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―喫茶店―
“狐様に連れられた。”
[抑揚なく繰り返す。
老婆は言っていた。それが繰り返されてきた営みであるかのように]
アンちゃん、消えたんだって。
菊婆が言ってた。
[菊婆さん手作りのあんぱんを右手に握り締め、喫茶店の入口でぼうっと立ち尽くした。
信じているのかいないのか、サヨは自分でもよくわからなかった]
[本当はその理由も原因も知っているけど、何も知らないふりをする。
手品のタネやドラマのオチと一緒さ、自分が知ってるからって一緒に見てる人に教えたら、その時点で面白くなくなるだろ?
だから俺は何食わぬ顔で横から自由帳を覗き込んでこう言うんだ。]
絵が原因で、結果として名前が消えた?
まさか俺らが見てない隙に絵に食われた…とか?
[って、冗談まじりに、だけど真剣な顔で、な。]
消えた?
[サヨの言葉は簡単に信じられるものではなくて]
……菊婆が?狐に?
いや、確かに菊婆なら言いそうだけど。
[金持ちでもない田舎の女子高生を誘拐する説と、いったいどちらが説得力があるのか。信じるには突拍子もなさ過ぎるし、信じないにしても、不可解な点が多すぎた]
[自由帳をちらりと覗き込み、落ち着いた声で誰にともなく訊ねる]
誰がやったの?
[赤いインキで名を潰すなど、趣味のいい話とは思えなかった]
夜道で見まちがえたんじゃないのって聞いても、そんな耄碌しとらん、の一点張り。
[モミジの問いかけに答えて]
昨日、アンの顔色が悪かったんですよ。
そのときに、これ見てたんですけど……何も、答えてくれなくて。
名前が消されてる理由も、分からないんです。
まさか、とは思うんですけど、アンがいなくなったのと関係あるのかなって……。
−昨晩・回想(続)−
[いつものように閉店間際の喫茶店に顔を出すと、アンの行方を問われる]
ううん、見てないけど。
どうかした?
[まだなんの確証も得られないのか、マスターは言葉を濁す]
ん。分かった。
見たら、連絡するように伝えるね。
[出された大盛りナポリタンもいつもの勢いでは食べすすめられず]
ごちそうさま。
[どこか不安な気持ちを抱えたまま、店を後にした]
[サヨの問いただす様子には、首を振りながら]
最初に見たときは名前だけだったのに、気がついたらそんなことになっててさ……悪趣味だよね。
でも、狐がさらったにしても、どうしてアンが……。
……何か、知ってたのかな。
−翌日−
[見慣れた道を駆け抜ける。喫茶店の扉を勢いよく開けると、いつもと同じベルがなった]
特製大盛りオムライス&パスタセットひとつー!
…って、あれ。
アン子まだ帰ってないの?
ぽちゃり、ぽちゃり。
まだ…寂しいの…
もっと、もっと。もっとたくさん…
次は…誰が欲しいの…
[頭の中で、水音と言葉が響いている]
うん、帰ってないみたい。
アタシも、期待してたんだけどね。
[リウには、マスターに代わって返事をする]
……しっかしまあ、よく入るね。
アタシはいつもどおりでもそんなに入らないよ。
[モミジには思い出したことを追加して再び答える]
でも、その前までは普通だったんですよ。
別に悩みがあったって話も聞いてないですし。
昨日は確かに変だったんですけど……。
[投函された手紙を携えて、向かった先はやはり喫茶店。]
ちわー…って何かあったの?
[カランコロン――]
[ドアに鳴るベルの音が物悲しく響く店内に入り、辺りの人を見渡す。
どうやら夏で冬な秋生まれだったかの青年は居ないらしい。]
狐? 菊ばぁちゃん何か言ってたん?
[知らずに耳に入る単語を反芻して]
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