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[水面は揺れ、元通りの光景を映し出した。
けれど目を見開いたまま、暫くの間は動けずにいて]
あれ、
[不意に違和感を感じて、ポケットの中を探る。
そこにあるのは音楽プレイヤーと、携帯電話と]
これって、たしか。
[小さな小さな、ワスレモノの欠片**]
学生 バクは、予告もなく連投終了。[栞]
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とりあえず色々暈してるけど現実に戻る準備はできた。
というかちゃっかり具体物手に入れてるけど問題ないかな、と思いつつ勢いで書いてしまいました。
(ここ、は。)
[波の音、潮の匂い。
賑やかな笑い声。]
『こんなちっちぇーのがこわいなんてへんなの!ほらほら!』
『うわああん、たけにぃのバカー!』
『こら、タケ!おまえまたキクコいじめてんのか。』
『なんだよマツ兄!いっつもキクコのみかたばっかして!』
[あぁ、これは覚えてる。
毎年恒例だった潮干狩りの時だ。
フナムシを押し付けられそうになって、大泣きして。
兄二人が言い合いをし始めた隙にこの場から逃げだしたんだ。
走って、走って。
後ろから、お父さんとお母さんの慌てた声が聞こえたけど、止まらずに走って。]
『きゃあっ』
[どしん、前にいた人にぶつかった。
尻餅をついて、痛みにまた涙が出て。
それから。]
(…あ、れ。)
[この後何があったのか、思い出せない。
今の私の記憶にない出来事が、目の前にある。
小さな私がぶつかった人が差し伸べてくれた手。
その手につかまって、立ち上がって。
ぱたぱたとスカートをはたいて、お礼を言おうと見上げた人は私の顔を見て驚いて、そして問われた。]
『…君のお母さんの名前は、何て言うのかな?』
『お母さんの?』
…だ、め。
[答えちゃダメだ。
そう思ったけれど、止められる訳がない。
小さな私は、お母さんの名前をその人に言った。
そして、後ろから、浜から離れた私を探すお母さん達の声が、聴こえて。]
『やっと、見つけた。』
『菊子!』
[ぐい、と。
その人に腕を引っ張られる。
急にそんなことをされたから、私は怖くて泣き出して。
お母さんは、私の腕を掴んでいるその人の顔を見て、固まった。]
『菊子を放して下さい。』
『勝手なことを言わないで。私を勘当したのはあの人でしょう。
今更、父親面されたって。』
[お母さんが見たことないような怖い顔をして、話している。
私を捕まえている人も、怖い顔をしている。
怖い、怖い、怖い。お母さん、助けて。
そうだ、この時そう、思ってた。
いつのまにか、お父さんも、この場に来ていて。
お父さんも加わっての、話し合いになった。]
『……時間を、くれませんか。
この先10年、俺が一人で子供たちを育てます。
10年後の俺と子供たちを評価した上で、こいつを取り上げるかどうか、決めて下さい。』
[お父さんの言葉に、私を捕まえている人が頷く。
お母さんは、すごく悲しそうな顔でお父さんと私を見た。
お父さんとお母さん、二人の声は急に切れ切れにしか聞こえなくなって。
『離れたくない』『お父さんが病気で』『側に』
断片的に聴こえる声、二人の表情。
徐々に俯き、悲しげな顔をするお母さんが、お父さんの言葉に頷いて。
小さな私の手は離されて、お父さんの元に。
お母さんは、私をぎゅっと抱きしめて、そして。]
…っ、いかないで!
お母さん、いかないで!いっちゃやだ!!
[小さな私と、同じ言葉を叫んだ。]
[お父さんの手に引かれて、その場を離れさせられた。
お母さんは振り向いてくれない。
お父さんはすごく強い力で、ぐいぐい引っ張って。
ずっと待ってたお兄ちゃん達に、お母さんは帰ってこないって説明した。
お兄ちゃん達も、泣いて。
でも、わかったって、返事をしてた。
それも、小さな私には、ショックだった。]
[視線がぶつかる。
その表情に微笑を認めれば、遠慮がちに見上げた顔がほっとしたように解けた。]
あったんですね、ここに。
…良かった。溜息が聞こえたから、心配しちゃった。
ふふ、そうですね。
[軽口を聞いて、胸に漸く安堵が降りる。
他の行き先はと問われ、逡巡するよう握った手を顎に当てた後、口を開いた。]
ありがとう。
……ひとつだけ、行きたい場所があるんです。
付き合ってくれますか?
お言葉に甘えて、もう少しだけ。
[微笑んで、合わせた目はゆっくりと窓の外に向く。
薄い潮の香りが漂う方角。
視線の先は、海を示していた。]
『おとーさんもまつにぃもたけにぃも。
どーしておかーさんがいっちゃったのをしかたないっていうの?
どうしておかーさんはあのおじさんといっちゃったの?
わたしがあのおじさんにぶつかったから?
わたしがみつかったから?
そうだ。
わたしがおかーさんのナマエ、おしえたから。
わたしのせいで、おかーさんがいなくなっちゃった。
わたしの、せいで。』
[ぱきん。
頭の中で、何かが割れた音がして。
そうだ、そのまま、私は気を、失って。
目を覚ました時には、お母さんを、忘れていたんだ。]
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は、アンカー貼る前にうっかり箱の電源落としてしまった。
まあいいや明日だ。
そんなわけで布団鳩です。
ヂグおじさんとここでもすれ違ってしまった(ノд`)おやすみなさい。
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