの居た部屋であることは知らない]
何か、臭いません?
[視線は、誰かが寝ていたと思しきベッドから、部屋の窯へと*移る*]
[二人が歩き出すと少し後からゆっくりとついていきかけるが、遠目に部屋へ入るのを確認すると、話しかける事もないままにその場を離れ。
先程まで眠っていた部屋に戻って椅子に腰掛ける。懐からどんぐり飴の袋を取り出し]
―ビセの居た部屋―
何か、知ってるんですか?
[フユキの顔を見ないまま尋ねる。
窯に近づいて手をかざした]
あったかい。
[しゃがみ込んだ姿勢のまま、作家を見上げる]
窯神様も、人狼も、作り話ですよね?
[それは、願いにも似た*問い*]
―ビセの居た部屋―
あんまりそこ近付かない方が良いですよ。
摂りこまれるかもしれませんから。
[窯に近付くポルテに淡々とした声を投げる]
――…知りたいことでも、あるんですか?
[摂りこまれたら、食べられない。
当然のように、心配するのはそちらの方]
…カレー味……、かな?
[思考が何処かずれているのに気付いて、ひっそりと心の裡だけで笑う。
飢えている。そのために意識は逸れる]
確かに僕は作家で、話を作るのは生業ですけれど。
その2つは、僕が語ったものではないでしょう?
本当の事、ですよ。
[こんな時ばかり、明確な答えを告げる]
そうやって尋ねるから…より深淵に近くなる。
>>20
また、そういう。
[眉を顰める。
続く問いには、視線をそらして考え込んだ]
知りたいことがあるから、こんな廃れた所まで来たんです。
[立ち上がって、部屋を出て行こうとするが、扉を開いた途端に勢いよく後ろを振り返った]
冗談は言っても、嘘は吐かない主義ですよ。
[口の端だけを上げる笑み]
僕が教えられることなら、答えますが…それなりの対価は頂きますよ?
っと…、どうしました?
[突然振り向く様子に、緩やかに首を傾げる]
何を知っているんですか?
何で知ってるんですか?
[嗄れた声で尋ねる]
対価って……
[苦しみに満ちた声が圧し掛かってくるようだった。
ビセの部屋を飛び出して行く。
廊下を進むが、また違う気配が他の部屋から滲み出ていた]
オオカミの話を。
カミサマの話を。
この村の意味を。
この儀式の事を。
幾つかの選択肢と、その行く末を。
[謳うように、韻を踏んだ言葉。
部屋を出るポルテの背を抜き去って、地下へと足を向ける]
対価を払う覚悟があるなら、後ででも構いません。
…あの像の前へと。
―バクの居た部屋―
……何で?
どうして?
[アンと同じような血まみれの遺体に近づくことが出来ずに立ちすくんでいる。
波の音のような雑音。鼓動。ビセの悲鳴、バクの呟き。
音の洪水に飲まれそうになる]
誰がこんなことを。
[暫くしてから、また部屋を出た。ひとまず広間の方へと向かいながら]
……今日もいい天気だなぁ。
[途中、入り口の方を振り向いては、差し込む温い外の気配に呟いた]
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