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[自分の呟きが、木霊して帰ってきたのか。
いや、にしても声が若いか。
首を傾げながら顔をあげると、人影があった。
聞かれたか?
ああ、聞かれたろうね。
だから、木霊したのだものね。
苦笑いを浮かべながら、小さく手を振った。]
やぁ、どうした
君もジュースを飲みに来たのかい?
[誤魔化す手段が思い浮かばなかった。]
[苦笑いついでに、辺りを見回す。
丁度こちらに近づいて来る老女の姿があり。
若者は、彼女が下げる頭に合わせてお辞儀をする。]
いえ、その後お加減はいかがですか
[お世話になっております。
お加減はいかがですか。
いつでも、どの患者とでも、行われるやりとり。
彼女と自分とは、孫ほど歳が違うと言うのに。
それでも、先生なのだろうか。]
ぼけてるように、ですか?
一般にいう、ボケ、と言う奴はですね
言ってみれば、人より多くの時間眠っているような物なのですよ
子供が寝ぼけて、枕を抱いて歩き回る
それと同じような状態なんです
ですから、意識がはっきりしている間はなんの変りもありません
医者にかかる時のように、ある程度緊張を伴う場では見られないのですよ
[子供特有の好奇心の詰まったような輝く瞳で見つめ上げた後、首を左右に振り。
二つに結った髪の毛が動きにあわせるように揺れて]
ううん。
あのね、おこづかいは、にちようびに200円もらえるの。
だからね、るり、いまはせつやくしてるの。
えらいでしょ?
[無邪気に笑顔を浮かべ、口の横にえくぼを浮かべた]
医者の目から、と言うと可笑しいですが
私の目から見れば、今の貴女はしっかりしていらっしゃいます
立派な淑女でいらっしゃいますよ
[若者は立ち上がると、淑女と少女に椅子を勧めた。]
どうぞ、お二人のレディ
飲み物、飲みませんか?
御馳走させて頂きますよ
そうかい、節約してるのかい
とても偉いね
[200円って、それで何を買えと言うんだ。
まぁ、親御さんがお世話を焼いて下さるのだろうし、個人で持つお金はそのくらいで大丈夫なのだろうか?
小さな少女に笑顔を見せながら、若者は考えた。]
何か飲みたいかい?
お兄さんが御馳走するよ
賢いレディには敬意を払わないとね
[すっかり灰になったたばこを、私は携帯灰皿にねじ込みました
この灰皿は、かみさまの吸ったたばこもしまわれてきたものでした
わたしは柵の方まで歩いていって、それから、下を覗きこみました
豆つぶみたいにちいさなひとたちが歩いているのが見えます]
[ここから落ちたら、かみさまの所へいけるでしょうか
かみさまはたかい所にいるのに、落ちてたかい所へのぼれるのでしょうか
いずれにせよ、ここから落ちたら痛そうです
わたしは、いたい事は好きじゃありません
かみさまがそうだったように。
ふわりふわりと、風に髪の毛がなびきました]
[医師と老女の会話は、殆ど理解出来ていない。
だから丸い目をさらに丸くさせながら、首をかしげ]
おばあちゃん、ねむいの?
あのね、ねむいときは、ひつじをかぞえるといいのよ。
かんごしさんが、おしえてくれたの。
[分かる部分だけを拾って解釈し、にこにこと笑う。
本人はアドバイスのつもりのようだ]
[大丈夫だと言ったのに、
具合の悪そうな男性は椅子に沈む。
病院に病人が居るのは不思議じゃない。
でも少し気にかかったのは、
その人が、大丈夫なふりをしたから。
少し、見つめていると。
冗長な溜息と呟きが。私の耳に届いた。]
…なら、手紙を書いて。私に。
[暇を潰す提案を。]
[豆みたいなひとたちが、せかせかと動いています
きゅうくつそうなスーツをかっちりと着込んで、息苦しくないのでしょうか]
……あ、
[そんな豆つぶたちの中に、見覚えのある影がありました
ひろくんです
それから、一緒にいるあのお寺さん、名前はなんて言ったかしら
きっとわたしに会いに来てくれたのでしょう
部屋にもどらなくっちゃ、わたしはぱたぱたと屋上のでいりぐちへ向かいました]
うん!
[ほめてもらえて嬉しかったらしく、相手の内心には気付かぬままに満面の笑みを浮かべて。
御馳走が奢られるという意味なのは理解出来て目を輝かせる]
ほんとに?
ありがとう!
るりね、ジュースがすきなの。
オレンジジュース。
くだものをね、おみまいでもらうけど、ジュースのほうがおいしいんだよ。
あまくてすっぱいの。
そうかい、るりちゃんはジュースが好きかい
オレンジだね、待ってて
[コインを投入して、自販機でオレンジジュースを買う。
甘くて酸っぱい、と言うのはどう言う意味だろう。
このオレンジ、酸っぱかったろうか。
まぁ、好きだと言うのだから良いだろう。]
はいどうぞ、オレンジジュース
[少女に差し出すオレンジ色の缶。
子供が笑うと言うのは、無条件に可愛らしいものだ。]
……え?
[そうですね、とか。何も返って来ないとか。
ぼんやり考えていた返答の中に「提案」はなく
床を見つめていた視線を少しあげて、手紙、と口にした彼女の目を見た]
手紙、って
……はは、私はどうにも遅筆でね
[遠まわしに断ろうとする、いつもの癖。
手紙なんて、最後に書いたのはいつだろう。
いや、そもそも書いたことはあったろうか。
想起される思い出は、ひとつもない]
[手紙。
最後に貰った手紙は、
兄がくれた謝罪の手紙。
痛々しい程、真剣に書かれた文字は、
所々、落ちた水滴に滲んでいた。
あの文面を思い出して。
乾いたふうに感じる笑いを浮かべる男性の
私を見る目を、見つめ返した。]
…それなら、たくさん暇が潰れる。
私の暇もね。手紙を待つから潰れる。
禁句の指定はひとつだけ。
「ごめんなさい」…これは使わないで。
だめ?
[一方的な提案は、彼の困惑をよそに進む。]
ごめんなさい、は
[「申し訳ありませんでした」
「心から深く」――とかなんとか。
たくさん、頭を下げた。沢山メールを打った。
普段の仕事から、そして
入院する時も]
……うん、そうだね
それでいいなら
[強くおされたら、首をふれない。
それだけでなく、謝罪のない手紙が、どういうものか興味がわいた。言い訳のように口にした「暇」は本当だから]
せんせー、ありがとう!
[嬉しそうにオレンジの缶を受け取って。
両手で大事そうに握り締めながら、どこか自慢げに笑って小首を傾げて]
うれしいなぁ。
るり、もうすぐしゅじゅつするの。
だから、そのまえにのめるの、うれしいんだぁ。
[無邪気に笑って告げて。
大切そうに缶の表面を右手で撫でている]
[車輪を回して、近付く。少し。
彼のまだ顔色が悪いとしても、
大丈夫なふりをしているにしても、
言葉を交わせるならちょっと安心。]
…896号室の、草下クルミに宛てて?
返事を書くために、
便箋と封筒と切手の形のシールを
用意しておくよ。
[宛先が必要だろうから、
私の名前と今の住処をお知らせする。]
手術?
そうかい、喜んでくれたなら良かったよ
[えっと、この子は何の患者だったか。
外科手術なら、話は来ているだろうし。
帰ってから、カルテを確認すればいいか。
ルリと言う少女、と言う情報だけでもカルテくらい見つけられるだろう。
最悪、ナースに聞けばいいさ。]
お兄さんはね、手術をする先生なんだよ
君の手術をするのかは、わからないけれど
手術は、怖いかい?
[缶を開けずに撫でている少女。
その様子を見ながら、笑顔で語りかける。]
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