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四辻村
[それから男――名を来伝龍一といった――は四辻村に到着した。そして今は、村の中を歩き回っていた。並ぶ古い民家。人がいる気配は確かにあるが、その姿はざっとは見掛けられない。携帯は圏外になっている。
典型的な寒村、といった風情だった。
辺りを眺め、時折デジタルカメラで写真を撮りながら、人の姿を探して歩き]
……ん。
[道路に沿って中央へ向かっていくと、川が見えてきた。その水の色に、瞬く。血のように、赤い水]
……成る程、いかにもだ。
[少しく胸がざわめいたのを覚えながらも、小さく笑い。赤い川を撮ってから、脇にある井戸を*覗き込んだ*]
― 四辻村・民家二階の一室 ―
ぴったごーら っす♪
―――――…………
[おもてから耳慣れぬ声がする。
そちらへ意識を惹かれた女は、鼻歌を中断して動いていた。
マーブル柄のカーテンを僅かにめくり、そこから窓ガラス越しの戸外、下方を窺えば、余所者――この村の住人ではない人間の姿がある。]
[少しだけカーテンの隙間の幅を広げる。
次いで戸外へ向けて顔の半分だけをのぞかせるようにして、女は満面の笑みを浮かべた。
[窓ガラスの奥、無音の――
第三者からはミック・ジャガー似と評されそうな笑顔。
それから、カーテンは閉ざされた。]
[民家の玄関の脇に、ネームプレートつきのサビに覆われたポストが備え付けられている。
ネームプレートの氏のところには『穂積』の表示があり、さらに下に幾つか、ここの世帯の人々――この村の住人でもある者たちの名が並ぶ。そのうちの一つ、『穂積 美津保』が女の名である。**]
―四辻村・井戸―
[雑誌記者たる来伝龍一氏が近づいた井戸の周りには、
白い軽石が水はけ良いように敷き詰められていた。
脆い石はじゃり、と軋んで身を減らし、音を立てる。]
……。
[だから、彼が覗き込んだ井戸の壁にへばりついていた
少年の面は能面のようで…驚愕は浮かんでいなかった。]
おじさん、どこのヒト
― 駐在所 ―
[腕時計に目を滑らせ、ついで茶を淹れようとしたが、]
ん、あれは?
[過疎な村な事、部外者であれば直ぐに分かる。遠目に見知らぬ人間の姿が見えたような気がした。]
陽も暮れるというのに…。
[僅か褪せた表紙をしたUFO特集雑誌の近くに湯呑を置き、椅子から立ち上がると其方へ足を向ける。]
っ、
[目を見開き、息を呑む。視線が、合った。覗き込んだその先には、少年の姿があった。予想外な事態に、心臓が早鐘を打つのを感じながら、は、と息を吐き]
……あ、ああ。私は、東京から……
君は、何故そんなところに?
大丈夫かい?
[井戸の中を覗き込みながら、返答と疑問を*向けて*]
東京…
日本のシュトだっけ
[来伝氏の返答は、少年の真上から聞こえる。
仰向いて言ちる当人の声は、変声期の其れ。]
だいじょうぶ、隠れてたから
[向けられた問いには、順逆の答えが置かれ。]
おじさんこそ、…いや
[その後に続くはずだった言葉はふと途切れ、
少年の手が苔生した古レンガを辿々しく探る。]
…そのまま
俺のこと 見てて
[ ――ノイズ音―― ]
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[視界から見慣れた砂嵐めくノイズが引いていく]
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[――井戸を見下ろしている]
[苔生した内壁のレンガに、半ば両手の爪を
立てる態でへばりついている少年がひとり
浸からぬ足の下には、ゆらゆら 赤い水面
ひび割れたレンガの隙間からチロチロと細く
内壁を流れ落ちる水だけが…清涼に澄んで、]
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…
水じゃないよ
俺を見て
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[借りた視界の焦点が、少年に―自分に―戻る]
[動揺めいたノイズが収まるのを僅かに待てば、
湿った壁を登る手がかりを探るのは*容易い*]
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