181 じんろうさまのかみかくし村 〜きつねぐも〜
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……見られていたなら、潮時かしら。
[ぽつり、零れる小さな呟き]
(*3) 2015/ 6/ 6(土) 00時20分位
[歩くに合わせて鈴が鳴る]
[下駄ではなくてサンダルだから、音の協奏は軽いもの]
…………。
[立ち止まり、見上げる空には雲ひとつなく]
[白い帽子の下で、目を細める]
……ゆくもかえるも、おもうまま……かぁ。
[ぽつり、と零れた言葉は風に散り]
[空へと向けて消えてゆく]
(11) 2015/ 6/ 6(土) 00時20分位
[途切れた映像。カラカラまわる映写機の音。]
[ ――暗闇―― ]
[音もなく、演壇にスポットライトがあたる。]
(12) 2015/ 6/ 6(土) 11時00分位[神社]
ひととき、鳴りをひそめるかみかくし。
けれどきっと、またいつか。
きつねぐも出た その夜に。
(13) 2015/ 6/ 6(土) 11時00分位[神社]
子どもかえらぬ 親が泣く。
親がかえらぬ 子ども泣く。
還してやるとて 帰さない。
(14) 2015/ 6/ 6(土) 11時00分位[神社]
にんげんに寄り添うためのその仕儀で、
彼らは人間から遠ざかってゆくのです。
(15) 2015/ 6/ 6(土) 11時00分位[神社]
なんと罪なことをしたのか と
なんと殺生なまねをしたのか と
あわれの起こらぬそのうちは、
狐は、きつね。神はかみなり。
(16) 2015/ 6/ 6(土) 11時00分位[神社]
[白いフロックコート姿の弁士が水を呑む。
うるおった唇は端引かれ…目元は細められ]
(17) 2015/ 6/ 6(土) 11時00分位[神社]
次はとめてやりなよ 人間よ。
次は背いてやりなよ 狛犬よ。
おもしろおかしいばかりに続けさせると、
おきつねさまでもにんげんですらもない
(18) 2015/ 6/ 6(土) 11時00分位[神社]
(19) 2015/ 6/ 6(土) 11時00分位[神社]
(20) 2015/ 6/ 6(土) 11時00分位[神社]
[月明かりに照らしだされる村の神社。]
[時は動いても、昔から変わらない。
お堂の脇には左右一対石造りの台座。
右の台座には狛犬が実に忠実に鎮座して、
左の台座には――なんにも*いないのさ*]
(21) 2015/ 6/ 6(土) 11時00分位[神社]
[三叉路に何かを祀る祠には、人々の姿。
同じ夏に狐雲をまぶしく見上げた人々の。]
ああ、よかった。
間に合った。
[祭りの日に人ごみで見かけた少女へと
歩み寄る弁士が、視線合わせて屈みこむ。]
(22) 2015/ 6/ 6(土) 19時10分位[神社]
探しにきましたよ。
[ロッカの頬を両手で包み込みながら、
傍らにいるグリタを一度、見上げる。]
それから、――
お見送りは、ちゃんとしようと思って。
(23) 2015/ 6/ 6(土) 19時10分位[神社]
家にも、村にも、誰のもとへも
もう、帰れません。
[端的にも伝えるのは、ひとの心が
恐れと輪廻で壊れてしまわぬように。]
だけど行きつくことはできるので…
どうぞ、先へいらしてくださいな。
(24) 2015/ 6/ 6(土) 19時10分位[神社]
ご機嫌よう。
早ければ、今生のうちに。
そうでなければ…いつかどこかで。
ご機嫌よう。
(25) 2015/ 6/ 6(土) 19時10分位[神社]
[道を定めてもちもち歩き出すネギヤ、
やがて後からかみかくされてくる若旦那、
一人ひとりの背を見送って――
雛市 トキは、虚空の端をべろりと捲り。
暗幕のなかへ戻る態でかき消えた。**]
(26) 2015/ 6/ 6(土) 19時20分位[神社]
そろそろ始まってそうだな。
[診察室の椅子から立ち上がって背伸びを一つ。そこそこ空腹であるので、夜店のハシゴも大丈夫であろう。]
さて、と。
[30年ほど前までここにいた大叔父の頃から使われていた古ぼけた鞄を手に、神社へ向かう。。]
(27) 2015/ 6/ 6(土) 21時10分位[2015年8月14日]
[遠くで犬の鳴く声が聞こえる。いつの間にか村にいた、赤毛の少年のところのポチか。]
そういえば、昔大叔父さんに、不思議な話を聴いたなあ。
[この村に大叔父を訪ねた若い頃、酒を酌み交わしながらの昔語り。
酔ってしまっていて、話の大半は忘却の彼方なのだが。]
──おお、やっとるやっとる。
[老いも若きも集う境内、]
(28) 2015/ 6/ 6(土) 21時30分位[2015年8月14日]
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