情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
>>116
[老婆は頬を緩ませた。
孫のような年齢の子供に囲まれて午後の一瞬を過ごすことに、幸福を見出して。けれど、人形を抱える腕に力がこもる、彼女は知っていた。老婆は、彼らにとっての“家族”ではない。
孝治の言葉に悪戯気に口端を持ち上げる。円らな瞳は半ばほど閉じられた。後藤の内心を察するほどの鋭さが、老婆には圧倒的に足りなかった。後藤も、羊の子も、圧倒的に若く――そして、老婆にとっては孫ほどの、年齢だったから。]
なァにを言ってるのさ。
女の子ってェのはね、細やかな男に弱いんだよう。
さっき服のことにぱっと気づいてた孝治くんはァ、
女の子に見初められる才能があるってェのさ。
顔もカッコいいし、将来引っ張りだこだよう、ねえ嬢ちゃん。
婆ちゃんが太鼓判押しちまう。
……おや。バレーに興味があったのかい?
[「また」など、「明日」など、訪れはしない。訪れてはならない。そう考えながらも声にはせず、男はユウキの姿を見送った]
[そして、窓枠に、両の手をかけた。ぐらつく体に、窓の縁に一旦肩を預ける。窓の外に広がる空を仰ぐ。先よりも橙を増した空は、綺麗だった。何処までも何処までも、綺麗だった]
少し前の話
>>117>>
[ぽーちゃん、と紹介された羊に老婆は軽く頭を下げて見せ、
それから次いだ好奇心をそのまま嵌め込んだような目に、んふふ、と笑った。
もったいぶったように背もたれに背を預け>>101話題の転換をさしはさみつつも
さてどういったように話してみようか と言うことが老婆の内心を占め
かつ、そのことが彼女の心を浮きだたせていたのは傍目にも明確なほどだった。
けれどその話も、彼女の>>103ちょっとした言い間違いの中に霧消してしまった。そうして田中老人は心躍らせていたことをするりと飲み込んでしまって、
今の話をに――主に、孝治がモテるだろうという話に――夢中になっていた。]
>>123
[見初められる才能が、と言われて内心までは悟られてないことに一瞬安堵すると同時に、その言葉に頬を少し赤らめる]
...そんなことないですって。
細やかというよりお節介なんだろうし...。
千夏乃のような人なら、僕も歓迎だと思うけれど。
[少しテンパってはいたもののそんなことを言える程度に余裕はまだあったようだ。
自分の本心には蓋をして。
自分の想いにも蓋をしても。
でも、
自分の願いには蓋をせずにいたいと、そんなことを思いながら。]
いや...そんなことはないけど。
ルールとかはまだ知っているような競技で良かったな、なんて思って。
夜
[今日初めての夕飯を食堂で堪能して、病室に戻る。時計のことが気にかかったが、もう消灯時間まであまり間がない。迷惑だろうと、柏木を訪問するのは明日に回すことにした]
少し、怖いけど……悪い人じゃないよね
[新しいパックに変わった点滴の管をどけながら、看護師によってか、閉じられたカーテンを開いた。
きっと直るはず。直してくれるはず。誰のものかわからないけれど、きっと――]
[――ぐしゃり。
穏やかならざる音が響く]
[かつて落ちた時と違い、痛みを感じた。今度は失敗ではない故なのだろうと、考えた]
[地面に仰向けた男の右腕は左足と共にあらぬ方向に曲がっていた。落ちていた瓦礫の上にあたった左の脇腹は、その先端に抉られ貫かれていた。何より、男の頭は、割れていた]
[傍らに落ちた帽子の濃緑を、首に巻き付いたままのマフラーの薄緑を、地面を、鮮やかな赤が染めていく。広がった黒い髪、そのちらほらと混じった白い部分も、赤く染められ]
――……、
[サングラスはブリッジで二つに割れながら少し離れた場所に飛んだ。切れ長の、黒い瞳が、無彩な代わりに全ての色彩を歪みなく映し出す瞳が、空を、鮮やかな空を、虚ろに見据える。男は薄く唇を開き]
…… ああ。
綺麗、 だ。 ……
[ぽつりと、掠れた声で、満足げに、呟いて。やはり満足げに、男は笑った。
そして、男は目を閉じた。
最後に鮮やかな色を残して。最後に鮮やかな色を見て。色彩の夢に、*沈んでいった*]
[彼女は歌う。
朝も無く、夜も無く。
中庭で、屋上で、談話室で、誰かの病室で。
生前と変わる事無く。
誰に届く事が無くとも、ただひたすらに。
その姿はまるで、まるで神に祈りを捧げるが如く。]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了