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[名前と年齢を一緒に名乗ってしまうのは、良く年齢不詳呼ばわりされるからだったが、相手の名乗りを受けて、ちょっとしまったという顔になった。
結果的に女性に年齢聞くのと同じになってしまったようだ。
とはいえ、それを今更謝るのも却って気まずい]
七咲さんですね、とりあえずよろしくお願いします、でいいのかな。
[だから気にしないふりで笑っておいた]
や、別に凄くないです。あんま売れてないし。
ペンネームはつけてないんです。ほら、俺の名前、割と覚えやすいから。
[冬に、雪、賞をとった小説を出版する時、小説のタイトルとも被ってるからそのまま行きましょうと編集者に言われて結局そうしたのだ。
ある意味何も考えなかった結果とも言える]
そうですね、なんか...さっきまでとは周りの様子も違うし。
[出て来たはずのファミレスの方向を見ても、それらしい灯りが見えない。全然違う街に来てしまったという雰囲気だ]
あっちが駅、かな?
[遠く駅舎らしいものが見える、人の気配もするような気がした]
駅前なら入れる店とかあるかもしれないですね、行ってみますか?*
……と、それはそうと。
あの、俺のスマホ、アドレスがぐっちゃぐちゃになってて、一件だけ読める、って状態なんですけど。
お二人のは、ふつーに動いてたりとか、してます?
[とりあえず、ここは話題を変えてみよう、と。
さっき気づいた異変について、二人に聞いてみた]
― ショッピングモール前 ―
もーサイッアク……コレこないだ替えたばっかじゃんか……
[憎々しげに画面を睨みつけながら、スライドを続け。
もうそろそろ心が折れるか、という頃]
……ん?
[さく、と雪を踏む音に顔を上げた。
音の方向を見やればそこには女の子が一人。年の頃は此方とそう変わらないように見える]
へ?ウサギ?
なんかさっき色々喋ってたヤツ?なら見たけど?
[おずおずと話しかけてきた彼女に答える]
そーそ、急に周りに誰もいなくなってさー。
しかもこんな時にスマホ壊れやがったの!マジ最悪じゃね?
……え、そっちのもなんだ?
[とこんな調子で、知らない子相手に一通り愚痴を零した。
合間合間にスマホの画面に目を落としつつ]
んでさー、アンちゃん?でいい?
ココって何処なん?
しょーじきさっきの話なんも聞いてないんだよねー。
だってさ急に喋るんぜ?ウサギがよ?ワケわかんなくない?
[そして愚痴ついでに、今更ながら状況を把握することとなる]
ふむふむなるほど……さっぱりわかんねー!
[把握したところでこんな反応だったが。
アンと名乗った彼女のほうもいまいちわかっていない様子で、苦笑いを浮かべていた]
かけてSOSしてください。
[読めるアドレスがあるというバクを恨めしげに見やる]
ズイハラさんは、こう、検索できたりしないんですか。手探りで。
[と言いながら自分は闇雲に画面をタッチしている]
― ショッピングモール前→ ―
んー、ってコトはよ、ウチとアンちゃん以外にも人がいるっぽい?
とりあえず探してみる系?
[同意を得られたのでその場から動く事になった]
つーかマジさむすぎ、ありえねー。
あ、焼き芋食べる?
[抱えていた袋の中から一本を彼女に差し上げた。
そうして歩き出しながら、スマホの画面に目を落とし]
およ?
なんでこれだけ?
[壊滅状態の電話帳の中に、無事な一つの名前を見つけた]
あ、うん。なんかねー、名前一つだけきれーに残ってんだけど。イミフ。
……どーしよ、ちょっと掛けてみよっかな。
ゴメンだけどちょっと持っててくれる?
[ここ数年は疎遠だった従兄弟の名前。
その番号もずっと変更のないまま]
現在使われておりません、とか言われたりしてねー……
[期待半分、不安半分。
受話器のマークの通話ボタンを押して、スマホを耳に押し当てた]
読めるアドレスはひとつだけ…。
[人差し指を曲げ顎に当てて思案する仕草]
…ひとまずかけてみるといい。
結果がどうあれ…状況が見えてくる。
[繋がり助けを呼べるならそれでいい。
繋がらないならそれはそれ。
もし、繋がった上で相手も同じ場所に居るとすれば……そういうことなのだろう、と。
推測に推測を重ねたそれは、思考の中のみに留まる]
……SOSに……なんのかなあ。
[残してはあるが、だいぶ御無沙汰している相手だ。
家を出てからは、顔を合わせる機会もなかったしなー……と。
ちょっとうだうだしていたら、着信音が鳴り響いて]
おおっ!?
[思わず変な声が出た。
出ている表示は唯一まともだった件名で]
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