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[自己紹介を交わすと、初音にも微笑む余裕ができた。]
ウミさん、ですか。>>42
よろしくお願いします。
[猫の名前を教えられ、]
ミモリちゃん?
[呼ぶが、猫はそのまま、灯台の下にある海岸へ降りていくようす。>>43
追いかけようと数歩進めば、
ウミからは「気を付けてな」>>42と声だけかけられた。
どうやら、彼はこのまま展望台に留まるつもりらしい。
老人をひとりで残しておくのも気になるが、
初音はもう1度軽く頭を下げると、歩き出した猫を追いかけた。
海岸へつながる道は下り坂と急な階段で、
ウミの足には負担なのかもしれないと思い直して。**]
朝顔きれー…って、そんな場合じゃないしっ
てかアタシ、鞄…あった、良かったぁ…
[大輪の朝顔に思わず見とれかけたが、すぐに気を取り直し。
無意識に抱きかかえていた鞄に目を落とすと一瞬安堵するも、表情がへにゃりと崩れ]
…てゆーか、本当、もう訳わかんない、
アタシ川に居たのに何で街ん中にってか本当どこなのココ…
さがすって言ったって、どこかもわかんないとこウロウロして見つかる訳ないじゃんよぅ…
[何時からかじわじわと浮かんできた涙で半泣きになりながら、その場にしゃがみこんだ*]
[パニック起こしたまま投げかけた問に返ってきたのは、>>*2落ち着いた声音。
名前を聞けば、少なくとも声の相手は同じ人間のようだと推測出来て。
続いて、あの兎とはお仲間には絶対になれない、という一節を聞けた事で何となく連帯感を抱けた。
そのおかげでか、相手の冷静さの賜物か、おそらくはその両方で混乱はゆっくり波を引き]
あ…お、おーけい。
[確認の声に同じ言葉を返した後、自分はまだ名前言ってないことと、いきなり騒いで失礼だった、ということに気づいて]
…てゆか、その…騒いでごめんなさい。
アタシ、相良です。相良 伊万里って言います。
[落ち着いた声音から、相手は大人の男の人だろう。
出だしからギャーギャー取り乱した自分が子供っぽ過ぎて情けなくなりながら名を名乗った*]
─ 展望台→海岸 ─
[灯台の裏手からつながる海岸への道は、
下り坂と幅の狭い急な階段につながっていた。
むきだしの鉄棒のような手すりが付けられているけれども、
喜んで通るのは猫か、やんちゃな小学生男子くらいと思われ、
初音はウミが来なかった理由を察した。
ヴァイオリンケースを片腕でしっかり抱え、
もう片方の手で手すりと学生鞄を握りしめながら、
初音は慎重に海岸へ降りた。
潮風が気持ちいい。
大きく息を吸い込みながら、今来た道を見上げる。
周囲の繁みからは朝顔の花と蔓が、
まるで何かをつかもうとするかのように伸びていた。]
[下駄を鳴らして歩きつつ、ふと思いついて帯に挟んだスマホを取り出し]
……なんだよ、これ。
[ロック画面の時計表示が『--:--』となっているのに、眉を寄せた。
ロックを解除してみるものの、目に入ったのは化けまくったアイコンの羅列]
…………。
[無言で、スマホを帯に戻した。*]
[ハツネ>>46を見送ってから、ウミは再びベンチへと腰掛ける。
一つ息を吐くと、海と灯台を視界に入れた]
探しもの一つするにも、辛い身体になってしもうたのぅ。
[年を考えれば体力の低下は否めない。
昔であれば、と思えど、時は戻ってくれない]
……探しもの、か。
さぁて、上手く見つけてやれるかのぅ。
[灯台守として過ごしていた頃、浜辺での落し物・忘れ物の類を預かっていたこともあった。
自分で見つけたもの然り、届けられたもの然り。
引き取り手がいないものもあったが、取りに来た者達の笑顔は今でも覚えている]
あぁ……あの時も、こんな暑い日じゃったか。
[夏の海は忘れ物も多かったのである*]
[打開案がまったく見えなくて、途方にくれて半泣きでしゃがみこみはしたものの。数分もしない内に、腰をあげて顔を腕で擦って涙を拭い]
…わかんない事ばっか、だけど。
ここに何時までも座ってたって仕方ないし。
[とにかく、なにかを探さなきゃいけないのは解っている。
手がかりがないなら、足を使って隈なく探す以外の手は無いだろうと、あて無く歩き始めた。
そのとき、ふ、と気づいたのは]
……ここ、あの海の近くの街にあった雑貨屋さんに…似て…る…?
[店頭に大輪の朝顔を咲かせる店先が、子供の頃足しげく通った海近くの街並みのそれに重なって見えて。
なぜか感じる苦しさに、すぐ視線を外して踵を返した**]
とにかく、他に人がいたら報せるわ。
……兎の頼みごとをどうするかは、ここの事がもーちょっとわかってからでも遅く無いだろし。
[それ以前に、さがしたくない、という気持ちもちょっと──否、かなり強いのだが。
捜されたくないから隠れているものには触れたくない──そんな無意識に共鳴しているものの存在には、気付く由もなく。*]
[からん、ころんと下駄がなる。
進む道の両脇では、色とりどりの朝顔が風に揺れていた]
…………つかホント、誰もいないんかねぇ。
[独りごちつつ歩みを進める内、風の感触が変わった気がした]
……ん? 海、近い?
[小さく呟いて空気の匂いを嗅ぐ。
微かに感じる潮の香は、予想を裏付けるもの。
そしてそちらに近づくにつれて、微かに聞こえる歌声が大きくなるような、そんな気がした]
この歌も、覚えがあるよーなないよーな。
[呟いて、からころり、歩みを進める。
しばし進めば目に入るのは展望台らしきもの]
……とーりあえず、行ってみますかねぇ。
[言いつつ、足を向けるものの。
足取りは軽妙な音に比して重いもの。*]
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