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さて、と。
僕も、そろそろ帰るよ。
君達も、遅くならないよう。
黄昏時は逢魔ヶ時。
夜は人ならざるものの時と言うから。
[窓の外の風景を見やりながら、ナオは、縁を押し上げて、ずれた眼鏡を直します。陽は空を廻って、やがては地平線の彼方へと沈んでゆくでしょう。]
それでは、ね。
[後輩達へと片手を上げて挨拶をすると、変わらず薄紅色の唇に弧を描いたまま、*教室を出て行きました。*
クルミの姿を見かけても、敢えて声をかけることはなく。]
自分たちが女の子ってこと判ってんのか。あいつら。
手紙とかアンとか関係なくあぶねーっつの。
……俺がのろのろしてんのか。
[お爺ちゃんのように愚痴って、自分の鞄を抱えなおし、今後どうするにしても、とりあえず*教室を出た*]
[不意に自分を支配した感情に戸惑う。]
なんだ。なんだ。厄介だな。
このコハルってやつしぶといぞ。
オイ!今更じたばたしてんじゃあねーよ。
じょおずぅーにかくれんぼしとくのが肝心なんだから。
邪魔すんな。
コハルちゃんも送ってくよ。
コウイチが二階堂探すならオレも手伝うし。
とりあえず、真っ暗になる前に一旦帰ろーぜ。
おかーさんが心配しちゃうよん。
[軽い調子で付け足して。コハルがうなずけば、教室を後にする*だろう*]
[学校に着くとすでに正門は閉じられていた。40cm四方の紙包みを手にした...は灯りの消えた校舎を見上げて]
さすがに遅すぎたか。
誰も居ないだろうな、さすがに。
[踵を返すと繁華街に足を向けた。歩きながら、かさり、と紙包みを開くと中身は数枚のレコード]
ふふ、毅さん、驚くぞ。
[赤い夕陽が校舎をそめてぇ♪足取りは*軽かった*]
んじゃーなー。
こっちも、近所探しとくわー。
[こはるを送り、耕一と別れる。ぶんぶんと手を振って後ろ姿を見送ると、傘を広げて肩にかけた。ほどなく一粒の水滴がぽつりと落ちてくる。]
ひとりになった途端これだかんなー…。
[ついと目を細めて、薄暗くなった空を見上げる]
へーんなの。
[口の中で刻んだ言葉は、雨音に*消えた*]
[初日、学校帰り。
アンの家の玄関先で立ち尽くしていた。
結局、呼び鈴を押すことは出来ず]
気味が悪い……。
[風に揺れる木々の音が、不安を煽る。
夜道を歩くスピードは早くなり、小石に躓きながら小走りに家路を辿った]
[どうにも落ち着かなくて、家の外へ出てみる。地面は乾いているのにどこからか微かに雨の匂いがする。雨は好きだった。なんとなく安心する。少なくとも夏の気が狂いそうな日差しよりは。]
アンちゃんか……。
[確か、彼女の家はこっちの方だったな……。記憶を頼りに足を向けてみる。]
[夜の風が雨の匂いと湿った空気を運んでくる。昼間の太陽の下奪われていた力が、ふつふつと満ちてくる。]
あははははぁー。
ようやく調子が出て来たなぁあー。
昼間は暑くていけないぜぇ。
さあて。
夜遅くまで悪さしてる子は誰かなぁー。
くくく。
[少しずつ深まっていく夜闇の中へそっと思念を広げていく。]
[コハルの声が聞こえると、へなへなと座り込んだ。
鞄を握り締める手の力は依然として抜けない]
コハル〜……。
びっくりさせないでよ。もう、やだなぁ。
アン、帰ってきてたりしないかなと思って。
でも、家ん中、すごい静かだった。
[謝罪の言葉には、大丈夫、と首を振る]
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