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マタギが森や山に入るのは当たり前のことだ。
それを人狼の容疑とは恐れ入る。
「自警団の奴ら、まるでわかっちゃいねえし」
大体、だ。人狼が本当だとすれば、容疑者を一所に集めようが被害が収まる訳がない。毎日容疑者を一人ずつ……などと、この中に人狼がいるというのなら、今、この時に全て殺すのが村を守る上では――
「そう、正しい」
バクは、ため息をつく。
―― 食堂 ――
自警団も、どういうつもりなんでしょうね。
[一汁三菜を並べた食卓の横で、割烹着のポケットから取り出した手紙を開き中身を*確認する*]
冷めないうちに、どうぞ。
お代わりもありますから。
お部屋も用意しておきますね。
−玄関口−
わたくし、天ぷらがいいですわ。
[何食わぬ笑顔でゲッカの背後に姿を見せれば、囁くように夕食の献立を主張した。居並ぶ男衆には、深々とお辞儀をする。]
チカノと申します。どうか、お見知りおきを。
それで。どちらがあやかしさま?それとも、皆様そうなのかしら?
[小首を傾げ、いつもの笑顔にも少し困ったような表情を混じらせている。そうして少女は、まるで若女将が天ぷらを作るのを見届けるかのように、その後を追いかけて行った。**]
「まあ、そう言う意味では自警団は優しかったっていうわけか」
彼らがどんな思いで容疑者をこの場に集め、逃げ出すアンの後ろ姿にどんな言葉を漏らしたのか、バクは知らない。
「だからって、ぶん殴るのは止めないけどな」
ぱし、と拳と掌を打ち合わせる。
それこそ生きてここを出られたらの話だが、と、頭をよぎった言葉は口にしないまま。
―― 食堂 ――
[羨望を懐く化粧師との挨拶もそこそこ、夕飯の配膳などを姉と共に行いつつ]
お姉ちゃま…もしかして、お姉ちゃま、も?
[出迎えるために入り口に佇んでいた姉の言葉を思い出し、*問いかける*]
と、いう事はンガムラさんや、ゼンジお兄ちゃま…も?
あら、ざんねん。
どんな殿方かしらと思ってましたのに。
[笑い声に、いたずらっぽい響きが混じる。
後を追うように廊下を歩きながら、その着物に手を触れて、
少し驚いたように、囁いた。]
とんだ災難ですわ。
わたくし、人の世を見ていたいだけですのに…。
[言葉とは裏腹な、興奮したような、熱っぽさを帯びた囁き。**]
宿屋の若女将 江夏 ゲッカは、ここまで読んだ。[栞]
─ 宿・食堂 ─
お邪魔いたします。
[自分の場所を確保すると、ほっと一息つく。]
……しかしまた……
[集められたらしき人々の顔ぶれが何とも様々である。**]
― 食堂 ―
あやかしもユーレイもあらしまへん。
大正のこの世に、阿呆らしい。
[わらびの天婦羅に箸を伸ばし、言い捨てるように。
母の病死とともに村を飛び出した理由のひとつは、旧態依然とした因習を厭ってのことだった。]
ああ、僕は栂村 兼雄(ンガムラ カネオ)。
この村は十年ぶりやね、西のほうで化粧品を扱ったり女のひとらの化粧をする仕事をしとります。
そやけど。
自警団の言わはった通り人死にがあったんなら……、
[下手人はどこかに居るのかも。途中で声を低めた。
江夏姉妹にテント少女を気遣い、口を閉じる。
たっぷりの天つゆに浸した天婦羅にかじりついた。]
せや、ユーレイなんて……、あらしまへん。
[からりと揚がった天婦羅を噛みながら、己に言い聞かせるように独りごちた。
全部、気のせいだ。
被害者が死んだ頃から、耳鳴りが続いているのも。
「人狼」と繰り返す怨嗟の声に聞こえるのも。
普通でない家の子だと言われたことがあるのも。
花柳界にも関わる以上、験を担ぐことは少なくない。
目に見えぬ力がたしかに「ある」ことは解っていた。
それでも。]
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ツキハナちゃんにも反応したい、が……喉が致命的に少ない!
十年前に村を出たっきりで憧れられるなんて光栄すぎるものの、何があったんやろねぇ、とぼちぼち考えつつ。
・十年前に妹のように可愛がってた
・村に帰ってきてから化粧してあげたりした(本編でやりたいけどどう考えても無理)
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