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ミナツ……?
さっきディスプレイに無かった名前よね……?
どっから出てきたのかしら。
ダーリン、私の脳に何か送り込んだ?
[真顔で首を傾げる]
じゃあ……[失人 バク]?
[慎重に名前を上げる]
[ふわり、失人は飛び降りる。世界をみて回る為に。行き先など決まっていないけど。それでも、新しい何かと出会いたいから]
行くぞ、カナメ。俺の夢を探しに。
[見えぬ何かに声をかければ、それはついてくるだろうか?]
ひーい、ふーう、みーい、よーお、
いーつ、むーう、なーな やー――
[ブランケットをまとい子供は、
危うい足取りで階段を数えつつ踏んで、上へ着けば更に進む。
階下のとは少し趣を違えた扉。
そこに掛かっていたプレート、記されたその文字も読まずに、入った。施錠などはされていない]
これはなんですか、カナメ。
[なかの広さはそれなりか。
色とりどりに明滅し始めた壁の一部へ寄って触れる。
すると立体映像が、室の中央に結ばれた]
―墓碑群―
[そこは、先ほどまでとは違う世界だった。ここの空気は、冷たく痛い。悲しみの中に、浸かったような感覚。]
あぁ、この場所は涙の色をしている。
[ぽつり、呟いて。近くの扉に寄りかかって、ぼぅっと、この世界を眺める事にした。悲しみの色を覚える為に。]
[高い建物の群れ、電飾、その上に飛行船。
そして大勢の人間たち。
街の俯瞰か、さながら精巧なジオラマのように]
これはなんですか、カナメ。
[耳を傾けるルリ]
…キロク?
むかしの、映像ですか。
このひとたちもいまここに? あえますか?
[これが実体のない虚像である事はわかった。
人差し指が人々を指すと、像がかき消える。
カナメの声は聞き取れないほど遠ざかり]
[しばし佇んだ後、少女の興味は移る。
またその壁へ手が触れると、
別の映像が現れ次々と切り替わる。
操作方法などわからない、
映されるものをただ見るだけだった。
夢中になるうち、
ブランケットが足元へ滑り落ちて*]
ん? 何か……良い匂いがするな。
この匂いは……カレーかね?
[ふと漂ってきた匂いに、一旦止まって辺りを見回し。匂いのする方へと歩いていっては、一つの扉の前で立ち止まる。
こん、こん、と二度ノックをしてから扉を開け]
[身長と同じくらいの高さの出入口。頭をぶつけないよう、慎重に中に入り]
やあ、今日は、お嬢さんがた。
美味しそうな匂いがしたものでね。
余っていれば少し貰ってもいいかな?
[室内の面々を見てから問い]
と……失礼、挨拶が遅れたが。
私はライデンという者だ。
[初めて見る顔には名乗り、宜しく頼もう、と挨拶する。
胸の下辺りに腕を横にあて、丁寧に*一礼を*]
うん、覚えた。この世界は、藍色だ。
[ぽつり、ぽつり。一人で呟いて。]
次は何処へ行こうか。
新しい世界を、見に行きたい。
[寄りかかっていた扉から離れ、また歩き出して。]
[ こつ こつ こつ 螺旋階段を昇る靴音は、硬い。]
[2階の通路に出ると、吹抜けから階下を見下ろせる。
ビオトープ…美しく均整の取れた箱庭が其処にあった。]
禁じられた進化――――
…付き合わされて、気の毒と言うべきでしょうかね?
[呟きには困惑が滲む。
メタセコイアの枝間を駆け抜ける影は、リスか小猿か。]
[ライデンから得られた答えは別の形をした疑問だったが、
眠たげな眼をした存在はそれなりに感銘を受けたらしく…
推し量るのは苦手と言う彼へ、ゆるりと被りを振った。]
素直で謙虚な方は、
慎重でもおありだと思いますよ…ライデン。
[ささやかに呼び名を改めて、気怠げな歩を石畳へ乗せた。]
…ああ。
「今、ひとりの時間だ」とお感じのときは…
何か合図でもいただけるとよいのですがね。
無理でしょうかね。
否、ご機嫌よう…
[別れ際の台詞は、戯言にしても*他愛無さすぎて*]
――――カナメさんに宜しく。
―― 回想 終了 ――
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