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[集会所には、軍服姿の者から白衣の研究者のような態の者まで、ざっと数十名が集まっていた。その中心で行われている演説に耳を傾けながら、さも関係者を装う。その合間に、0099へ送られる通信{5}]
To:0099
愛しのウルスラへ。ご機嫌いかがかな。
此方はロンドン列車で優雅に旅行中。
なかなか楽しいバカンスの続きになりそうだよ。
見たところ、Chineseが多そうだね。
ただ、大半は雇われているだけか、何も事情を知らないって風だ。
あまり公にしたくない研究をしていることだけは事実みたいだけど。
敵と繋がっている可能性は、今のところ半々ってとこだね。
追伸
性転換バイオ兵器が本当に見つかったら、[0011 山猫 カウコ]で人体実験してみても良いかな?
追伸2
本場の紅茶は流石に美味だったよ。
[0044から受信]
あら、何か楽しそうね…。
[と、微笑む]
特に返信はいらなさそうね。
[多分、それが返答になっているだろうと…]
一応、本部には報告…と。
――ピーヒャラと音を鳴らしながら、私は手綱を操作している。
私立探偵がなぜ大きな駅の前で猿回しをしているかの経緯は明かすことは出来ないが、指令のためには必要なプロセスであるとは言っておこう。
与えられた猿は非常に賢く、私が芸の指示を細かく与えることなく動いてくれるため、ソロバン4級の私でも路上パフォーマーの猿芸人として遜色なく振る舞えているだろう。
――それなりの密度の拍手がわく。
「阿会喃システム」の芸名が有名になりすぎるのも困り者だが、客が集まってくれなければ群衆に紛れてもらえない。
年老いた母親(役)がお捻りをもらうため、私の愛用するダークグレーのソフトキャップを手に群集に寄っている。
私の寂しがり屋な懐事情から言えば小銭も重要な収入だが、あの帽子に入れられるべきは別のもの。
そう、本部との伝達である。
ここに潜伏しているらしい幹部、それも大物との調整のため、あの帽子の中でエージェントとメモのやりとりをするのだ。{1}
蛇の道は蛇、情報化社会だからこそアナログである。
【阿会喃システム】
阿会喃(あかいなん)は三国志に登場する武将の名前。
ある三国志ゲームでコンピュータは武将の五十音リストの上から計略対象に選ぶので、必ず阿会喃が狙われるというバグまたは仕様を指したもの。
人狼風に言えば、とりあえずサマリーの一番上から吊っちゃおうぜシステム。
――北京・自宅――
[窓を叩く音がして、端末から顔を上げる。
伝書鳩>>3を招き入れた]
へえ、一桁の人がピンチなんて珍しいね。
面白くなりそ。
……上手く行ったら、ボスも褒めてくれるかな。
ああ、それとも。
[思惑は胸に留めたまま、鳩の首筋をす、と撫でる。
"了解。詳細を"とだけ暗号で書いたメモを、脚にくくりつけて飛ばした{1}]
一桁の人が見つかるほどの重大な案件と、一桁の人を危機に陥らせるほどの力の入れ方。
どう動こっかなー。
[出立の準備を始めた]
[ウルスラ物語
兄の婚約者であるドロテアこと003は見た目は若作りしているが、実のところ40歳を超えている。それでも、兄とは10歳以上離れていた。
表だっては愛想を振りまく0099ではあったが、心の中では葛藤の毎日。
ようやく任務が開始となり、003とも会う機会が減り、ようやく清々していたところに、救助命令が下ったのだ]
なんで、わたしが、あんな女を助けなきゃならないの…。
[0099の葛藤がまた始まった...]
[昨夜にいまるの送ってきた画像の解析結果が本部より送られてきた。結果は、[気がついたときにはキノコを手にしていた]ということだった]
どういう意味かしら…?
[何かの暗号なのか…。0099も初めてみる暗号...]
キノコ…キノコ…英語では、"mushroom"
mush...たわごと, ほら話っていう俗語ね。
room...部屋…。
あの部屋になにかあるのかしら…?**
ウルスラ占いは、色んな意味でアウトの気がしたので変更。
カウコが黒の可能性は<17>%。
本気で黒を狙うなら[0011 山猫 カウコ]占いがいいらしいよ!
にいまると合流できる時間まではまだあるわね…。
先に下調べしておこうかしら…。
[にいまるからの報告を基に幽霊屋敷に向かう]
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