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[早朝、ニルスが降りてくる前に居間へと下りていた。
年寄りゆえの朝の早さだ。
ゆり椅子に座って、おきてきた人がやってくるのを静かに見ていた。
挨拶は掛けられれば応じ。
そして、ニルスたちの間で交わされる話をただ聞いていた]
[差し出された果物を受け取って、
……受け取って]
ありがと……じゃなくて、ユノラフさん、
[見極める方なのかと、イェンニが問う言葉に、それ以上は途切れる。
複雑な様子で、彼を見て、それから投げ渡されたニルスを見て]
…………。
僕も見てみたい、です。
[思うところは何かあったようだが、そっと言葉を飲み込んで、そんな風に願ってみたのだった]
あー、そうか。
すまんすまん。
[苦笑いしながら謝れば、返される首飾りをそのままレイヨに渡した。]
ニルスの言う通り見えんかもだが。
ほれ。
それもですけど、聞いた通りなら闇夜じゃなきゃ見えないんじゃ。
[太陽の昇る今、見てもだめなんじゃ、と、首を捻る。
渡されたそれをかざしてみたりながめたりしてから、ユノラフへと返した]
ありがとうございます。
普通のみたい、でも、もし本当なら不思議です。
ためしに、誰か見てみるんですか? 夜。
お母様の…。
――それは
長老様はご存じだったのでしょうか。
[知って居て、閉じ込めたのだろうかと。
ユノラフの言葉を聞きながら視線は石へ
一族だけが使い得るのであろうそれを見遣る。
レイヨの問いにユノラフへと視線を戻した]
[レイヨから返されながら聞かれれば]
そうさなあ…。
ぶっちゃけ俺は信じて無いんだが。
この際だから誰かを夜見てみても構わんよ。
と言っても、ここの屋敷に何人集まっているんだ?
まずそっから確認だよな。
んで、誰か見ろってリクエストあるんなら受け付けるけど。
[集まってる人物をその場に居る者に聞き、誰かを見ろと要望があれば聞き入れようとする。]
[イェンニと視線が合えば、ゆるりと笑みを返す。
見破れる者だというのに無防備なユノラフに、はてさて、と首をかしげてあごひげを撫でる]
あちこちがたはきておるが、だからといって助けが必要なほどではないぞ。
マティアスやウルスラのほうが、よほど手を必要としておるだろうて。
[親切な申し出にはわらいながらかえした。]
別に誰を見ても……とは思うけど。
僕を見ても良いですよ。
[軽くそう言って、首を傾げる]
ためしに、なら。
人間見たらどうなるとか、ユノラフさんは、聞いていますか?
[問いかけつつ、集まった人数についてはかぞえていないからわからないと首を振った。
ヴァルテリに世話を焼く様子に、なんとなく微笑ましいと小さく笑う]
─ 夜 ─
[イェンニと暫く添い、妹と共にあるという彼女に頷いて、
彼女らとすぐ隣の空室に部屋を定めた。
眠ることなど出来ないと、そう思われたのに、]
(… ここは…、)
[闇にふわりと意識が浮遊する。
ああ、いつもの夢だ。
夢の中の女は、不自由なく歩くことが出来る。
けれどもこの夢はどこか、いつも哀しい。
それはこの夢が───…]
( ああ、見たくないのに )
[夢は途切れ、意識は再び闇に沈んだ]
[女が部屋から出たのは、イェンニよりも遅く。
目覚めても少しの間、動く気になれなかった。
荷物の中から、祭り用の飾り布を取り出してみる。
祭りの華やかさを纏いつつある飾り布。
刺繍の続きをしようと手にとって───諦めた。
息を落とすと、杖を手に階下へ赴く。
今の扉を開けば、ちょうどニルスの語る声が聞こえた>>49
話の邪魔にならぬよう極力静かに、居間へ滑り込む]
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