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[降りようと声を掛けたはずが、
なぜアルマウェルの膝の上に!?>>98]
石灰が付くじゃないか!
はなせよっ!
[動揺してじたばた。顔が赤い]
>>99
お、降りるよっ!
[ヴァルテリの声に、周囲を見回し、ちょっとだけ涙目。
ここから人里まで歩くのにどのくらい掛かるかはあんまり想像したくない]
だから。離して。
[アルマウェルをじっと見た]
[>>101 アルマウェルの言葉に、ぽかんとし、数秒後大きな叫び声を上げた]
Σえ!? それはどういう意味で……えぇぇぇぇえええ!?
いやいやいや、僕ものじゃないし!?
弟でもないよ!
[赤い顔で必死に否定している]
意味がわからない、さっきはいらないって言ってたくせに!
>>104
どこの国のお約束だ!
ムハラビ法典か! 違うだろう!
[見つめ返されれば、黙り込み]
ごはん食べさせてくれるなら……。
[袖口をぎゅっと握るとうつむいた]
―一月ほど経って・ヴァルテリ、エンディング―
[南仏、プロヴァンス。
初夏の日差しが、青々と若葉を繁らす葡萄畑に差し掛かっている。
その葡萄畑の向こう側。
ヴァール川の川岸に佇む小さなシャトーも、きらきらと水面を写し輝いている。
その光景は、およそ30年ほど前のパリを知る者なら、ふと既視感に囚われることだろう。
つまりそのシャトーは、かつてセーヌ川沿いに建っていた、王家の末裔が暮らしていた物と瓜二つに作られているのだ。
そしてその一室。
かつて一人の少女が、キャンバスを覗き込み、佇んでいたのとまるでそっくりな部屋で。
一人の男が、一枚の絵をためつすがめつ検分している。]
[その絵に描かれているのは、前代のロシア皇帝、「アレクサンドルV世」の肖像。
しかし皇帝の左目部分は、無残にも黒く穴が穿たれ、絵を手にしている人物の瞳がそのままそこから覗く。
―つまり、傍目に皇帝が、ぎょろりと片目を動かす風にも見えるのだ。]
ふむ。
マダムの銃弾が包みに当った時は肝を冷やしたものだったが…。
この絵なら、まあ特に修復の必要は無いか。
[誰に話すともなく呟くその人物は、薄い色の真っ直ぐな金髪に、同じ色の口髭を生やし、青い目をした初老の紳士。
その傍らの卓には、もしゃもしゃとした髭のような物体と、同じく白い縮れ毛のウィッグ。
薬品を満たしたガラス瓶には、特製の茶色い樹脂―今で言うカラーコンタクトレンズが浮かんでいる。
そして彼の足元には、ずらりと十余枚の、ダ・ヴィンチからマネ、モネ、ゴッホ…いずれ劣らぬ名画が並ぶ。
しかし―]
あれほどの大立ち回りを演じてしまった以上、「ヴァルテリ・シャルブネ」には消えてもらわなくてはならんだろう。
しかも大騒ぎの挙句、結局、おまえはエカテリーナ号には乗っていなかったのだな。
[寂しげに"La Maestro"と呼ばれる男は呟く。
そして繊細な細工部分に赤い絵の具が入り込んでしまっている懐中時計を取り出し、かちりと開く。
そこに現れたのは、愛らしい真っ直ぐな髪の少女の、少しぼやけた写真。
少女の写真に、そのまま哀しげな視線を移す。
―がその時、写真の上にかかるガラスが、光にきらりと反射して、一瞬少女が微笑んだ風に見えた。]
おお?
[それを見て、男は少し表情を変える。
直後、得心した、という風にふと頬を弛ませ、彼は懐中時計に語りかける。]
は―はは、そうか。
ああ、解った、解ったよアンリエッタ。
つまりお前は、私はまだ隠居するには早いと、そう言うんだな?
はははは…!そうか、うむ、そうだな…!
(思えば、不確かな噂を頼りに、遥かロシアの横断鉄道に乗り込むなどと、気違い沙汰だ。
そう言うなら、私の人生、焼け落ちたシャトーに背を向けた時から、何かが狂っていたのに違いない。
―いや、もしかすると、もっと前から…。)
これからも、旅は続く。
冒険は続く―か。
[いずれ"La Maestro"は、再びパリへと戻ることだろう。
その頃には「ヴァルテリ・シャルブネ」の画廊は、新たな経営者へと引き継がれ、真っ当な物からそうでない物まで、密かに広く画業に携わり続ける事に違いない。
そして同じ頃、「絵画は決して狙わない、二人組みの怪盗」によりパリの街は混乱に陥れられる事になるのであるが―、またそれは少し後の話。]
Attendre et espérer ! (待て、しかして希望せよ!)
[列車から。
―ロシアからフランスへ、画商に付いてやって来た少女が、ロシア風の紅茶を淹れてやって来た時。
ある小説の、有名な締めくくりを諳んじながら、"La Maestro"は、―王家の末裔は、楽しげにシャンソンのようにも聞こえる鼻歌を歌っているのだった。]**
>>112
こっここっこここういうこと!?
[わたふたしたが、アルマウェルの笑顔を見て、少しだけ落ち着いて]
たぶん……どれも僕なんだろう。
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