情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
[一瞬だけ、優しい風が頬を撫でて。
身を切る冷たい風に混ざったそれを、若者はとても不思議に思った。
見る目が変われば、世界は色を変える。
彼女の世界も、最後に少しでも変わっていればいい。
そんなことを思うのは、陶酔や逃げの類?]
ま、いいさ
[逃げだろうと、陶酔だろうと。
携帯灰皿で消したタバコを、片付ける。]
[そうしていると、男性の声が聞こえて。
振り向いた先には、昨日の男性がいた。
肩に伸びた手は、拒むこともなく。]
ええ、少し現実逃避に
[そう言って、笑ってみせた。]
そうか、そうか
先生だって人間だもんなァ
逃避したくなる時だって、あるよナァ…
[ポン、と軽く肩を叩いて
彼と同じように笑い飛ばした。
けれど、昨日の何処か楽しそうな思案振りと
現在の彼、明らかに異なる様子に――
煙草に火を点けながら、ぽつりぽつりと言葉を紡いで]
なァ、先生は… ヒトは死んだらどうなると思うかい?
俺はね、「死ぬ事は、生まれ変わる為のきっかけ」だと思うんさね
[医師という視点からすれば、笑い飛ばされてしまうような内容だろう。
けれど、男にはずっと常に心にある思いであり、
そうであると、信じて生きてきたのだ]
善行を詰めば、次はより幸福な人間に生まれ変わる…
そんなこたァどうでもいい
ひとつだけ確かな事はな、現世で出逢った人間とは
縁を引き寄せれば必ずや、来世でもまた出逢える、ってことだ
だから、もしもアンタさんが…
来世でも出会いたいと思う人と
死に別れる事があったら
その人の事を忘れずに、命日には花を手向けてサ…
そうしたらきっとまた、逢えるよ
[持論でしかないけれど。
肺を煙で満たし、ゆっくりと吐き出しながら
医師へ、微笑んだ]
まぁ、私も人間ですからね
人は死んだら、ですか?
[それはもちろん、骨になるさ。
そんな事は、わかっている。
でも、男性が言っているのはそういう事ではなくて。
科学に基づかない、信仰や思想のようなもの。
若者は、それを否定するつもりはない。]
そうですね
人の縁とは、不可思議なものです
生まれ変わる事が、たとえばできたとして
もし、その相手ともう一度出会えたとして
今度は、まともな関係が築けると良いですが
…―――
私は、生まれ変わってもこんなのでしょうし
気の利いたセリフ一つ、出てくる気がしませんよ
[命日に華を備えれて、冥福を祈るのは。
それは、来世での再会を祈る事なのか。
面白い事を言う人だと、思って。]
ふふ、お坊さんか何かですか?
[そう言って、首をかしげてみた。]
なァに、アンタさんは色男で頭がいい、
気の利いた台詞が浮かばなくても
相手が何を求めているのかを探ろうとする
そして、相手に答えたいという真摯な思いがある
[だから、心配するな、とばかりがははと笑い]
いやァ、俺ちはただの塗装工だァ
……明日辺り、仕事あればいいんだがなァ…
[詰まりは現状、無職にも同じだということ。
フィルターギリギリまで煙を味わい、灰皿へ吸殻を落とすと
「お先に」と声を掛け、屋上を後にした。
持論では、「生まれ変わる為の〜」そうは思っていても――
別れは、辛い。それは己とて、同じと*知りつつ*]
それは、過大な評価な気がしますけど
でも、ありがとうございます
[褒めてもらっているのだと理解している。
だから、若者は頷いて。
男性の仕事の話には、相槌を打つに止めた。]
はい、ありがとう御座います
お世話になりっぱなしで申し訳ない
[お先にと出て行く男性を、見送り。
若者は、今度何かお礼をしなければと思った。
相談に乗ってもらい、今日は励ましてもらった。
その行為にではなく、その心には。
心を返さねばならぬと思うからだ。]
次に会ったら、煙草でも奢ろう
[といって、できる事はこの程度であるけれど。]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了