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湯を浴び、イェンニの血を洗い流す。
しかし彼女の血を全て洗い流しても、赤い血は腿を伝い続ける。
瞳に影が落ちる。
それは、自分の血。
塞がりかけていた傷口が、開いていた。
焼いて塞いだ(ロイ)
というのはあまりにもアレなのでやめておくとして。
精神的な変化が主人公過ぎてつらい。
[ウルスラ家へこしらえものをとりに行くようになったのは
彼女が出掛けていた時に杖を折って困って居るのを
助けたことが切欠だったように覚えている]
[出来て居れば受け取って
出来ていなければ軽く雑談でもして――]
[海の近くのレベッカの雑貨屋に持って行って]
[漁の帰りのマティアスと会えば余った魚を貰う事も]
[教会に持って帰るとドロテアが喜んで
彼の元にお礼を言いにいったこともあった]
[アイノが村に来た時はゲルダに挨拶もした覚え]
[――――日常。]
[この村に着いた時イェンニはまだ小さかった。
だから自分が産まれた時、
背に桔梗色の鬣があったなんて知ることはない。
ただ危険だと捨てられて。
この村の神父に拾われて。
その後にドロテアが拾われてきて――
おだやかな毎日を過ごしてきた。]
[神父が亡くなってからは姉妹で暮らして来た。
ドロテアは村の機織りの手伝いに毎日でかけ。
自分は教会をまもり過ごして行く
そんな日々に罅が入る音は 微かでも良く響いた]
[ニルスがイェンニに投票するというのは聞いていた。
居間へと降りればイェンニがそこにいて。
しばらくあとにニルスやユノラフ、クレストもやってくる。
投票をはじめる様子に小さな吐息を零し。
選んだ名前を書いて、箱にいれた。
イェンニとニルスのやり取りに口を挟む事はなく]
[人数を口に出すイェンニに、わずかに眉を寄せる。
それでも、その言葉を止めることはなく。
ユノラフへとちらりと視線を向ける]
……
[狼だと判断した男はいつもの陽気さはないように見えた。
居間から少し姿を消していたクレストが戻ってきたとき。
その手にある銀色に瞳を眇め]
[止める暇もなく、イェンニへとナイフを突き立てるクレストに、
ただ、ため息を零した]
……かわいそうに、の。
[どちらへ向けてともつかぬまま、呟きを一つ。
クレストを止めるためにか、それとも、手を下すのをかわるためにか、立ち上がっていた二人の男を見る]
[ユノラフの背後へといつの間にか移動して]
おまえさんも、向こうへいっておいで。
[そんな声をかけて。
ユノラフがこちらを振り向いた時に。
狼に変じて、その咽喉笛をくいちぎった。
居間が赤く染まる。
イェンニの血と、ユノラフの咽喉から吹き上げる血で。
彼がかざしかけた首飾りが、血溜りへと、おちた]
[灰色の毛並みにかかった赤い血を軽く舐めとり。
狼は、ニルスとクレストへと、瞳を向ける]
さてさて。
食い殺せるかの……
[いいわけも説明も、なにもしないままに。
朝になってから狼に変じる辛さも感じさせないままに。
油断なく二人を見つめた*]
/*
そうきたか…!
ニルスとユノラフをどうやって引き離すかと思ったら、力業だった。
やばい。
やばい。
ざわ…ってした。
/*
いいいなぁぁぁ。
とってこーい、って反応投げ出来るってかっこいいなぁぁ…!
それに引き換え
過去の色々をさも複線のように持ってきて
「こんなの持ってきた!(わふ)」
だったクレスト犬よ…。
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