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ルリはすでに繋がっている。
ルリとテンマ。
結びついている。
世界とは、繋がらない。
…世界に、還りはしない。
そこに意識があるのだから。
体があるかないか。それだけの違い。
[ゆらり 亡霊は墓碑へ寄りかかって、ライデンの歌を聴く。
Requiem――
生者が死者のたましいを慰める。
生者が死者を思い自らを慰める。
聴く者は、然し其処へ違いを見出さない。探さない。
…ただ、繋いだ縁のかたちに感謝を。]
――…。またお会いしましょう。
[己の言は叶うといい。彼の言は叶わぬといい。
これはレンの言う「望み」だろうかと思いつつ、
墓碑を離れゆくライデンの背を長く見送った。]
[ こつ こつ …ふわり ルリにしか聴こえない音。
足りない眠りにか、頑なに地へ降ろしていた靴先が浮く。
揺らぎは青い花弁に伝わってミナツの意識を引いたようか。
『そういえば……その、テンマさんって
死ぬ前のこととか、覚えてるのかな?』
亡霊は、そう尋ねていた彼女の胸に蒼褪めた手を伸べて]
忘れたくは、なかったですからね…
[音もなく 差し伸べた腕はミナツの背へとすり抜ける。
ああ、おいしそうなのにとそんなことを思い少し笑った。]
―自室―
[横たわるコールドスリープ用カプセル。こつり、失人はそれを蹴る。カプセル以外には何もないその部屋で、自分を呼ぶ何かを探していた。こつり、こつり、カプセルを蹴る。しばらく続けると、何かをしまう部分がある事を知る。自分が眠っていた時の、枕の位置。その真下にあったそれを引き出して、中に入っていた物を出してみる。入っていたのは、アルバムと、一枚の紙。それには文字が書いてあり。]
Don't forget
[もちろん、彼には文字など読めない。それでも]
……何か、大切な言葉だった気がする*
箱入り娘 プレーチェは、ここまで読んだつもりになった。[栞]
…死?
[聞こえてきた言葉を、ぽつりとつぶやき返す。]
ここは、安らかに眠るための場所?
…目覚める事の無い、眠り…
[空を見上げる]
確かに、快適そうだ。
[…ふ、と小さく微笑む。]
テンマは、影みたいです。
眠ったひとは…こんなふうになるですか。
[ついでレンへ視線を移した]
見えるもの、聞こえるものがあるかないかの、ちがい…。
眠ると…
レンたちに声が、とどかなくなるですか?
それ、は――
[瞳が見開かれる]
[誰にともなく尋ねたのは――こんな事だった]
[つと俯く。
前髪が表情を隠した]
いえ…。
テンマは。眠れるひと、ではない。
少しずつしか眠れない、彷徨うひと、なんですね。
[ポケットの鍵に触れる。
鍵穴は…ここなのだろうか。
瞬間。恐れたみたいに、一二歩後ずさる足のわけが、ルリ自身でもわからない。
かわいた白を、握りしめる]
[やがてライデンの後を追うようにして墓碑を去った*]
-2階-
[つと窓から外を見る
墓碑群に人が集まっているのが見えた]
儀式みたいね。
[複雑な機構のカメラを構え
ファインダーを覗き
慣れたしぐさでシャッターを押す]
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