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[ガラわぁりぃ。
顰め面と漂う不機嫌なオーラに
『わざと蹴った』のだと勘違いをして。
少し持ち上げた顎と顰めた眉での些細な意思表示は、
部活動に勤しむ健全な男子高校生のとりうる最大で、
そしてささやかな、すぐに消え去る不快感の表出だった**]
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皆様、ご乗車ありがとうございます。
このまま本日0時の更新時間をもちまして、村を開始させていただきます。
電車は発車し、以降更新時間を迎えるごとに各駅に停車いたします。
[ルリの黒い目が何往復かする間、この列車に乗っている他のお客さんのこともだんだんと見えてきました。似たような服を着たお姉さんお兄さんたち。ルリより何歳も年上なのでしょう。学校から帰っているのでしょう。鞄の上に顔を伏せているお兄さんだっていました。
本当ならルリも、今日は学校へ行く日でした。今日の給食は、確か、デザートに星形の寒天が入ったゼリーがあったはずです。それを思うとルリは余計にどぎまぎして、お腹がきゅうとしまっていくようで、握った手を少し強くしました。かわいそうなルリのゼリー、きっと食いしん坊のユウタくんに食べられてしまいます。]
[一度どぎまぎすると何故だか変に悲しくなります。
ですから、ルリの目はだんだん下がってしまって、誰かが気遣わしげに送ってくれた視線も受け止めることは出来ませんでした。
けれどそんな悲しい気分も長くは続きませんでした。
一人、とびきり不思議な人が乗り込んできたからです。その人がどんなふうに不思議かというと、一人きりのはずなのに何やら歌を歌っているのです。そうして――お友達なのでしょうか、ルリには分からないことですが、本を読んでた男の人に果物を差し出したのです。ぱちくり。悲しい気分もどこかへ飛んでいってしまいました。]
[ようやっと、男にも周囲を見る気が出てきた。
ぐるりと視線を巡らせ、車内にいる人物を一通り眺める。
最後にちらりと見たのは、[学生 ハツネ]の姿。]
(あ、いる)
[ズイハラには若者の活字離れを声高に叫ぶ趣味は無いが、若い女学生が文庫本を読んでいる様子にはつい眼を留めてしまう
そして知らず知らずのうちに"いる"ということを意識する様になっていた。
それはあくまで日常の一風景としての認識だった
尤も、何を読んでいるか気にならない訳では無かったが
女学生とサラリーマン。互いにそれを知る機会はないだろう]
(ああいう年代の流行りって何だろうな…。宮部みゆきとかか?
ま、良いか)
…
[フゥと小さく息をつき、手元の本へ再度目を落とす。
場面は主人公が赤シャツと釣りに出る頃合いだった]
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