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― テントの前 ―
[男は身切り裂く程冷たい空の下、テントの前に立つ。
中から感じるは数人の気配と温度、それに話声。
緋いあかいオーロラを見る事叶わぬ男が空を見上げれば
頬に冷たい氷が触れるばかり]
…――、
[手にした飾り気無い杖で、足元の地面を探る。
コツリ、小さな石が転がった]
足、ね。
…ふむ。
[少し指先の感覚が無くなりかけていたかもしれない。
暖のある方向へと、わずかに身を向けた]
迷信が現実に顕現することも、まま在る場所だからな。
…凶事が起こる時は常に、オーロラが紅く輝いている――偶然と断じる事も出来なくはないだろうが。
…狼どもを?
一匹なら、出来るかもしれん。しかし集団となると……
奴等は存外、賢く――協調性を重んじる生き物だからな。
[少なくとも私は無理だ、と自嘲気味に返した]
―長老のテント―
[入り口を見ていればやってきたカウコに軽く頷き返すことで挨拶を返し。
ちらちらとテント内を照らす炎に視線を戻せば、その奥にあった黒い影がうごめく。]
長老の言葉を否定できる根拠はないのぅ。
群れで行動するのが狼とはいえ――未だに襲ってこないのには、理由があるんだろしねぇ。
[蛇を首に巻きつけたままのトゥーリッキにちらりと細めた瞳をむけ。
じゃらら、と飾りがなる杖を抱えなおしながら。
考えるように言葉を口にする。
蛇遣いの嗜好には答えを返さぬまま、踊る炎を見やり。]
[新たな冷気をつれてきた男へと視線を向ける。]
紅い輝きは常に惨事とともにあるのぅ。
[長いこと村の皆に読み書きを教えながら、今でも読み書きできない者の代筆も行う男はぽつりと呟く。
ゆったりとした口調は年寄り臭く、男の年を実年齢より老けてみせる。]
さて、追い払えるものなら、とうに追い払うだろうて。
――狼どもの数次第とはいえ、響く遠吠えを聞くに村の男衆が全員でかかったとしても――どれだけが無事で居られることやらのぅ。
わしとて、狼一匹と渡り合うなら負けるつもりはないが――な。
[万が一、火を恐れない狼だったら無理だが、と呟いて。
炎を見つめて暫し、沈黙した。]
…また、誰か来たかね。
[厚い雪を、地表まで掘り下げ建てられたテント。
入り口付近で凍った小石>>21が転がる音がした。
毛皮に埋もれる蛇遣いは入口の厚い幕へ目を遣る。
すぐに視線は火へ当たるラウリの身動ぎに戻って]
そう、足だ。温まるといい。
しかし、狼を村へけしかける者かもしれんのか。
狼使いならば凍えておけ。…こうだな。
[冬は、火の傍でのみ饒舌な蛇遣いが一人で頷く。]
この地でなくとも、
年寄りのいうことはきいておけとは言うものだが。
長老さまの言、盲信でなく
納得してしまえるのは幸いかもしれん。
…ああ、そうか…
旧きに学べということなら、文献にもだったな?
[ラウリの後を接ぐように口を開いたビャルネへと
うなずいてみせる。ぐず、と鼻先に音を立て溜息。]
追い払うのは、どうにも無理か。
カウコも同意見らしい。
痩躯を気に病む必要はないようだよ、ラウリ。
[場の男たちが意見を同じくするらしきへ、
先刻声に自嘲を混ぜたラウリへ薄情に言う。]
ではやはり、狼使いとやらを探して
やめさせるが最善というわけなのだね。
あの赤マントは、まだ戻らないか。
何人が集まって…何が始まるのだかな。
[眉を顰める。狼使いを探すという術を想う。]
容疑者を集めて、テントごと燃やす…
なんてことにならんらしいのだけは、
彼女のことひとつ取ってもわかるが――…
[複雑げに、長老の孫娘を肩ごしに*見遣った*]
― 長老のテント ―
[伸ばした杖の先が、入り口の分厚い革布に触れる。
遅れて手が其れを捲り、目に包帯を巻いた侭の男が姿を現した。
――数年前に、行き倒れる所を長老に拾われ、遊牧の民に混じるようになった男。
だが男は今まで、過去を語った事は無かった]
…邪魔を、する…
[低い低い声を発する。
中の暖かい空気の中、匂いと音で数人の気配を感じ取り、ひくりと鼻を動かした]
――"49"か。
邪魔にはならん、座るといい。
[目元へ包帯を巻いた男が姿を見せると、蛇遣いは
"49"――彼を、マティアスをそう呼ばわった。
確かに、彼の両耳へ揺れるプレートにはその数字が
刻まれている。その由来は未だ語られないけれど。]
まだ、何もしてはいないのだ。
まだ、村のために、気の毒なドロテアのために
ここにいる誰も、何も出来てはいない。
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