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―回想―
[落ち着いた色彩の、豪勢な、それでいて趣味の良い部屋の中。
一人の少女がイーゼルに架けられたキャンバスを前に佇んでいる。
そこに架かるのは、レンブラント風の、光線を駆使した柔らかな少女の肖像。]
どうした?気に入らないのかい?
[問い掛けに、彼女は振り向く。
それは、キャンバスの中にあるのと同じ顔。
ブロンドの、真っ直ぐな髪が縁取るその顔は、愛らしく、はにかんだ笑みを湛えているが、どこか寂しげだ。]
「いいえ、とても綺麗。
でも、ちょっと綺麗すぎて、わたくしじゃないみたい。
ねえ、次はあなたご自身のタッチで描いてみて下さいな。
―おにいさま。」
―現在・一等3号車付近―
[「閣下」の帰還に警戒態勢が解かれたか、不思議な事に無人の2号車通路を抜けて、3号車へ…。
入ろうとする所に何か気配を感じてふと目を上げる。
―と、列車の屋根の、「ニンジャ」のような小さな影と目が合った。]
さてもさて、3人目なり、ブルータス。
…いや、正確には何人かな?
[と、相手の目を見て話し掛けると、そのまま細い足首をむんずと掴んで抱きかかえるように引き下ろした。]
[頭巾を剥ぎ取ってみると、それは果たして食堂車で乾杯し合った少女その人。
怯える瞳に画商が映る。
顔立ちも、髪の色も、丸で違うが。
同じ年頃に、追憶の中の少女が重なり、ところどころ煤けたその顔に、ふと眼差しが柔らかくなる。]
まてまてまて![逃げ出そうと、もがく体を更に力を込めて抱きすくめる。]
乱暴はせんよ!ふむ、先ほど占いのマドモアゼルには振られてしまったようだからな。
どうかな、君はわしと協力せんかね?**
これは…。
[二段ベッドの上にあれやこれやとぶちまけられた荷物をみて、思わず溜息。]
本人が散らかしたのか、
賊が侵入して荒らしたのか、わからないじゃない。
[大げさに肩を竦めながら、
ベッドの上を覗き込んでガサゴソと。]
あら…?
[彼の左腕にあった青い兎とお揃いの桃色兎が、
手荷物の中からこんにちは。]
こんなところで、かくれんぼ?
[ちょんと兎をつついて、]
お友達は行ってしまったわよ。…寂しいわね?
[そう声をかけながら、兎と共に部屋を後にした。]
―三等客車―
[何かの影が車窓に過った様な気がした――。
窓を開けると肩に掛けていた黒い薄いショールが、女の肩からフワリと浮き上がり、後方へと飛び去っていく。
それは何かを暗示する様に――。]
あら、残念。
[もう見えなくなったショールの行き先に目をやり、小さく呟く。
そして席に座ると、返して貰ったカードを元に戻そうとすると、一番上にあるカードは、
――『LA PENDU-吊られた男-』
その表情は無念そうに見える。]
さて、星の道筋はこれをどう読めと言うのかしら。
[協力者から得た貨車の話と共に様々な道筋に思いを巡らせる。]
★
[ああこれは夢か、と、すぐにわかった。だってそのときの自分は小さな兎で(夢の中でだって小さいのか!)、でも本当の自分は兎ではないのだとわかっていたから。
兎はいつも森をひとりで歩いているのだけれど、そんな自分に黒葡萄の実を落としてくれるのが黒葡萄の木だ(あたりまえじゃないか)]
★
[そのとき兎は黒葡萄の木を見上げて、いつも実を落としてくれて有り難うと言おうとしていたのだけれど、どうにも上手にしゃべれなかった(兎だしね)
途方に暮れていると、ひとりの人間がやってきて――]
『あなたの言葉を伝えてあげましょう』
[と言った。右手に星、左手に香の葉、頭に白い霞を被った、占い師の女のひと。兎は喜んで、黒葡萄にお礼を伝えてくれるように頼んだのだった(でもどうやって?)]
それにしても私もそろそろ動かないと―…‥
[そう呟くと、廊下の粗末な更衣室代わりの一角で、身支度を整える。
一見変わらないが、何かがあった時は身軽に動ける様に、脱ぎ去り易い上着に着替えて、スカート下のガーターには香と薬をを入れているピルケースを忍ばせる。
最後に右手の薬指に意匠の凝らした金の指輪。]
これで服装はいいわね。
さて仕上げは―…‥
[化粧道具を取りあげて、ゆっくりと白粉を塗り、頬紅をつける。
少し迷った様に指先を動かして、仕上げとばかりに深い緑色のシャドウと紅を、そして最後に媚薬の入った甘い薔薇の香水を少し腕に垂らす。
―そこに居るのは神秘的な占い師では無く、一人の女。
そうして、占いの道具を携えて、優雅に一等客車の方へと向かう。]
秘宝を手に入れるまでは、この私は夢の私。
夢の中で兎の夢を見ていた坊やは、本当の自分を見つけたのかしら?
★
ありがとう、あなたにも、感謝します。
[黒葡萄にお礼が届いて、兎は酷く喜んだ。占い師を見上げて、そう言った。やっぱり兎だから話せなかったのだけれど。じっとその人を見上げて、感謝を伝えようとしたのだった]
(伝わるかな)
[兎は欠片も不安に思わずにいたのだが、突然ずしり、と足音がしたので慌てて後ろを振り返った――]
夢か、現か、幻か――。
貴方の運命の糸を手繰る為に、夢を渡りましょう。
そう言った事もあった―…‥。
でもそれは偽り事。
私はいつも偽わるわ。
私が知りえる事は、いつも人づて―…‥
だから今回は、私の手で掴みたいの。
―何かを。
[連結部分に立っている女の独り言は、屋外の風の音にかき消される。]
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