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[長澤の隣に座ると大切な時間が始まった。なんだか長澤の手がいつとより熱く感じ、額にのせられてドキリっとする。
長澤が心配でじっと彼を見守った。
急にギュッと抱きしめられてその意味がわかり、ポロポロと涙をこぼす]
ヨッシー、ありがとう。
リゥ、怖かったよぉ。
[抱き返し彼の肩に顔をうずめた]
[少し経っただろう。テープレコーダーを何度も再生した。
須藤の言葉に引っかかるものがあったのだ]
リゥはさっきのまま、小鳥遊先生を希望するよ。
ユウキ先生がリゥを希望する時に小鳥遊先生は希望することはできないって言ってたよ。
だってとその理由は続かなかったけど...。
一番気になる人なのに小鳥遊先生を希望することはできないって理由は一つだけじゃないかな?
[あえて、仲間だからだろうとは言わなかった]
今なら村瀬先輩のことちゃんと信じれる。
ユウキ先生が鬼だったってことはリゥが思ってたよりも鬼って優しい?じゃないけど人間味があるかなって。
だから、小鳥遊先生を希望できなかったんじゃないかと思ったよ。
[その目は真っ直ぐに小鳥遊を捉えていた]
[夢を見ていた。1年前の、あの教室で。
目を開ければそこは相変わらずの車両。ぼんやりと眠ってしまう前のことを思い出す。
長澤が成瀬は鬼じゃないと言っていたことや、小鳥遊が全くの別世界に居るかのように話していること、弓槻が櫻木に話しかける声。
そして遡り、隣に消える須藤の後ろ姿。
弓槻はこんなに変わってしまっているのに須藤は最後まで自分の知っている教師の顔だった。鬼達の真意はどこなのだろう]
[忘れないよう自分のスケッチブックに須藤が鬼であったことを書き込む。
残りはあと一人。そしてその候補の中に寺崎も居るという事実が胸を締め付ける。
そっと寺崎の手に自分の手を重ね、祈るように目を閉じた**]
[書置きを、ボイスレコーダー横へ]
▼寺崎君 妥協で▼弓槻君はあり
二度目の襲撃が通っていれば一番得をするのは寺崎君。
霊能者は鷹野の潔白を示し、寺崎の心証を上げた。
占い師不在により寺崎の色は不明に。
勝ち筋は占い師を抜き、偽装ライン(寺崎―三枝、寺崎―鷹野、須藤―成瀬(須藤―わたし?))を創り、偽装ライン利用の心証操作と推定。
急募 手数計算
[ずっとこうしているわけにも行かず、ペンを出しスケッチブックに考えていることを纏め始めた]
んっと、さっきの時間なんだけど、まず須藤センセーからまだ占われてない人から見るのと投票選ぼうって言い出したのね。
そして守る人さんに出てきてもらう話しになって、ナオちゃんが出てきて…。
[櫻木の名前の所で言葉が詰まりそうになる。しかし続けて]
そしたらシンヤくんが偽物だよーって言い出したのね。
それで小鳥遊センセーも占われてない人に逆戻りになったのね。
シンヤくん、補佐さんの可能性が高いって思ってはいたけど、鬼さんとお話出来ないとしたらどうして勝手に偽物だって言っちゃったのかって思っちゃって、さっきの時間から鬼…黄泉返り?の可能性も捨てきれなくなっちゃってるのね。
それに、考え言わないで得するの、補佐さんより黄泉さんなのね。
うーん、でもやっぱり補佐さんなのかなぁ…。
[うーんと唸りながら、レコーダーを聞きつつ悩み始めた]
なんとなくコハルちゃんが言ってた小鳥遊センセーの無防備っていうのが分かる気がするのね。
[喉が辛そうな小鳥遊を心配そうに見つめる]
んーと、もしケンくんが黄泉さんだと、最初に須藤センセーが占われてない人からっていうのが凄く危険なのね。下手したら両方黄泉さんに当たる危険性あるのよ。
だから一人は安全圏に居るんじゃないかって思うのね。
でもね、シンヤくんが補佐さんだとすると、小鳥遊センセー見たって言うのは黄泉さんを保護するつもりだったって思うのね。
なのにそれをパーにしちゃって小鳥遊センセーを突き落とすようなこと、出来るのかな?って思っちゃうのね。
[座席を机替わりにして疑問点を書き出して再び思考の渦へ**]
―回想―
[村瀬の隣に座って、背をさすりながら彼女が泣き止むのを静かに待つ。
その間、残された人達がそれぞれ思い思いの行動を取るのを眺めていた。
小鳥遊が口にしたのは、隠れているという鬼の正体だろうか。
聞こえた言葉をぽつり零す。]
……黄泉還り…。
[周囲がようやく混乱から醒めてきた頃に、村瀬と長澤の話す結果を聞いたのだった。]
―回想:終―
須藤先生が鬼――黄泉還りってやつで、成瀬さんはそうじゃなかった。
偽の繋がりに惑わされちゃったな…。
…でも、間違った人を殺すことにならなくて良かった。
[成瀬を見て、申し訳なさそうに微笑んだ。
しかしそれでも、櫻木が犠牲となってしまったのは、弓槻が言うように自分たちの所為だ。一番危険な位置に出してしまったのだから。
しかし、悔いても彼女が戻る事は、無い。]
[一度だけゆるく頭を振り、気持ちを切り替えて整理していく。]
残る鬼は1人。
…で、僕の目線からだと、小鳥遊先生とシンヤのどっちかまで絞れたわけか。
鬼は、誰かの処刑が決まった時に、他の誰かを殺してた。
それは鬼を処刑し切るまで続いて行くんだと思う。
だったら―――
僕を含む3人を、疑わしいところから順に処刑していけば、確実に鬼を殺せるんじゃ…?
でも、出来るだけ犠牲を出さないように、最短で鬼を処刑したいところだけどね。
僕は今、シンヤの行動が気になってるよ。
先に占いが出来ると名乗ったのは、本物を出すためだったって言ってたけど、あの時は意見がまばらで纏まってなかった。
業を煮やした鬼が先んじた可能性もあるかもしれないかな、って。
んー、投票が行われる前にも話してたけど、須藤先生と小鳥遊先生が繋がってたようには思ってなくてさ。
成瀬さんが鬼じゃなかった事からも、きっと須藤先生は、先に意見を出していた三枝さんと小鳥遊先生の、成瀬さんへの疑いに意見を乗せて来たんじゃないかな?
シンヤは何も語ってくれないから、須藤先生との繋がりは見えなかった。
占われてない僕らを疑い合わせるのが目的だったら、あの振舞いは成功してたように思う。
[鬼を追い詰める事は出来ているはずなのだ。もう少し考えてみようと、須藤の残したボイスレコーダーに触れた**]
そういえば…三枝さん。
[レコーダーを聞き直し、三枝を見る]
アイツが鬼の場合、偽者だって宣言はしない方が良かったと思うって言ってたよな?
まぁ、今となってはねーけど、小鳥遊センセーとアイツが両方鬼の場合は言わないだろうってのはわかるんだけど…
俺は、どっちにしても言わないほうがよかったんじゃねーの?って思うけど、言うんなら、鬼のほうが利点あるんじゃね?って思ってて。
ほら。そんなことするのは鬼じゃなく補佐?じゃねーかって思わせるとかさ。
んでも、三枝さんは、補佐?のほうが言いそうだって思うんだよな?
俺には考えつかねー理由がありそうだから、どうしてだか教えてくんねーか?
[いつの間にか眠り込んでいたのか、目元を擦って身を起こす。
長澤の問いかけに気付いて、ほつれた髪の毛をほぐしながら口を開いた]
うん。 弓槻くんが鬼でも補佐者でも、拙い一手であったことは間違いないと思うよ。
ただ、弓槻くんが本物である可能性を残しておいた方が、まだ弓槻くん自身の生存率が上がるから。
加えて、私が鬼……いいえ、黄泉還りと呼んだ方がいいのかな……である、可能性も残せる。
だから、まだ補佐者の可能性の方が高いかなって思ったの。
弓槻くんが偽者だって確実に分かっちゃったら、前回の投票で仲間が処刑を免れても、次の回で十中八九自分が死んじゃうでしょう。
補佐者かもって思わせて放置されることを狙うにしても、有耶無耶にしていた方が、まだその可能性は高かったんじゃない?
[指先に毛先を絡めて、考え込みながら言葉を紡ぐ]
……ただね、須藤先生が黄泉還りだってはっきり分かって、梨羽ちゃんが潔白だって知って、櫻木さんが襲われたのを見て。
弓槻くんが鬼の可能性も、なくはないのかなって考えているところ。
[テープレコーダーを巻き戻す。 流し聞きながら、手帳を開いた]
あのね、さっきの投票の前、須藤先生が最初に自分と梨羽ちゃんと寺崎くんの中から処刑先と調査先を選ぼうって言い出したでしょう?
あれって、黄泉還りを見つけるために最善の方法を提案するっていうアピールだったと思うのだけど、本当に採用されると、自分が死ぬ可能性が高くなっちゃう。
[新たなページに、現在黄泉還りの可能性のある三名の名前を書き込んでいき]
……だからこそアピールに成り得るとはいえ、寺崎くんが仲間の場合は高確率で二人ともが捕まるから、ここが仲間同士である可能性はやっぱり低いと思うんだ。
弓槻くんに鬼じゃないって言われて、一旦は安全な位置に移動した小鳥遊先生が仲間であった可能性はそれなりにあると思う。
弓槻くんが鬼の場合は、彼の偽COが須藤先生の処刑先提案を中和するためのものだった……のかな。
[カチ、とシャーペンの頭をノックする]
長期的な視点で考えれば、私まで容疑者に含めておくために、弓槻くんは偽COしない方が良かった。
小鳥遊先生を再び処刑や調査の対象に含めることで、目先の処刑や調査から須藤先生を逃がす余地を増やすことは出来た……のかもしれないけれど。
……以降の美空くんの調査結果は全て真実であると皆に明らかになるので、やっぱり上手い手ではないね。
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